2016-02-05 | ブログ
1月30日(土)に愛知県東浦町で「自治を考えるワークショップ ~君達の意見を募集します~」でファシリテーターを務めさせていただきました。
自治は、「自分で決めて自分で行うこと」として、そのためには自分のまちを好きになることが重要なことですよね。
自分のまちを好きで、みんなに教えてあげたい!そんな思いをもってくれれば、そのために行動することも楽しくなると考えてワークショップを組み立てました。
参加したのは
東浦町にある3つの中学校、1つの高校からそれぞれ5人、全員で20人(当日、一人体調不良のため欠席となりました)が参加してくれました。
それぞれの学校で参加する生徒さんを募集してもらおうと企画しました。しかし、初めての試みであったため、先生方も大切に考えてくださり、生徒会の役員をしている子どもたちが参加してくれることになりました。
今回の参加でハードルが下がり、もっとたくさんの子どもたちが参加してくれるようになってくれることを祈っております。
*参加した子どもたちで、会の名前を考えてもらいました。
「Next 東浦」となりました。若々しい雰囲気が出ている気がします。
実は、大人だけで前もっていくつか案を出していたのですが、このようなアイディアは全く出ませんでした。
進め方は
1.大人に直してほしいところ、子どもも直すところをそれぞれに書いてもらいました。
2.パネルに貼って、町長と意見交換
3.ワールドカフェ方式で対話。
お題は、
(1)東浦町で思い出のある場所はどこ?どんな思い出?
(2)その思い出の場所を町内、町外の人に伝えるにはどうしたらいいと思う?
(3)(2)と同じ
なんと!町長も入ってくださり、子どもたちと対話しました。
4.それぞれ感じたこと、伝える方法などを書いて、パネルに貼り、意見交換。
5.町長との意見交換
このように進めました。
高校生のがんばり
中学生と一緒に参加するということは、高校生にリーダーシップをとってもらうという期待があります。
高校生もそのあたりを考えてくれましたので、事前に進め方のウォークスルーを行いました。
簡単に流れと話し合う内容を共有しました。
当日、アイスブレイクの共通点探しでは、中学生が一人になってしまわないように、高校生はちょっと後ろに控えて、一人になった中学生とペアを組むようにしていました。この点については、なぜこのような行動をしているのか、ちょっと気にかかっていました。
対話のときも、高校生が話し合いをリードしてくれました。
後で聞いたところ、ウォークスルーの後、みんなで集まって中学生が戸惑わないようにするにはどうしたらいいのかを話し合ったのだそうです。高校生のとっても優しい気持ちが行動ににじみ出ていました。本当に優しい子どもたちだなぁと思いました。
こんな気持ちをもっている子たちが住んでいるのが東浦町なのですね。
今後の展開
中高生のアイディアを一つでも実現させたいなぁというのが町長はじめ、担当者の想いでした。
自分が、みんなが考えたことを実現させる。この手ごたえは素晴らしいですよね。
話し合うだけではなく、実現にむけて行動する。これを自治としているのですから、是非、機会を設けて実現する喜びを味わってほしいと思います。
発信の方法として、SNSの活用などがありました。これなら、資金もかからず実現できそうです。
次のステップは実現への行動ですね!
おわりに
他の自治体でも、できるだけ子ども(特に中高生)の参加も企画しています。
まちの将来は子どもたちのものですし、まちの夢、宝物は子どもたちですから、当事者として参加してほしいと考えています。
まちの話し合いには、女性と子どもの参加は欠かせないと、東京工業大学の桑子先生がおっしゃっています。
私も、女性と子どもがワークショップに参加すると雰囲気だけでなく、話し合う内容も違うことを実感しています。
老若男女、いろいろな人が参加して、まちの未来を考えていけるような場にしていけたらと思いました。
最後に、わがままを聞いてご尽力くださる職員の方々、本当にフランクにその場にいてくださる町長さまに感謝します。
町長のブログにも掲載されました。
http://www.town.aichi-higashiura.lg.jp/02hishokoho/tyoutyou/message20160203.htm
2016-01-27 | ブログ
東京中央卸売市場(通称 築地市場、場内)の場外市場へ行き、朝の賑わいを体感してきました。
この秋、中央卸売市場が現在の築地から豊洲へ移転すると言います。場外市場は、現在の場所に残るとのことです。
(http://www.tsukiji.or.jp/related/future/)
移転先と築地では、少し距離があるので場外市場の仕入れはどうなるのでしょうか?
