2015-08-01 | ブログ
いつも魅力的なテーマと講師の方を呼んでくださるOka-Biz(岡崎ビジネスサポートセンター)さんのセミナーに参加してきました。
今回のテーマは「ビジネスとソーシャル・デザイン」。講師はNPO法人グリーンズの理事、兼松佳宏氏でした。
以前、書店で見かけて購入した、シンプルなのにインパクトのある『ソーシャルデザイン ―社会をつくるグッドアイディア集』の編集がグリーンズでした。
肩肘はらずに、楽しんで社会を変えて行こう!という気持ちが伝わってきて、この企画をしたのはどんな人たちなのだろう?と思っていました。
そのご本人が講義をしてくださるということで、たいへん楽しみに参加しました。
グリーンズとは?
無料のWEBマガジンを発行している特定非営利活動団体です。
http://greenz.jp/about/
社会のさまざまな課題を解決するときの方法を楽しくして、わくわくしながら参加していたら、いつの間にか解決できていた、ということを目指しているそうです。
このとき、事例として心に残ったのは、スウェーデンでの社会実験。
ある小学校近くの道路を往く車のスピードを抑えられないか?という課題に対して、
真正面から罰則や制限速度を抑えるという取り組みではなく、楽しく取り組めるようなアイディア!
「スピードを守った人に宝くじが当たる」という看板を立てたのだとか。
するとスピードは全体で20%も抑えることができたそうです。
というように、上から押さえつけるのではなく、自主的にやってみようかと思わせるような仕掛けを考え、実行する、している方々をご紹介しているそうです。
社是(?)はASAP(As Santa as possible!!!),サンタのように=贈り物を届けるように課題を解決していこう!ということらしいです。
ミッション=贈り物を届けるなのです。
クリスマスの朝、自分が子どものときは、どんなものでも、プレゼントが枕元にあるのを見つけるととても嬉しかったです。子どもが生まれてからは、子どもがプレゼントを見せにくる時の、とびきりの笑顔が見たくて、競争率の激しいプレゼントを子どもに内緒で買いにいきました。
きっと、そんなわくわくした、笑顔を見たい!という気持ちを大切にしていきたいということなのだと思います。
そんな気持ちを大切にするグリーンズさんの運営や、事業の進め方にあったファシリテーションとのつながりをご紹介します。会場とのやり取りの中で出てきた事柄でした。
贈り物を届ける、自分も人も笑顔になるために必要なことは、ファシリテーションのスキルとその底流にあるマインドなのだと思いました。
いくつかご紹介します。
ファシリテーション・スキルの活用1 問いかけ
取り組み方を思いついたり、考えていくために必要なこととして、「みんなで話し合う=対話の文化がベースに」あるとおっしゃっていらっしゃいました。
みんなでブレストの段階から話し合うと、みんなでやる!という気持ちと実行力ができてくるとのことです。
そのときに一番大切なことは「問いかけ」だそうです。
「何かアイディはないですか?」と問いかけると、なかなか面白そうなアイディアはでてきません。
ところが、「○○さんを幸せにするには?」とか「シャッター通りを楽しむには?」とすると、楽しそうなアイディアが出てきます。
「問いかけ」が大事というのは、ファシリテーターと同じです。ファシリテーターも話し合いが活発になるような、アイディアがでてくるような問いかけを考えています。時には、問いかけを発するタイミングまで悩み、直前でやっと決まることもあるほど、「問いかけ」には力を入れます。
兼松氏はファシリテーターなのですね。
ファシリテーション・スキルの活用2 マインドマップ
問いかけを考えていくにあたり、どのレベルの問いかけにするのか?という課題があります。
商店街を賑やかにしたい→シャッター通りを楽しむには?という問いかけにするまでには何段階も掘り下げていかなくてはたどり着きません。
兼松氏は解像度を上げるという表現をしていらっしゃいました。
この解像度を上げる作業にマインドマップを活用していらっしゃいました。
5段階ほど解像度を上げる(マインドマップの腕を5段階ほど先端に進む)と、どのくらい本気で考えたいのか?がわかり、考えるプロセスで自分ごとになっているというのです。
ファシリテーション・スキルの活用3 チェックイン&チェックアウト
これは、ファシリテーション協会の会議の中ではよく行われています。
チェックインは、ホテルのチェックインのように、会議の本題に入る前に一人一言ずつ話します。「今の気持ち」とか「最近あった楽しかったこと」などです。会議を始める前の口慣らしであったり、体調がわかったり、今の関心ごとがわかりますので、会議中も「今日は体調が悪いから、仕方ないな」というようなこともでき、お互いにつらくない会議になります。
チェックアウトは、会議終了後、今日の会議をふりかえって一人一言ずつ話します。これで、締めくくりができたり、気持ちの整理ができたり、会議のふりかえりができたりします。
また、参加した方々の会議の受け取り方がわかったりすることで、認識の違いなども確認できます。
チェックインとチェックアウトを行うことで、気持ちの中でも区切りがつき、記憶が定着します。
ほんの少しの例ですが、グリーンズの会議中に行われているのは、ほとんどファシリテーションでした。
お話を伺いつつ、これはあのスキルだなと思い合わせて聞いていたことが、的を射ていたので驚きとともに納得もしました。
社会起業をするにあたり、一人ひとりの参加意欲を引き出したり、自分ごととして考えたり、プロジェクトを楽しめるものにしたり・・・さまざまな場面があります。新しいことをしていこう、今までとは違う結果を出そうとするには、今までとは違った方法で行わなければ、できません。(デザインの大学准教授がおっしゃっていました)
そこに、ファシリテーションのスキルを使った進め方が必要とされているのだと思います。
ファシリテーションでできること、可能性を感じることができました。
兼松さま、Oka-Bizさま、ありがとうございました。