2022-06-21 | お知らせ
生活経済政策研究所が発行する機関誌、「生活経済政策No.305」6月号に論文が掲載されました。
特集は「多様性を学ぶ」で、
「外国にルーツを持つ子どもの日本語の学び~オンラインによる授業の提案~」
を書きました。
他には、
「行政と子ども~子どもの参加する、まちづくり~」
「笑顔で学び笑顔で生きる」学校が生まれる瞬間~対話によるポジティブ・アプローチを通して~」
「所得税法におけるひとり親」
です。
ご高覧だけると、幸いです。
お申し込みは、こちらからとなっております。
http://www.seikatsuken.or.jp/monthly/index.html
バックナンバーもご覧いただけます。
こちらのURLからは本文をご覧いただけます。http://www.seikatsuken.or.jp/database/index.html
ファシリテーション特集の際の記事はこちらです。http://www.seikatsuken.or.jp/cgi-local/database/search.cgi?cname=%e6%9e%97%e5%8a%a0%e4%bb%a3%e5%ad%90
2022-06-13 | ブログ
6月11日(土)と12日(日)の2日間、日本ファシリテーション協会(FAJ)の東京サミットに参加しました。
(https://www.faj.or.jp/activity/summit/)
FAJは毎年、全国からFAJメンバーが集まるイベントを開催しています。
今年は、東京にて。
2日間のメニューはもりだくさんでした。会場でのリアルな分科会とオンライン分科会。どのワークショップに参加しようか、迷ってしまいました。
1日目は、基調講演、ワークショップ・セレクション(17分科会)、フリーセッション(16分科会)
2日目は、ワークショップ・セレクション(16分科会)、クロージング→終了後に総会
という流れでした。
1日目のワークショップ・レクションは企画側で参加しました。(分断と孤立の時代に求められるファシリテーションとは何か!? 〜姿の見えない「ヘダタリ」と「オキザリ」から考える〜)
フリーセッションでは、メタバースの企画のお手伝い:メタバースの世界の入り口でzoomでお留守番でした。(メタバースでの対話を模索する)
2日目のワークショップ・セレクションは、純粋に参加者でした。
この、ワークショップが本当に気づきの多い、考えさせられるものでした。
紛争地での対話
参加したテーマは「憎しみの連鎖を止める対話の実践~テロ・紛争解決の現場から~」でした。
NPOアクセプト・インターナショナル(https://accept-int.org/)の方が来てくださってのワークショップ!
ソマリアやインドネシアなどの紛争地域で活動しているそうです。
一旦はテロ組織に組み込まれてしまった若者。
刑務所で刑期を務めているのですが、刑務所では暴力は当然のことだそうです。そこでは、更生して社会に復帰…というよりも、より過激化してしまい、社会に出てもまた、テロ組織に入ってしまうという、連鎖が繰り広げられてしまうことが多いそうです。
それは、刑務所の中では、自分の愛する人が殺されたり、信じるものが壊されたりした心の傷が癒えることなく、さらに刑務所内でのいろいろなストレス・・・などなどで憎しみという感情が消えることはなかなかないからなのだそうです。
(確かに、閉鎖された環境で自然に感情が癒されていくということはイメージしづらいです)
そこで!アクセプト・インターナショナルさんは、「若者が兵器を置くことができる環境をつくる」として、ひとり一人と丁寧に対話をして、テロ組織にもどらない(憎しみの連鎖を止める)心の環境をつくっている!とのことです。
(この活動は、国連ハビタットや政府とパートナーとして活動していらっしゃるのだそうです。政治的に偏らないように注意して)
ワークショップでは
その対話の入り口のところをケーススタディとして、ワークショップ形式で話し合いました。
お題は2つ。いずれも対話がキーワードでした。
話し合ったことを共有した後で、実際はこんなふうにしました。
ということを教えていただいたのですが…
さすが!FAJのメンバー。
こんな態度で、こんな話題で、こんなことを話すというのが、実際のお話に近いものでした。
「対話」は、平常時でも、紛争の当事者とでも、基本的な姿勢や態度は変わらないのだということが分かりました。
まずは、お互いに人間としてどう向き合うか。から始まるのですね。
こんなに若い方々が、行動していらっしゃることを知って、驚き、関心して、尊い活動に感謝したできごとでした。
ワークショップを終えて
対話の姿勢の根本には、その人の考え方や理論があるのだと思いました。
何が正しくて、何が間違っているのかは、その人が立っている場所が違えば、異なるのだということを認識しなくては!
