2016-06-03 | ブログ
5月28日、29日に日本ファシリテーション協会(FAJ)のシンポジウムが名古屋で開催されました。
毎年、この時期に総会とともに、シンポジウムという形で全国からファシリテーション協会の仲間が集います。
シンポジウムという名称にしてから4回目、開催地の支部が主になって進めていきます。
シンポジウムの内容は
基調講演
研究発表
F力測定
としています。
今回は、開催地ということもあり、研究発表とF力測定のコンテンツと運営を担当しました。
担当した研究発表では、最先端の試みや研究についてご報告いただきました。そこにはたくさんの学びと気づきがありましたので、一部ですがご報告します。
1.まちづくり×ファシリテーションというセッション
私の担当したセッションは、もちろん、「まちづくり×ファシリテーション」です。
まちづくりの新しい側面、対話、ITを掛け合わせました。
ゲストと内容は、下記のとおりです。
名古屋工業大学 伊藤孝紀先生 web上の合意形成システムCOLLAGREEにおけるファシリテーションの可能性
名古屋工業大学 白松俊先生 「市民参加開発型イベントシビックハッカソン」におけるファシリテーターの役割
FAJフェロー 加留部貴行さん まちづくりにおける対話の重要性と今後の展開~地域における中高生の存在を改めて考える~
各ゲストからの発表と質疑応答、最後に全員で対話をするという運営にしました。
このとき、一番印象的だったのが、COLLAGREEとファシリテーターの関係です。
COLLAGREEは2014年に名古屋市の総合計画策定時に社会実験として取り組む際に、FAJがファシリテーターでご協力させていただいたものです。
年々進化して、多彩な機能が盛り込まれていくCOLLAGREEですが、議論の最中にも必要なデータベースにワンクリックでアクセスできるようになるとのことでした。
また、意見の投稿があると議論が見えるようにするために、ロジックツリーやゆくゆくはマインドマップのようなものに落とし込んでいくことができるのだとか。
これに対して、会場から、このシステムはファシリテーターを支援する強力なツールになるのでは?という提案がありました。
確かに、対話や議論の中で、「どこかで、こんな試みがあったような」「その根拠のデータは?」など、インターネット検索をしたり、データを準備していたりします。
話し合いの中でワンクリックでできれば、話し合いが途切れることなく進みます。
次に印象的だったのは、ファシリテーション・フレーズの分析も行っていらっしゃることでした。
COLLAGREEのとき、ファシリテーターのどのような問いかけで、参加者が多く反応するのかという視点での分析だそうです。
今まで、ファシリテーションのフレーズやファシリテーターが用いる言葉について定量的な視点で捉えることが少なかったような気がします。
(一度、名古屋工業大学の大学院生さんが修士論文で、ファシリテーターの言葉の頻度と話し合いの盛り上がり方というようなことを研究していらっしゃった記憶があります。)
この研究で、ファシリテーターの問いかけのレベルが上がると考えられます。
対面ではなく、インターネットの上(主に文字情報)での問いかけは、リアルに対面する場合とどのように反応が違うのか?など、知りたいことが湧いてきました。
このようなファシリテーション、ファシリテーターのふるまいに焦点を当てる試みや研究、分析をしてくださっている研究者の方がいるということが、うれしく、心強く思いました。
ファシリテーションは、体系だって整理されておりマニュアルを見ればできる、というものではないと言われてきました。
見て学ぶという徒弟制度のようなところもあるのですが、このような研究が進めば、もっとより多くの人がファシリテーターを務めることができるようになると思いました。
今後の展開を心待ちにしています。
この他にもお三方のご報告の中で、たくさん学びや気づきがあったり、方向性は一緒だという安心感をいただいたりしました。
おいおい、ご報告できればと思います。
最後に、このような企画に快く対応してくださった、前出のお三方、このセッションに参加してくださったみなさんのお力で、たくさんの気づきや学びをいただきました。
みなさまに感謝しております。