2022-04-24 | ブログ
滋賀県東近江市、琵琶湖の東にいくチャンスをいただきました。
琵琶湖の周りは、確かに水が豊か。でも、こんな景色は想像していませんでした…。
琵琶湖の東のエリアと言えば、近江!
近江商人で有名です。「買い手よし、売り手よし、世間よし」の3者が良い!という商いをモットーにしていると言われています。
今、SDGsやこのブログでずっと考えている「コモンズ」や「社会的共通資本」に通じる考え方が見直されている「持続可能性」を謳っていると考えています。
そして、NHKの朝ドラ「カムカムエブリバディ」で主人公がお参りした神社で「聖地」になった大城神社もあります。
1.サプライズその1 水と供にある!
きれいで豊かな水に囲まれている!を実感しました。水路が張り巡らされている街並みと、その水路が人の営みの源になっているということを実感しました。
水路には、きれいな水に生息する「梅花藻」がたくさん自生していました。(お花の時期にはちょっと早くて残念!満開の時を見てみたい!)
ボランティアガイドさんによると、田んぼに水を入れ始めたので、水は濁っているとのことでした。
これで、濁っているんだ…。
そして、今は水道を使っているので、活用が減っているかもしれませんが、水路の水を活用する「川戸(かわと)」。水路で野菜や着物(?)など洗い物をしていたであろう痕跡。
川戸は「正式には入れ川戸。屋敷内に水を引き込み、屋根をかけて洗い場にしたもの。野菜や鍋、釜の洗い場として利用したほか、淡水魚を飼ったり、防火用水の役目もはたしました。底には、鯉が泳いでも、水が濁らないように木が敷かれています。」と看板に書かれていました。
本当に、水(というか水路)が豊富にあっての生活の設計なのだと感じました。
2.サプライズその2 近江商人の暮らし
一口に近江商人と言っても、豪商から零細までさまざまな商人がいることは前提なのですが…
公開されているお屋敷では(今回、拝見したのは作家になった「外村繁邸」)、暮らし方を教えていただきました。その中でのサプライズは…
(1)お商売は外で!
普通、豪商いうと、イメージ的には大店で、お店の1階が商店と応接間や水回り、2階が従業員の住まいでした。そして、税金を節約するように、通りに接する面積を小さくするので、奥に長い!というものでした。(いわゆる「町屋」です)
ところが、お店の部分がなく…これは、地元では商売をしておらず東京などが商売の中心としているので、地元では商売をしていないとのこと。打って出る?職住分離?
とにかく、奥さんは地元に住み、ご主人だけが東京などでお仕事をしているという(単身赴任?)スタイルだったそうです。
なので、「妻女心得条」というのが台所に貼ってありました。妻の務めや心得が書かれていました。(男女共同参画を言われる今では、なかなかすんなりと受け入れにくい項目もありましたが)離れて暮らしているので、妻が従業員のお手本になるように!との思いを込めて定めたのだろうなぁと察しました。留守を安心して任せるため!でしょうか。
(2)戦中の缶詰発見!
水屋の中に、茶碗蒸しの器?と思うような陶器製の容器を発見しました。「防衛食」と書いてあります。
学芸員の方曰く…「戦争中、鉄を拠出したので、缶詰の缶は、陶器だった」とのこと。wiki ペディアによると、避難用の食料を詰めたとのことでした。(詰めるような食料がなく、陶器のみの場合もあったとか…)
今でいう非常用の食料だったのですね。いつの世でも、備えておくことが大事ということなのだなぁと思いました。
そして、お猪口も発見!ちょっと刺激的。ヘルメットの上にゼロ戦?
(3) その他
・おうち風呂がありました!
水道がなかった時代。なのに、水圧を利用したお風呂へのお水の注入法を実施していました。(先人の工夫を痛感!)
・パティシエがいた?
台所に貼ってあったレシピ!そこには、カステラの作り方や羊羹の作り方など、お菓子の作り方のレシピが書かれていました。
お客さまも多かったのでしょうか?お団子などは買うのだろうと思っていました(時代劇では、神社の参道などで売っているイメージ)。ところが、自家製のお菓子も出すんだということを知り、ちょっと驚きました。
・鉄製の泡立て器オープナーも発見!
パティシエが使う(?)泡立て器。この時代(どの時代なんだろう?)にあった!というのも、驚きです。しかも、メカニカル!
さすが!としか言えません。
鉄製だから、戦後のものでしょうか?
このほかの宝は、別の家や別の展示場所にあるとのこと。時間を作って見にいこう!と思いました。
3.おわりに
ひとつひとつが驚き!な東近江市でした。
まだまだ、ご紹介したい見どころはありますが…
今回はこのあたりで…
自然とともに自然の恵みを共有して、供に生きていく。
山の方に行くと、地域の人たちの協働がないと成り立たない棚田が広がり、清流と人間が使う水もみんなで管理しているようでした。(まさに、コモンズ!社会的共通資本!!)
豊かな自然の恵みをどんな方法でつかっていくのか?は、先人の生活の知恵がとても役立つのだ!と思いました。
この気持ち、基本的な考え方を忘れてしまった現代の私たち。
お手本は、古い街の中にあったのです!