まずは、「あなたは、そう思うのですね」と認めること。これが欠かせないことを痛感しました。
自分だって、頭から否定されたらおもしろくないですもんね。
そして、共感できることを増やしていく。
デビッド・ボームのいう「意味の流れ」やつながりをつくっていくことが大切なのだと思いました。
そして、分断されてしまった人々、社会、をつなげていくということが「対話」なのだ、と。
(アマゾンより)
ということを教えていただいた時間でした。
こんなに若い人たちが、一生懸命に世界の平和へむけて活動していることに感謝します。
私たち大人がこんな世界にしてしまったことが、申し訳ないとも思いました。
環境活動家のグレタ・トウンベリさんが、大人に対して怒っている顔が浮かびました。
大人として、どんな社会を次世代、次々世代へと残していくのか?
そのために、自分ができることは何か?を考える機会をいただきました。
また、ファシリテーションについて話をしていると、「世界平和」というキーワードが出てくることがよくあります。
今回は、ファシリテーションが本当に役に立つことを教えていただきました。
ありがとうございました。
2022-05-23 | ブログ
小学生のみなさんの反応があまりにもうれしくて!
第2弾。ご報告します。
「ふりかえりシート」を準備していただき、どんなことをはなしあったのか?どんな感想なのか?
それはもう!知りたくて(笑)
授業の後に、書いていただきました。(次の時間に食い込んでしまって、申し訳なかったです💦)
先生のご厚意に甘えてしまいました。
ふりかえりシートは、
1.どんなまちづくりのストーリーができましたか?
2.今日の授業で思ったことは?
3.その他、なんでも
というざっくりした、でも思ったことや感想は自由に書けるかな?というものにしました。
では、ほんの一部でうが、早速ご紹介します~
1.どんなまちづくりのストーリーができましたか?
・自然を大切にしたり、興味を持ってほしいから、緑の羽根募金を行ったりすることや、看板をつけることをしてみたいと思った。デザインを考えたり、使う水などは捨てられてしまうものなどですれば、環境にもよさそう。
・みんなが意見が言えて、協力できるには、自分から言うことと、それを聞いてもらえるようにして、そして、みんなで協力すること
・犯罪について話し合いました。ポスターを作ったり、暗い場所を明るくしたり、大人が地域の人たちとパトロールをしたりする。
・いじめがない町。誰にでも優しくするとみんな仲良くなってみんなニコニコになるといじめがない町になる。
2.今日の授業で思ったことは?
・自分たちには直接関われなくても、考えを超えに出して伝えれば、かなうかもしれないので、自分から進んで話したり他紙です。
考えてみたら、思った以上に意見が出て、改善策を見つけることができました。
・一人ではできないことをみんあで協力しあえば、できることが増えることが分かった。
同じ考えだった人と話し合ってみて、スーパーが近くにあると便利だと思った。
・自分一人で「施設をつくろう」「ごみ拾いボランティアをつくろう」などと言うのは簡単だけど、実際、お金が必要だったり、人を集めないと行けなかったりします。そういう時は、他の人と協力して取り組むことが大切だと分かりました。無理に一人でやろうとせず、他の人にも声をかけていきたいです。
3.その他、なんでも
・目隠しゲームがとっても気になったので、友達を一緒にやってみたいと思いました。
・でも自分にできることを考えたい。
・今回の授業でづくりで実際どんなことが大切なのかを知りました。
ふりかえりシートを読んで
こどもたちの吸収力におどろきました。
「自分ができることをもちよって、グループのみんなのできることをつなげてみてね。まちづくりのストーリーができるよ」と言ったのですが、
本当に、つなげて、もっとこうしたらいいね!を話し合って…
見事に素敵なまちができるストーリーをつくってくれました。しかも、どれも実現可能性が高そうです!
話を真剣に聞いてくれて、真面目に考えてくれる。
そして、自分のできることからつないでいって、世界に貢献する!というストーリーも素敵でした。
小学校6年生!おそるべし!でした。
こんな素敵なこどもたちに、わたしたち大人はどんな社会をバトンタッチできるのか?
