2016-03-14 | ブログ
先日、一緒に何かをしながら時間を共有することの大切さとパワーを実感しました。
「一宿一飯」「同じ釜の飯を食う」と言われています。やはり、一緒に食べるという時間は昔から何かを生み出す場であったのですね。
昨年度からお手伝いさせていただいてきた地区で、この1年間の各町内でどのように防災に取り組んできたかの報告会をしました。
もちろん、報告をする、聞くだけではなく来年度の取り組みについて考えるという会です。
そこで、防災つながりで「サバイバルごはん」の試食タイムを設けました。
普段は、お茶とお菓子の用意はあるのですが、手を付けない方もいらっしゃいます。
今回は、みなさん、試食してくださり、その後の話し合いもたいへん盛り上がりました。
その様子をご報告します。
サバイバルごはんとは?
3.11のとき、ライフラインの復活まで時間がかかったり、避難所生活が続いたりして、通常の料理を食べることは難しい状態がありました。
支援の薬・物資が来るまで3日かかったと、先日のシンポジウムの内科医の方がおっしゃっていました。(やはり、3日なのですね)http://social-acty.com/blog/1506/
この間も食べなくてはならない!のですが、ガスや電気が使えないとなると、通常のお料理は作れません。カセットコンロがあっても、いつライフラインが戻るか?を考えると燃料を節約したいですよね。
そこで、「サバイバルごはん」なのです。
火と水をできるだけ使わずに料理します。(キャンプに近いと思ったことは以前のブログでも http://social-acty.com/blog/date/2015/09/)
空き缶を小さな竈(かまど)にしたり、一人分をポリ袋に入れて火を通したり(水を汚さないようにすれば、何度でも同じ水が使えます)、火を使わずに、水も最小限にしてポリ袋でクッキングしたり、と様々な工夫でごはんを作ります。
カロリーだけでなく形態も通常の食事に近いものを食べたい、作りたいと思うのではないでしょうか?
非常時だからこそ、普段の食事をすることが大切で、気持ちを落ち着ける大きな要素になるのだと思います。
平時であっても、落ち込んだときに美味しい食事をすると、人心地がつくことってありますよね。
サバイバルごはん(略してサバめし)を作ること、食べることにも普段から慣れていたいものです。
*サバめしを3日続けたらストレスがたまりました。レシピを見ながらチャレンジしていたのですが、だんだんとその行為に疲れてきて、ちゃんと火を使う、いつもの料理をしたくなったのです。いきなり3日続けたのが原因かと思いました。しかし、被災したら強制的にそのような状態になってしまうことを考えると、普段から少しずつ慣れておくことが大切なのだと思いました。
報告会では
5テーブルありましたので、ご飯もの5種類、サバめし5種類としました。
(各テーブルに ご飯もの1種類+サバめし1種類としました。)
・火を使わずにできるポリ袋クッキング(3種)
・お湯だけ使わせていただいて α化米、じゃがりこマッシュポテト、フルーツゼリー
参加してくださったみなさんにも、ポリ袋をもんだり、じゃがりこを混ぜたりというお仕事をしていただきました。
これは、防災を自分事にしていただきたかったから、特に高齢の男性には女性でなくても食事をつくることはできることを体験していただきたかったからなのですが、違う効果もあったようです。
例えば
じゃがりこマッシュポテトの作り方を説明していると、そこにいた女性が「やったことあるわよ」とお名乗り出てくださり、彼女のご指導のもとでそのテーブルの方は、マッシュポテトを作ってくださいました。
ポリ袋で混ぜるテーブルでは、高齢の男性も喜んでやってくださいました。(特に、普段のワークショップでは、一人舞台の方も頑張って参加してくださったことに、驚きました。)
みなさん、真面目に美味しくしようと取り組んでくださいました。
というようなことが各テーブルで起こっていました。
アイスブレイクとして
テーブルごとにメニューを変えましたので、他のテーブルは何を作っているのか?気になったり、こうするといいよというような会話がはずむ、素敵なアイスブレイクになりました。
(いえ、通常のアイスブレイクよりも数段、盛り上がりました。)
普段、あまり話をしない女性も、指導的な立場になり、その姿勢は最後まで続いていました。これは発見です。
試食タイムでは、そのテーブルで作ったメニュー+α化米(1種類)を置き、他のテーブルには何があるのか?はそこに行ってみないとわからないというセッティングにしました。ということで、まずは、自分のテーブルで試食、次に他のテーブルを回って試食をしました。
ここでも、立食パーティ+メニューの評価となり、知らない間に隣にいる人と話すというアイスブレイクになっていました。
(実は、これほどの盛り上がりは想定していませんでした。食べることの大切さ、一緒に食べるという行為の威力を体感しました。)
また、自分たちのいるテーブルの人が食べるだけでなく、会場にいる全員が自分が作ったものを食べているという実感がありますので、自分の行為は社会に貢献しているという喜びもあったようです。
そして、食べた人たちが「美味しいね」「これ普段でもいいね」「どんな風につくったのかな」などと楽しく会話しているのをみると、貢献したことがさらに身に沁みてきたようです。
これらも想定外の効果でした。
そして、その後の話し合いでも試食の盛り上がりは継続しており、とても活発な意見交換となりました。
来年度の取り組みにも反映
サバイバルごはんの試食と男性も結構やってくれるという実感から、素敵なアイディアも出てきました。
とても、うれしいアイディアは…
避難訓練、炊き出しというと準備からお給仕、かたづけまで女性に負担がかかるので、女性の参加が少なかった。
サバイバルごはんなら男性もできるので、女性の負担が少ないから、女性に声をかけやすくなる。
いっそのこと、避難訓練をサバ飯ブッフェにしたらいいのでは?
しかも、防災農園でとれた野菜を使えば、費用も少なくて済む。どんな野菜を栽培すればいいかしら?
防災農園ツアーしてもいいね!
と女性がきらきらとして提案していくださいました。
この他にも、サバイバルごはんを使って、防災に町内の人を巻き込もうというアイディが出ていました。
食べることの力は大きいことを実感しました。
ファシリテーターとしても
試食した方に味のご感想を聞くと、「あれが一番おいしかった」とか「これも美味しい」とか「どうやって作ったのかした?」と言われるととてもうれしかっったのです。喜んでいただけてこちらもうれしく、メニュー選びは間違っていなかったと安心したりと、いつもと違ううれしさがありました。きっと、貢献できたという実感があったからなのでしょうね。ポリ袋クッキングしてくださったみなさまと同じ喜びを経験できたのかもしれません。
ということは、参加者のみなさんとファシリテーターが同じ気持ちを共有できたことがうれしかったのかも。