船で輸送というはいかがでしょう?「釣りバカ日誌」のはまちゃんが船に乗って通勤していたように、車で輸送するよりも時間が短縮されるのでは?天候に左右されてしまうかしら?といろいろと想像しました。きっと当事者の方々も模索の日々ではないかと思いました。
移転後も賑わいを維持しようと、場外の取り組みは活発なようです。
「築地こどもクラブ」で子どもたちが自分でつくる料理に挑戦できたり、
「趣味のカメラ箱」で場外市場の写真を募ったり
「TSUKIJI 食まちスタジオ」で調理機能付きのスタジオをつくったり
と参加型の取り組みは、食に関することもあり、たいへん魅力的です。ホームページも思わず見入ってしまいます。
秋の移転以降、どうなるのか?移転前に一度朝の賑わいを見ておこうと思い、出かけました。
(本当は5時からマグロの競りを見学できたそうなのですが、気が付いた時間が5時でしたので、あきらめました。こんなチャンスはなかなかありませんので無理してでも行くべきだったと反省。)
WEBで検索すると、業者の方は4:00~9:00まで仕入れをしていらっしゃるので、一般の人は9:00以降に行くのがベストとか。
9時少し前に到着しました。狭い歩道、路地に歩くのがやっとな程、たくさんの人がいました。業者の方は竹の籠を下げて歩いていらっしゃいました。竹の籠はこの頃では見かけることはありませんでしたが、ここでは、ちゃんと使われいることに、懐かしさや粋と感じました。
業者の方だけではなく、若者や外国の観光客もたくさん見受けられ、活気があふれていました。
そして、路地沿いにある食堂や、路にあるスタンドのようなテーブルで朝食をいただいている方もたくさん。
朝食を築地場外市場で!という、これも粋な築地の過ごし方ですね。
私は、2016年マグロの初競りで、1匹1400万円で落札したという「すしざんまい」で朝食をいただきました。
(http://ringosya.jp/tsukiji-maguro-sushizanmai-17616)
もちろん、該当のマグロではありませんでしたが、本場(?)築地のマグロ、美味しくいただきました。
秋の移転に合わせて、場外市場は「築地魚河岸」となり、整備されるそうです。
場外市場のような古くからある街並みがなくなってしまうのは寂しい限りです。アジア、日本らしい狭い路地の文化もなくなってしまいます。
もっとも、これは一時的に訪れる観光客としての想いなのかもしれません。文化を継承するという意味では素直に歓迎できませんが、普段、利用していらっしゃる方々はお天気も関係なく仕入れができるようになるので歓迎していらっしゃる方もいるのかもしれません。
移転後も見学して、比較してみたいと思いました。
*この写真は、歩いているときに見つけた「マグロ焼き」です。「たい焼き」ではありませんでした。
外はパリっとして、厚い皮とあんこで甘すぎず、おなかもいっぱいになりました。
中トロには、あんこと杏が入っており、杏が柔らかく自然な甘さで、この組み合わせも美味しくいただいてしまいました。
2016-01-15 | ブログ
以前から気になっていた「社会構成主義」
一度、ちゃんと学びたいと思っていました。やっと本格的な書籍を見つけ、読むことができました。
『あなたへの社会構成主義』ケネス・J/ガーゲン(著)東村知子(訳)、ナカニシヤ出版、2004年
です。この中で、社会構成主義と対話の関係について備忘録も兼ねてご紹介します。この書籍の内容はとても深く、何度も読み込み対話を重ねていくと新たな気づきがたくさんありそうですが、今回は「対話との関係」に絞ることにします。
社会構成主義とは
私たちが使っている言葉は、文化や周囲の環境などの共同体の影響を受けています。文化や環境が変われば、言葉も変わります。また、性的な役割であったり、宗教や知性、感情も同様に文化や環境の影響を受けています。
例えば、気温が0度であるとして、この0度は沖縄と北海道ではとらえ方が違います。冬の北海道では、今日は気温が高いとなりますし、沖縄では寒い日であるといえます。
このように、同じ日本国内でいう「0度」であっても意味する内容が異なってきます。
これは、自然科学にも言えることで、自然科学は客観性のある数字など絶対的な根拠を背景として理論が打ち立てられているようにとらえられています。しかし、何が科学的な根拠であるのかを決定するのは科学者のコミュニティであるというのです。
事実(≒誰にでも平等に起こる、客観性がある)に基づいているという科学は、社会的平等と結びつき、中世では教会や王の特権が奪われることになっていきました。しかし、科学技術が発達してきた現在では、「科学以外のあらゆる声を沈黙させる」ということで平等を脅かす存在になっているといいます。