身が引き締まりました。
2022-05-11 | ブログ
先日、愛知県安城市の小学校の総合学習の時間に「まちづくりとSDGs」の話題でお話&ワークをしてきました。
6年生2クラスを合同でお話させていただけるとのこと。とってもうれしくて、ついついがんばってしまいました。
昨年度は、1年かけて「まちづくり」について学んでいらっしゃいました。
まちのことをみんなで調べたり、JICAの人や市役所の人のお話も聞いたとのことでした。
そして、今年度は…
一人の活動が国際理解やSDGsにつながっていくということを伝えたい!とのことでした。
そこで、私のやってきたことの事例を話してほしいとのオーダーでした。
どんなお話がいいのか?とっても悩みましたが…
非営利組織の4世代のお話と事例として、BIDと先日の東近江市でのことをお話しました。
非営利組織の4世代
非営利組織の4世代は、デビッド・コーテンが言っている理論です。
(筆者作成)
非営利組織が何を糧に、何が発端で発展していくのか?を4世代に整理したものです。
非常勤をしていた大学の「ボランティア実務」という授業でお話ししていたものです。
小学校6年生には早いのでは?とも思いましたが、ここは、ちょっと背伸びしてもらって!
BID(Business Improvemento District)
イギリスが発祥だと記憶していたのですが…(なんと!修士課程に入った年にゼミで輪読した本にあったのでした)
町の中のダウンタウンがお金持ちの人が郊外へ引っ越し、ゴミが散乱し始めると、街中の不動産価格が下がっていく…
このような状態を変えたい!と掃除を始めた人がいました。
その行動は他の人を巻き込みはじめ、町がきれいになっていきました。
すると、不動産価格が戻ってきた…それをBIDという組織にして管理運営していく。というものです。
それだけではなく、近年は「社会奉仕」という意味で、保護観察の人や社会貢献をするよう指導された人たちを受け入れて更生に役立っているそうです。世界に広がりつつある考え方です。(もう、10年以上前の文化政策学会での報告をしていた方がいました)
以上のようなことをお伝えしました。
もちろん!一人でがんばっている若き活動家グレタ・トゥンベリさんもご紹介しました。
1人の想いがある人が行動をし続けると、いつか、理解者が現れ、実現していくのですよね!
ワークももちろん!
写真を撮らなかったのは、とっても残念なのですが(学校内で写真を撮るのが憚られて…)
住み続けられるまちの要素を考えてもらい、
マグネット・テーブル(話したい話題に人が集まって、話し合う)でグループをつくって、
「みんなで住み続けられるまちがこうしてできました。」というストーリーを作ってもらうことにしました。
マグネット・テーブルのインストラクションは主任の先生にお任せしました。
とっても丁寧にひとつずつ行動を分解して、子どもたちに伝えてくださったのが、とっても印象的でした。
大人を相手にワークショップしていることをふりかえると、参加者のみなさんが拙い説明を理解する努力をしてくださっていたのだなぁと痛感しました。
(今頃ですが、みなさま、ありがとうございました)
学校の先生のインストラクション!すごいです~
今回の特にうれしかったことは、マグネット・テーブルで話し合う
というのを先生が気に入ってさったようです。
「ふだんは、固定した班でグループ学習をしているので、話し合うことには子どもたちは慣れているんだけど、こんな風にグループをつくっても、ちゃんと話し合いができるんだね」
そして、ふだん大人しい(らしい)子が、発表してくれたことにも、先生が驚かれました。
「きっと、話したいことを話したから、自信がもてて、発表したんだろうなぁ」とのことでした。
このコメントは、 ファシリテーター冥利につきます!
とっても、うれしいお言葉です!!
今まで学んできたまちづくりのこと、ファシリテーションの技。
自分自身のふりかえりになった、ありがたい機会となりました。
これからの社会を担っていく子どもたちに想いを伝えたり、一緒に考えたりできる機会をいただけて、本当に感謝しています。
ありがとうございました。
また、お話ししたいなぁ。
2022-04-24 | ブログ
滋賀県東近江市、琵琶湖の東にいくチャンスをいただきました。
琵琶湖の周りは、確かに水が豊か。でも、こんな景色は想像していませんでした…。
琵琶湖の東のエリアと言えば、近江!
近江商人で有名です。「買い手よし、売り手よし、世間よし」の3者が良い!という商いをモットーにしていると言われています。
今、SDGsやこのブログでずっと考えている「コモンズ」や「社会的共通資本」に通じる考え方が見直されている「持続可能性」を謳っていると考えています。
そして、NHKの朝ドラ「カムカムエブリバディ」で主人公がお参りした神社で「聖地」になった大城神社もあります。
1.サプライズその1 水と供にある!
