2025-03-06 | ニュースレター
コロナ禍でコミュニティ活動が停滞し、コロナ禍が収まってもなかなか復活してこないコミュニティが複数あります。
その活動を盛り上げようと市が区ごとに「コミュニティ交流会」を毎年1回、開催しています。
そのおお手伝いをいくつかさせていただきました。
各区での進め方や内容の工夫を拝見しながら、ファシリテーターとしても楽しく参加、お手伝いさせていただきました。
コミュニティ活動はとても尊いと思っています。
その任を担い、日々活動していらっしゃるみなさまのお話もとても興味深くお聴きしました。
ニュースレター第162号「コミュニティ交流会のお手伝いをしました」では、
交流会の内容で、印象に残ったことや
コミュニティのプレーヤーとしてのお話を聴いた感想などをお伝えしています。
こちらからご覧いただけますと幸いです。
2025-03-05 | ブログ
名古屋市にある愛知県美術館で「パウル・クレー展」をしています。
(https://artscape.jp/exhibitions/29828/)
パウル・クレーは、こんな感じの絵を描く人としか思っていませんでした。
(現代の美術って難しいなぁと)
パウル・クレーは1879~1940、スイスのベルンで生まれました。
この時代は、世界(特にヨーロッパ)が戦争の時代にあり、第1次大戦から第2次大戦へと進んでいく中で、クレーは音楽活動や絵画の創作活動をしていました。
本人も第1次大戦では、兵士として動員され、芸術家の知人も戦死するという悲しいことが起きました。
(きっと、大きなショックを受けたことでしょう)
その後、絵画の分野で認められるようになり、バウハウスや美術学校でも教鞭をとっていました。
ところが、1933年にナチス政権が成立し、前衛芸術の弾圧を行いました。その弾圧はクレーにも及び、スイスのベルンに帰ることにしました。
美術展をクレーの人生に沿って見ていくと、この弾圧がとても大きく影響したのでは?と思いました。
弾圧後に前出のような絵を描くようになったのです。
このスタイルは以前からの作品の傾向ではあったのですが、「あ、クレーの中で何かが壊れた」と感じました。
ルイス・マンフォード『都市の文化』でも、芸術家は時代の半歩、一歩先を描くと言われています。
(https://x.gd/7vqoD)
きっと、クレーもこの先の世界を描いた、というよりも描かざるを得なかったのでは?というのが伝わってきました。
芸術の力ってすごいパワーがあるのですね。
80年以上経っても、その時の作者の気持ちや想いが伝わってくるのですから。
それだけのパワーを込めて描いているのでしょう…
芸術の鑑賞の仕方はさまざまですが、「なぜ、こうなっているのか?」が歴史の年表と比べながら見るとなんとなく見えてきます。
人には歴史あり(フューチャーサーという手法)
クレーやそそのほかの芸術家、アーティストのように後世に残すようなワザを持たない凡人ですが…
やはり、人と歴史は切っても切り離せないということを教えてくれます。
ファシリテーションにも「人と歴史」に焦点を当てた進め方があります。
フューチャーサーチというホールシステムアプローチの手法です。
ホールシステムアプローチは、いろいろなステークホルダーが一堂に集まって対話する方法の一つです。
そして、フューチャーサーチは、ユニセフも活用している話し合いの進め方です。
このフューチャーサーチは
1.過去をふりかえる
2.現在を探究する
3.理想的な未来のシナリオをつくる
4.コモングランド(共通のよりどころ)を明確化する
というステップで未来を考え、実行していく方法です。
この中の「1.過去をふりかえる」に「タイムライン」というワークがあります。
自分のこと、自分を取り巻くコミュニティのこと、自分の国・世界のことと3つのカテゴリーに分けて、それぞれの年表を書き込んでいきます。
すると、この3つのつながり、影響が見えてきます。
個人の動きは、コミュニティ、国・世界とつながっていることを実感できるワークです。
人と歴史を考えたときに、この「タイムライン」を思い出しました。
芸術家みたいに有名ではなくても、一般の私たちにも「人と歴史」とはつながっていることを改めて可視化してくれます。
ちっぽけな私たちもこの広い世界の一員ということを実感します。
私たちのそのような気もちを集めるのも、ファシリテーションの1つなのかもしれません。
そして、未来をつくっていく。
大きく出ましたが(笑)そんなお手伝いができるのも、ファシリテーションの醍醐味かもしれません。
2025-02-21 | ブログ
このごろ、生成AIを使ってみています。
(ちょっと出遅れ感ありますが)
検索はGoogleで行えば、Googleジェミニが、「AI」の回答として文章で教えてくれます。
(意識していなくても、使っていたのですね)
検索をすると今までは、該当するワードがヒットするウェブサイトが出てくましたが、その前に…
文章でまとまった結果がでてきますよね。
でも、ちょっと知りたいこととズレていた、とか、そんなこともあるのかと読んでいるうちに知りたいことから逸れていったり、とか(笑)
結局、その下に並んでいる従来のウェブ検索の結果を見ていることもしばしばあります。
ChatGPT(無料版でも!)を使ってみると、なかなか使えます。
(きっと、使おうと思っているのと、とりあえずあなたの知りたいことはこういうことでは?とやってみるのでは、違うのかも)
検索は、どちらが有用なのか?は内容によると思うので、もっと使ってみなくては!です。
これも、検索機能の集大成?