逆に科学者、科学的であることがある種の特権を持ってしまっているといえるのかもしれません。(科学的でない、根拠がないものに対して「非科学的」と排除することは散見されますよね)
対話による言葉の再構成
社会構成主義は、言葉を見つめなおすことから社会そのもののあり方を変えることができるというものです。
「ある言葉」を掘り下げていく、その言葉の持つ意味はどのような文化的な背景、環境、共同体の中で培われてきたのかを考察します。すると、言葉の裏にある考え方、感じ方に支配されていた自分たちが見えてきます。
言葉がもっている背景を把握し、もう一度言葉を構成しなおしていくのです。新しい言葉の意味を生み出していきます。そうすることで新しい関係性ができ、言葉を作っている共同体が新しいものになり、社会そのものが変わっていくのです。
上記のように、言葉をとらえなおしていくには「対話」が必要になってきます。言葉の意味を問い直すには、自分の中での対話、他者との対話を進めて、探求していくことが必要になってきます。
対話することで、「私たちの行動が、いかに言語形式(言葉)によって定義され、構成されているのか」に気づくことができます。そして、その言葉を対話の中で再構成することで関係性を変化させることができるといいます。
対話を構成する要素
双方向の話し合いの場を前提として、この書籍では「メタファー」(ファシリテーター的には「リフレーミング」)によって関係性をとらえなおすことが可能だとも提案されています。
例えば、議論を戦わせるという表現にすると、戦いですから勝・負が背景に存在することになります。論戦に勝てば勝利ですが、負けた側は敗北感と嫉妬などが感情として生まれます。そのような状況ではお互いに協力して目的を達成するということは難しくなります。
では、「議論を戦わせる」ではなく、「話し合いをする」「アイディアを出し合う」と言い換えると、勝負という感覚はずいぶんと減っていきます。
もう一つの方法として、ナラティブ(物語を語る)によって共感を生み、自分が何者であるかというアイデンティティを形成していくといっています。
社会構成主義では、「言葉」をとらえなおすことで、関係性が変化していきます。すると、共同体(≒組織、社会)の中の関係性も変化していくのです。対話には「明日を創る」力があると言っています。
ホールシステム・アプローチと組織変革、社会変革がつながった
このブログでもお伝えしてきました「ホールシステム・アプローチ」という対話による話し合いの方法があります。ワールドカフェやAI、OST,フューチャーサーチなどです。
『あなたへの社会構成主義』の中では、フューチャーサーチとパブリック・カンヴァセーションという試みが紹介されていました。
ワールドカフェのイベントの際、ビデオ出演してくださった考案者のアニータ・ブラウン氏も、一昨年ODNJ(組織開発ネットワーク、ジャパン)のイベントにご出席くださったダイアナ・ホイットニー氏も「社会構成主義」を言っていました。その理由がようやく納得できました。
これらの方法は、対話をすることで、言葉の意味をとらえなおし、組織・社会を再構成していくというパワーをもっていたのです。
『ダイアローグ』を書いたデビット・ボウムは、(社会構成主義の前身と位置付けられるのですが)「具体的思考(科学的な思考)は人々を分断してきた」と言います。そして、今、人々をくっつける(関係性を創造していく)ために対話が必要なのだと言っています。
対話を活用したホールシステム・アプローチで人々をくっつけていけば、組織や社会が変化していくといえます。ただし、対話には問いかけが欠かせませんが、その問いかけの方向性は、排除しない、価値を認めることを前提とした言葉にしなくてはなりません。
問いかけを考えるときには、自らの言葉に注意が必要となります。問いかけの中に使われる単語、文脈を推敲して使うことが求められています。
ファシリテーターは問いかけの言葉を、その場になるまでずっと推敲しています。その問いかけで本当に適切なのか?参加者がじっくりと対話できるのか?その問いかけで対話が成立するのか?などずっと考えています。そこに、改めて「価値を認める問いかけになっているか」を入れておくことが必要だということが認識できました。
ずっと気になっていた「社会構成主義」と「対話」「ホールシステム・アプローチ」の理論的な関係がわかりました。そして、今後の問いかけについては、さらに対話の力を出せるように取り組んでいかなくては!と思いました。
2015-12-22 | ブログ
先日、久しぶりに上京し、銀座あたりを歩きました。
すると、下の写真のような看板がありました。
浅草、浅草寺で見つけた若い女性たちの着物姿に感動した記事を載せましたが、銀座でも!
