2015-10-16 | ブログ
合意形成はファシリテーションのスキルの中でもかなり高度で難しいものだと言われています。
ここ1,2年、試みている方法が合意形成だけでなく、参加者のコミットメントにも有効なのだと体感したことをご報告します。
はじめに
私の所属している日本ファシリテーション協会(faj)https://www.faj.or.jp ができて10年余り経ちます。
このNPOができて早々に公開セミナーも開催するようになりました。したがって、公開セミナーが始まって10年あまり。
セミナーの内容は、講師陣が常に見直し、研鑽しているため、鮮度を保っています。
しかし、そのセミナーを支えるスタッフの体制は、追加、入れ替わりがあるものの、根本的な体制の見直しはしてきませんでした。
昨年度から、このセミナー委員会の副委員長を務めさせていただいております。
従来から体制を整えることが課題となってきていたのですが、今回、念願の見直しに着手することになり、そのたたき台を作るべく、全国から委員が集まりました。
(全員で70名を超えていますので、予算上、15名に絞らざるを得ず、申し訳ないのですが)
2日間の会議のファシリテーター
会議を開催するにあたり、4人の正副委員長と講師、担当理事(計6人)で準備を進めてきました。
直前の打ち合わせの際、ファシリテーターを仰せつかってしまいました。
ゴールと2日間の大まかな話はできていたものの・・・
ゴール:セミナー委員の抱える課題を出し、解決策ができていること(参加できなかった他の委員に提案できるものができあがっていること)
大まかなスケジュール:1日目 課題だしの発散に徹する
午前中は各地の活動をふりかえる「タイムライン」をする(ランチタイムも引き続き行う)
午後は課題出し
2日目 課題の解決策ができている収束の段階
「これだけ? ファシリテーターをすると分かっていたら、もっとプログラムを作ることを話題にすれば良かった」と反省しながら、あらあらのプログラムを作成しました。
宿題の担当さんもおり、その宿題と打ち合わせメモを見比べつつ、2日間に起こるであろうことを思い浮かべつつ・・・。
プログラムは
1日目 午前 チェックイン、宿題の共有、趣旨説明、タイムラインの作成
午後 課題の共有(ワールドカフェ)、ハーベストで課題を一覧にする(マインドマップ)、マインドマップから課題を抽出する、明日の検討課題の問いをつくる
2日目 (課題解決策を考える+解決策の共有)×3ラウンド、全体共有、ふりかえりとチェックアウト
にしました。
この中で、2日目課題解決策を考える+解決策の共有 のパートでは、このごろの試みが実を結びました。
時間を区切り、グループワーク→メンバーチェンジ(グループワークのプレゼン+アイディア出し)→元に戻ってもう一度検討
その後、全体で解決策を共有しました。
すると、最終案は、他のグループのメンバーがその経緯を知っており、アイディアも入っていることから、異論なく合意できました。
そして、メンバーの意識は、「たまたまこの課題については代表で解決策を考えている。他の興味ある課題についても自分のアイディアも出しているから、どんな案が出てきてもコミットメントが高い」という状態になっていたのだと考えられます。
コミットメントも高まる進め方
グループワークにおいては、他のグループの出してきた案にコミットメントを高く合意するというのは、あまり期待できません。
この方法であれば、そのグループに参加していない人も、「自分ごと」になっていき、合意できる(できそうだ)ということが検証できました。
ワールドカフェやそれをアレンジしたプロアクションカフェなど、メンバーチェンジしながら進めるいろいろな方法が考案されています。
今回の会議で「メンバーチェンジする」ことの意味を深く体感し、場面は違えど、共通するものは同じなのだと理解しました。
今後もさまざまな場面で活用したいと思いました。