きれいで豊かな水に囲まれている!を実感しました。水路が張り巡らされている街並みと、その水路が人の営みの源になっているということを実感しました。
水路には、きれいな水に生息する「梅花藻」がたくさん自生していました。(お花の時期にはちょっと早くて残念!満開の時を見てみたい!)
ボランティアガイドさんによると、田んぼに水を入れ始めたので、水は濁っているとのことでした。
これで、濁っているんだ…。
そして、今は水道を使っているので、活用が減っているかもしれませんが、水路の水を活用する「川戸(かわと)」。水路で野菜や着物(?)など洗い物をしていたであろう痕跡。
川戸は「正式には入れ川戸。屋敷内に水を引き込み、屋根をかけて洗い場にしたもの。野菜や鍋、釜の洗い場として利用したほか、淡水魚を飼ったり、防火用水の役目もはたしました。底には、鯉が泳いでも、水が濁らないように木が敷かれています。」と看板に書かれていました。
本当に、水(というか水路)が豊富にあっての生活の設計なのだと感じました。
2.サプライズその2 近江商人の暮らし
一口に近江商人と言っても、豪商から零細までさまざまな商人がいることは前提なのですが…
公開されているお屋敷では(今回、拝見したのは作家になった「外村繁邸」)、暮らし方を教えていただきました。その中でのサプライズは…
(1)お商売は外で!
普通、豪商いうと、イメージ的には大店で、お店の1階が商店と応接間や水回り、2階が従業員の住まいでした。そして、税金を節約するように、通りに接する面積を小さくするので、奥に長い!というものでした。(いわゆる「町屋」です)
ところが、お店の部分がなく…これは、地元では商売をしておらず東京などが商売の中心としているので、地元では商売をしていないとのこと。打って出る?職住分離?
とにかく、奥さんは地元に住み、ご主人だけが東京などでお仕事をしているという(単身赴任?)スタイルだったそうです。
なので、「妻女心得条」というのが台所に貼ってありました。妻の務めや心得が書かれていました。(男女共同参画を言われる今では、なかなかすんなりと受け入れにくい項目もありましたが)離れて暮らしているので、妻が従業員のお手本になるように!との思いを込めて定めたのだろうなぁと察しました。留守を安心して任せるため!でしょうか。
(2)戦中の缶詰発見!
水屋の中に、茶碗蒸しの器?と思うような陶器製の容器を発見しました。「防衛食」と書いてあります。
学芸員の方曰く…「戦争中、鉄を拠出したので、缶詰の缶は、陶器だった」とのこと。wiki ペディアによると、避難用の食料を詰めたとのことでした。(詰めるような食料がなく、陶器のみの場合もあったとか…)
今でいう非常用の食料だったのですね。いつの世でも、備えておくことが大事ということなのだなぁと思いました。
そして、お猪口も発見!ちょっと刺激的。ヘルメットの上にゼロ戦?
(3) その他
・おうち風呂がありました!
水道がなかった時代。なのに、水圧を利用したお風呂へのお水の注入法を実施していました。(先人の工夫を痛感!)
・パティシエがいた?
台所に貼ってあったレシピ!そこには、カステラの作り方や羊羹の作り方など、お菓子の作り方のレシピが書かれていました。
お客さまも多かったのでしょうか?お団子などは買うのだろうと思っていました(時代劇では、神社の参道などで売っているイメージ)。ところが、自家製のお菓子も出すんだということを知り、ちょっと驚きました。
・鉄製の泡立て器オープナーも発見!
パティシエが使う(?)泡立て器。この時代(どの時代なんだろう?)にあった!というのも、驚きです。しかも、メカニカル!
さすが!としか言えません。
鉄製だから、戦後のものでしょうか?
このほかの宝は、別の家や別の展示場所にあるとのこと。時間を作って見にいこう!と思いました。
3.おわりに
ひとつひとつが驚き!な東近江市でした。
まだまだ、ご紹介したい見どころはありますが…
今回はこのあたりで…
自然とともに自然の恵みを共有して、供に生きていく。
山の方に行くと、地域の人たちの協働がないと成り立たない棚田が広がり、清流と人間が使う水もみんなで管理しているようでした。(まさに、コモンズ!社会的共通資本!!)
豊かな自然の恵みをどんな方法でつかっていくのか?は、先人の生活の知恵がとても役立つのだ!と思いました。
この気持ち、基本的な考え方を忘れてしまった現代の私たち。
お手本は、古い街の中にあったのです!
とっても、ありがたい出会いのあったまちあるきでした。