http://social-acty.com/blog/date/2015/07/
銀座も古い建物が残っていますので、着物で歩くのには雰囲気はあっているのかもしれません。
英語での記載もあることから、インバウンドのお客様もターゲットなのですね。
残念なことに、昼間、着物姿の方を見かけることはありませんでした。
夜は、レンタルではない美しい着物姿の方々をたくさん拝見しました。
さすが、銀座!ときょろきょろしてしまいました。
「着物で地域おこし」ということが流行り始めています。
経済産業省の和装文化振興の報告書が今年、平成27年6月に出ています。http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/seizou/wasou_shinkou/pdf/report01_01_00.pdf
この中で、20代の方が着物を着る機会は趣味(お稽古等)に続いて、パーティで着る、観光地、着物のドレスコードのあるイベントで着ることが多くなっています。
着物を観光地で着る、着物を着るイベントなどが若者に好評なようです。
歴史的な建造物、伝建築での着物を着て散策というのは、若者に喜ばれるのですね。
地域へのプライド、地域アイデンティティが醸成されそうです。
その前に、着物を着て歩く楽しみも味わえます。
*着物で地域おこしをしているところはたくさんありました。
やはり、織物などの生産地でイベントがあるのは納得ですね。
富岡 http://www.city.tomioka.lg.jp/www/contents/1433730665166/simple/201504matumoto.pdf
十日町 http://inacollege.jp/blog/2015/05/04/着物のまち、十日町/
桐生 http://kiryutimes.co.jp/2014/04/闊歩3年ぶり復活へ.html
名古屋市でも文化の道を着物で散策するイベントがありました。http://arukou.higashinet.net
2015-12-20 | ブログ
この一年、合意形成をするという場面でファシリテートしていることが多かったように思います。
振り返ってみて、限られた場面ではありますが、なんとなくコツがつかめてきたような気がします。
その前に
2012年にFAJ(日本ファシリテーション協会)の中部支部定例会で「合意は10分でできる!?~即効&納得の合意術~」というテーマで定例会を行ったことがありました。
https://www.faj.or.jp/modules/contents/index.php?content_id=1910
その内容はすっかり忘れてしまっていたのですが、レポートを読みかえし、この時に整理したコツはワールドカフェに近いものがあったのだなぁと感じました。
2012年に学んだはずのコツは
・前向きな問いかけを考える
・話し合いの前にメンバーの価値観を共有しておく(shared value)
・テーマについて、定義やとらえ方などをあらかじめ揃えておく
でした。
さてこのコツが実践に活用されたのか?ということが気になります。
今年つかんだコツは
実は対話(ワールドカフェのようなことを含めて)を行いました。
そして、ワールドカフェのハーベスト(収穫:対話の後の全体での共有)にこだわり、ハーベストの方法で参加者のみなさんが納得できる合意ができるのではないか?と仮説を立てて実践に臨みました。
会議の目的から何を合意すればよいのか?成果は何か?を念頭に、ハーベストの方法と問いかけを考えました。
実践の共通項はとてもシンプルなものでした。
・前向きな問いかけによる対話
・メンバーチェンジ
・参加者全員の前で、合意案を作っていく
ということでした。
対話した結果を全員で共有し、合意案ができるプロセスに全員で関与する、合意案ができていくプロセスが見える。
シンプルですが、重要なことなのだと感じました。
2012年に学んだことを実践した、ということに気づきました。きっと、http3年かけて実践する時が来たのだと思いました。
ワールドカフェの力
2012年の学び、2015年の実践、どちらからもワールドカフェのパワーとハーベストの方法が重要だということが浮かび上がっていました。
2015年はワールドカフェが考案されて20年です。
先日、ご紹介したワールドカフェ イベントで考案者のアニータ・ブラウンが言っていた「ワールドカフェの力」が心に沁みてきました。
http://social-acty.com/blog/1279/
対話には「問いかけ」が重要。
ということも体感しました。他の方がファシリテーターの対話の場面に参加すると、とても気持ちよく対話が進むときとそうでないときがありました。
これは、ファシリテーターの存在だけでなく、問いかけの力も大きいと感じています。
これからも精進してまいります。どうぞ、応援、よろしくお願いいたします。