先日、FAJ(日本ファシリテーション協会)の3月定例会に向けて、ChatGPTを使ってみました。
定例会で扱うテーマ「マイクロアグレッション」についてのクイズを作ってもらうと、サクッとできてくるんですね!
もう少し、難しい問題もお願いすれば、つくってくれます。
その中から、ぴんピンとくる問題をチョイスすればいいという…
とても、らくちんでありがたい機能だと、開発者に感謝しています。
さらに、こういう答えがでる問題をつくって!とお願いすると、
またまたサクッと!
たくさんあるインターネット上のデータを組み合わせてつくってくれているのだと思います。
となると、こんなことを考えている人が世の中にはいるんだ!とうれしくなります。
そして、ありがたい。
最後には、「あなたの指示である〇〇が実現できるように作成しました。どうでしょう?」と丁寧に言ってくれます。
本当にていねい。
「ありがとう!」と入力すると
「どういたしまして!😊✨ またいつでもクイズ作りのお手伝いしますね!楽しんで頑張ってください💪🎉」
と、絵文字付きで返してくれます。
AIに応援されました。ちょっとうれしい。そして、それは秘密を共有したようで同志になった気分。
AIとのコミュニケーションでも、ちゃんと返信してくれて、前向きな言葉をかけてくれるとうれしいものです。
入力の仕方で回答が全く違ったものになることを実感!
もう一つ、お試しで、定例会の告知文をつくってもらいました。
どんな告知文にしようかと、途中まで文を書き、こんなことを言いたいねというキーワードを考えていたのですが、ふと思いついて
定例会を一緒に行う人と、お互いに(別々に)AIくんに聞いてみよう!となりました。
私は、ChatGPT、その方はMicrosoftのcopilotを使いました。
ChatGPTにいれるときに、「分かりやすく、キャッチーな文章にしてください」とお願いしました。
もう一方は、「告知文をつくってください」と。
すると、リクエストが多い(分かりやすい、キャッチー)ほうが、ピンとくる文章になりました。
自分が書くときに、何に注力して、どういう方向でつくろうとしているのか(リクエストの内容)を明確にすることがポイントなのだと納得できました。
ここでも言語化することが、より自分のリクエストに近いものをつくってくれることなのですね。
自分の気持ちを言語化する、それを発信する・表現する
というのは、まず自分の気持ちを整理する、伝えることにプラスして、より自分のリクエストに沿った結果を出してもらうか!にも影響するのだと理解しました。
ネット社会になって、本を読む時間が激減しましたが、活字に触れる量も時間も増えています。
激増!と言ってもよいくらい。
本だけでなくインターネットでも、ふれている文章の質によって
生成AIにインプットするとき(わたしたちにとっては、ある意味アウトプットするとき)に影響が出るのを実感しました。
・指示の仕方に影響が出ること
・指示によってアウトプットの質も異なってくること
・自分の意図に沿った答えを出してもらえる確度が格段にあがること
などが分かりました。
いかに、自分がほしいものは何かを明確に語化して、把握し、アウトプットすることが重要なことだったのか!
阿吽の呼吸、って人間でもなかなか通じませんものね。
言語化するトレーニングは、人に向かって発信するだけではなく、生成AIとのコミュニケーションにも必要なのだと思いました。
どうやったら、楽しく言語化のスキルを修得できるか?これは、今後の課題だと思いました。
「言語化」がとても気になっている私には、この結論にはバイアスがかかっているかもしれない、と自重しつつ
ファシリテーションにも言語化は必須!