とっても、ありがたい出会いのあったまちあるきでした。
2022-04-13 | ブログ
『人新世の資本論』斉藤幸平を読んでから、ここに出てくる”コモンズ”と宇沢弘文のいう”社会的共通資本”との差異について知りたい!と思っていました。
(アマゾンより)
大学院生のときに読んだ『社会的共通資本』をひっぱり出してきて、眺めてはいましたが、まだ、言語化できていません。
ふとしたきっかけがあり、『始まっている未来 新しい経済学は可能か』宇沢弘文、内橋克人、岩波書店、2009年を読みました。
(アマゾンより)
この中に書かれていることは、衝撃的な経済上歴史上の事実(というか裏側)もありましたが、私がファシリテーションを仕事にしようと思ったことを勇気づけてくれることも書かれていました。
それは、大学院で学んだ「地方自治(特に住民自治)」「コミュニティ」についてです。経済の本ですので、表現は異なりました。
ご本では社会的共通資本に共通する部分の多い、内橋さんの「共生セクター」と「自給圏」が該当すると考えられます。
社会的共通資本は、市場に任せるのではなく、コミュニティで管理運営していった方が人間が暮らしていくにあたってふさわしいものがあり、それらを社会的共通資本と呼ぶとされています。
そして、内橋さんも「共生セクター」と呼び、「競争セクター」と対比して、人間らしく暮らしていくことを謳っていたのです。
競争セクターと共生セクター
競争セクターは、市場原理主義とも呼び、「分断・対立・競争を原理とし、その隙間に利益チャンスをはめ込む。まさに今日の破綻は、競争セクター至上、市場競争一辺倒に立つイデオロギーの帰結でしょう(p100)」と言い、人々の分断を前提にして成り立っているようです。この本は2009年に出版されたものですので、ここに書かれている「帰結」とは、リーマンショックのことを指しています。
これに対して、共生セクターは「連帯・参加・協同であり、共生セクターの足腰をいかに強くしていくか、それが21世紀最大の課題ではないか、と。(p100)」競争セクターに浸食されている今の生活から、失われつつある共生セクターをいかにして取り戻すのか?ということなのですね。考え方や気持ちは、育ってきた文化やコミュニティで培われるとのことなので、長い間、競争の考え方が広まっているので、なかなか、難しそうです。不況や災害などがきっかけになることもあるようなので、期待されていたようです。
少しずつ、共生セクターを実現していこうという挑戦が始まっています。(後述)
共生セクターは「競争セクターとはちょうど逆に、人々がまず連帯し、共生、協同し、政策決定過程にまで参加していく。このような共生セクターの構築へむけて努力を積み重ねることが私たちの選ぶべき道なのではないだろうか、と。(p111)」
まさに、住民自治の考え方!だと思いました。そして、分断されてしまった関係性を紡ぎなおしていくには「対話」が必要なのだと考えています。この「対話」による効果については、何度もこのブログに登場するデビッド・ボウムが言っています。
対話の場をつくる!という意味で、ファシリテーションが実現にむけて大きく踏み込んでいけそうです。
このご本で、経済面からも住民自治の実現がこれからの未来に必要なことだ!ということを言っていると、改めて心強く思いました。
「共生セクターを経済的に抱える核は何かを考えてみると、それは人間の基本的な生存権」「憲法25条もそうですが、より広い意味での人間の基本的生存権、それを本当の意味で現実化し、具体化し、維持していくために、社会の中に構築すべきもの、それが自給圏だと私は思います。(p111)」
「共生経済は、F(食料)E(エネルギー)C(ケア)の自給圏を人間の生存権として追求していく経済のあり方(p100)」とあり、これらが自給可能な範囲がコミュニティなのではないかと思いました。
エネルギーの自給圏の大きさ(事例から)
エネルギーは、小さな単位で自給する動きが少しずつ広がってきています。
岡山県西粟倉村の事例が有名です。
(http://throughme.jp/meguru_nishiawakura_hyakumori10/ の記事では、バイオマスを始めた方の想いも語られています)
(西粟倉村ホームページより)
木質バイオマスで地域のエネルギーを100%自給しています。2013年には環境モデル都市にしてされました。
(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/biomass/b_kihonho/local/attach/pdf/keikaku_sakutei-181.pdf)
1000人規模の単位がエネルギー自給の一つの目安なのかもしれません。
コミュニティの自治を考えるとき、中学校区程度と言われています。約10,000人程度。
10,000人が次の目安の単位なのかもしれません。
*ここは、今後、もう少し調べていく必要がありました。φ(..)メモメモ
そして、ファシリテーション
自給圏を形成していくにあたっては、自給圏内に住む人たちのコミュニケーションがとれていることや、その地域へのアイデンティティをもっていることが大切な要素になってくるのではないでしょうか?
コミュニケーションをとれる関係づくり、自給圏内で決めて行動していくための合意形成など、ファシリテーションが活用できる(活用したほうが、余分な苦労をしなくて済む)のではないかと思います。
人と人が一緒に、気持ちよく暮らしていくためには、ファシリテーションのスキルや、スキルを活用できる人がいることも必要なのだと思うことができました。今までの行動を後押ししていただいたような気持になりました。
まだ、コロナ禍の中ですが、こんなときだからこそ、少しずつでも進めていきたい!と思いました。
今後とも、よろしくお願いします。
2022-04-03 | ニュースレター
先日、地方自治研究学会の研究部会が主催して「ひとをつないでまちづくり」というシンポジウムを開催しました。
コロナ禍ですので、対面で参加する人は少人数に絞らせていただき、その代わりに内容の濃いものになるよう、企画しました。
コロナ禍でリモートで働く人たちが増え、通勤等に使っていた時間が空きます。その方たちが家の周りを散歩すると地域のことに目が行き、まちづくりに参加する機会が増えた。
子どもは将来の(現在も)まちづくりの担い手。勉強や部活で忙しい中、どうやって地域に目を、向けてもらうか?
起業したい人が増えている、この人たちがまちに興味をもってくれるように…
その人達を支える行政職員もつながろう!
新しい、まちづくりの登場人物が増えていく!ことを期待しつつ…
対話で構成するシンポジウムとしました。
ニュースレター第127号「対話するシンポジウムを開催しました」御覧くださいませ。