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文化財散策(北海道 神居古潭)

2014-09-12 | ブログ

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北海道に行くと、「開拓」という言葉が空気の中から伝わってくるような気がします。

広い原野にまっすぐな道、開拓時代を彷彿とさせる木造の建物・・・先人の方々のご苦労が空気の中に漂っているのでしょうか。

ただ、それは先住民族を迫害するという歴史でもあったのでしょう。北海道の地名には、(たぶん)アイヌ語の音を漢字にしたようなものや「新」という接頭語の付いた地名(例えば新広島)からも伺えます。アメリカ合衆国にnewがつく地名が多いことにも通じるのでしょうか。

各国の開拓と先住民族の関係や現在の状況などについては、愛知県にある民族博物館リトルワールドで開催しているリトルワールドカレッジで学んでいたときに知りました。もちろん、アイヌについても。このときもたくさんの気づきがありましたが、これは後日、ということにしますね。

今回は、先日訪れた中に旭川市の文化遺産に登録されている「神居古潭」についてご紹介します。

 

神居古潭とは

神居古潭にある看板(旭川教育委員会)によりますと

「舟が唯一の交通手段だった時代、両岸から奇岩怪石が迫る激流のこの地は、神(カムイ)に祈りを捧げて通らなければならない所でした。アイヌ民族にとっては、大地も水も火も動植物もすべてが神様を宿す存在でしたが、通行人を苦しめる難所だったことから、ここでのカムイは魔神(ニッネ・カムイ nitne-kamuy)を意味するという説も有力です。」

とありました。

雄大な流れというイメージがある石狩川ですが、ここは川幅が狭くとても深そうな所でした。

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車を止めて、つり橋を渡っていくと、急に登山道のような階段があり、少し開けたところに旭川市の指定有形文化財である「神居古潭駅舎」がありました。

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駅舎とプラットホームが残っておりました。レールが引かれていたところはサイクリングロードになっていましたが、蒸気機関車が走っていたことをイメージできました。

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この神居古潭駅からみる石狩川は、大きな岩が両岸にそびえたち、難所であることが想像できる景色でした。ただ、難所であることは、見える景色に変化があり名所・景勝地と言われる場所になります。駅から川を撮影しようとすると、草が邪魔をしてうまく撮れません。それだけ急峻な所でした。

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この駅の思い出を語る

この駅でご高齢の男性に出会いました。どちらからともなく話しかけたのですが、お話をしているうちに、語り部というのはとても大切で当時の状況を知る上で必要な存在なのだということを改めて思いました。

その男性との会話では・・・

その方は、60年ぶりにこの場所を訪れたそうです。その駅の思い出を少し教えてくださいました。

写真では、看板にあった「奇岩怪石」というのは分かりづらいと思いますが、以前は、もっと大きな岩が川に突き出していたそうです。その岩のお陰で、大雨が降ると駅舎のあった場所まで増水したということでした。そこで、その大きな岩を粉砕してしまったとのことでした。

神様を爆破してしまったのでしょうか。魔神をやっつけたのでしょうか?その時代はいつごろで、アイヌの方々はどう思ったのか?などなどいろいろなことが浮かんできました。

が、その方に聞くことなく、次の話題に移ってしまいました。残念。聴き手の想像力が不足していたので、そのときに聞けなかったのですね。

その他には、このあたり一帯の名家である○○家が駅舎の隣にあったとか、駅舎は増水を避けるために一段上に建て替えられたとか、展示してある蒸気機関車が走っていたころのお話を伺いました。

何気なく訪れたみた場所でしたが、その方のお陰でその土地の歴史やそこに暮らした人々の営みを知ることができました。ただ見るだけよりも深く心を寄せる場所となりました。その方のお名前はうかがっていませんが、感謝しています。

 

追記

沼田町から旭川へ行く途中で「神居古潭」という標識を左折したのですが、その地名がとても気になって帰り道に寄ってみました。ただ、川と遊歩道のようなものは運転しながらも見えるのに、どうやってそこへ行くのかわかりませんでした。ちょうど近くにいた方に聞いてみたのですが、観光地として有名ではなかったようで、たぶん、あの信号を入っていけば何か見つかるはず・・・と言われ、「落石注意」の標識がある道を進んでたどりつきました。信号から数分のところでしたが、その標識のお陰でドキドキしながら「たどり着いた」というのがぴったりの、小さな冒険をした気分でした。

 

 


 
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