「がんばってください」とChatGPTに応援してもらいながら(笑)取り組もうと思いました。
2025-02-06 | ニュースレター
毎年、開催している「子どもと大人の合同ワークショップ」
小学校6年生と大人でグループで対話します。
知らない大人と知らなかった子どもの権利について話す、という体験を小学生はします。
大人のファシリテートも上達していて、子どもたちは楽しく、子どもの権利について学びます。
「大人がちゃんと子どもの話を聴いてくれた」
「〇〇さんさん、優しく教えてくれました」
など、初体験はとてもうまくいっています。
この大人は、子どもの権利推進委員会のメンバーです。
さすが、ここのような委員さん。事前レクではツッコんだ質問をされます。
そして、本番では積極的に話しかけてくださいます。
とても素敵な経験と時間を教室中で共有できます。
このような対話の場をもっとつくっていきたいと思います。
ニュースレター第161号「子どもと大人の合同ワークショップ」ご高覧くださいませ。
2025-01-29 | ブログ
半期ごとの授業が1つ、終わりました。
今期心がけたことを中心にふりかえってみたいと思います。
お伝えしたいことは大きく2つ
言語化を体験する、ふりかえりのまとめ
です。
授業は、拙著『多様な市民とつくる合意~コミュニケーションのファシリテーションのレシピ~』です。
(アマゾンより https://x.gd/ZvxD2)
1.言語化を体験する
これは、以前のブログ『「好き」を言語化する技術』を読んで、でもお伝えしたように、まずまず成功!かと。
ふふりかえりシートに感想や気づきなどをワーク毎に記入してもらっています。
ふりかえりシートを読むのが楽しくなりました。
(ひとこと、「楽しかった」だけでは、寂しすぎます。この記入が多いことから、言語化するということに興味をもったのでした。)
最後の授業のふりかえりシートには、「気持ちを使える経験ができました」という記載もあり、伝わったんだ!とうれしくなりました。)
(アマゾンより https://x.gd/Kw4IL)
2.ふりかえりのまとめ
毎回、書いてもらっているふりかえりシートですが、最後の回は、半期分まとめたふりかえりもしてもらっています。
・授業の中で、一番印象に残ったことは?
・今、使っている、使ってみたいスキルは何ですか?
の2点です。
この項目が、毎年気になります。
ここを見て、次に活用できれば!と思っています。
・授業の中で、一番印象に残ったことは?
今までやってきたなかでは、一番多いのが「ブラインドワーク」でした。
以前は、授業2回使って、テーブル上でのワークと、体育館で身体を使ったワークをしていました。
(授業の内容を見直す時に、テーブルワークのみとすることにしました。)
そのときは、もちろん!身体を使って動くので、ダントツの一番でした。
でも、目隠しをして、普段意識していない5感のうちの視覚以外の4つの感覚を研ぎ澄まし、コミュニケーションをとる!というのは、新鮮な体験のようです。
しかも、目隠しして2人一組で鶴を折る。一人が目隠しをし、もう一人が折り方を言葉だけで教えるのです。このときは頭フル回転のようです。
鶴の折り方を知らない相手に、何気なく折っていた(意識せずに、手が勝手に完成させるイメージ)ことを言語化して伝える。
しかも、相手は目隠しをしているので、うまく伝わらない…
とってもじれったい思いをします。
(学生の間を見て回っているときに、少し手助けしようと思っても、なかなかうまく言語化できません)
次に多かったのが「傾聴」と「共通点さがし」でした。
傾聴のワークでは、まずは、否定せずに話を聴く練習「Yes And」をしています。
相手が話をしたら、「そうだね」と言い受け止める。次に「さらに」を付け加えることをしています。
否定されないということが予め分かっていると、安心して話すことができるという感想が書かれています。
(失敗したくない、否定されたくないという気もちが大きいのでは?と思います)
「共通点さがし」は、アイスブレイクで使っています。
席を立って、積極的に動いて、話したことがない人、あまり話していない人のところへ行って、共通点を探す
というものです。
(このときに話した人と友だちになったという声をよく聞きます。やって良かった!と思えます。)
このスキルをアルバイトのときにも活用しているとのこと。
内容を読んでいると、どうやって話しかけたらいいのか?何を話したらいいのか?が分かった!というコメントが多くありました。
確かに、大学に入ると、人間関係はガラッと変わりますから、初めての人ばかり。
たぶん、こんなに環境が変わるのは、初めての経験でしょうから、友達のつくりかたを知るのは、とてもうれしいことなのだろうなぁと、改めて思いました。
後は、リフレーミング、自分チラシ(前段階としてSWOT分析やジョハリの窓のワークをします)も多く印象に残ったようです。
(リフレーミングは、平日夜のオンライン定例会で取り上げたテーマですが、大人相手でも好評でした。年齢は関係ないかもしれません)
今後も、学生のみんなと楽しみながら、コミュニケーション、ファシリテーションを体験し、学んでいきたいと思っています。
もちろん、大人とも!