2016-09-30 | ブログ
先日、ファシリテーター仲間で、ファシリテーションの原点回帰、基本の「き」を学び直そう!ということになり、早速勉強会を始めました。
まずは、ブレーンストーミング。ブレストと言えば…おなじみのKJ法から。
改めて自分が参加者として体験してみると、たくさんの気づきがありました。
備忘録としてお伝えします。
KJ法とは?
考案した川喜田(K)二郎(J)さんのイニシャルからKJ法と呼ばれています。
(www.shikoku-np.co.jpより)
ワークショップなどで付箋紙を使って、親和図をつくることを一般的に「KJ法」と呼んでいます。
ただ、本来は詳細なお作法があるそうで、そのお作法に則ったものをKJ法、その他のものは親和図法と呼ぶのが正しいそうです。
特定非営利活動法人日本ファシリテーション協会(FAJ https://www.faj.or.jp)で学び始めた頃、川喜田二郎塾でそのお作法を習得した方から丁寧に教えていただいたことがあります。
そのときに印象に残ったこととその後の+αの体験を踏まえて、自分なりの親和図法ができていきました。ただ、できるだけ基本に忠実に!できるだけ大枠ははずさないように心掛けて活用しています。
KJ法は発想法
川喜田二郎さんのKJ法についてお書きになった著書のタイトルは『発想法』『続・発想法』です。単純に整理法ではないのです。
お作法通りにやっていくと新しい発想が出てくるはず!なのですね。
進め方
私なりにアレンジしてしまった方法ですが、以下のように進めます。
①カード1枚に一つの事項を記入する。
②書くときの文末は、体言止めではなく、動詞・形容詞・形容動詞で。
③グルーピングして見出しを付ける時もセンテンスで。
④グルーピングは1回ではなく、何度も繰り返す。(一度使った見出しは使わない)
自分がやっても、セミナーなどでお伝えしても、②からつまずきます。ついつい体言止めになってしまい、気が付いたときに修正しています。問いかけの仕方によることもあるようです。
③も結構難しいです。動詞などで表現しようとすると、カードに書かれた意味を書いた人に聴き、その本質に迫っていかないとセンテンスにはなりません。
④これが一番難しい気がします。③で、グループの中の人に聴いてグルーピング、よくよく考えて体言止めでない見出しを付けたのです。それをさらっと忘れて(崩して?)新しいセンテンスを考えなくてはなりません。③のときの言葉が頭に残っていて、そちらに引かれてしまいがちですし、まずは途方にくれます。
既成概念をはずしていく作業なのかもしれません。
そこから、発想がでてくるのかも!
ふりかえり
今回は、2回のグルーピングで終わってしまいました。新しい見出しをつけるのは時間がかかります。何を手掛かりにしていくのか?が突破口になります。
一度目の見出しと2度目の見出しを比較すると、2度目の方がより深く、本質に迫っているような気がします。それは、見出しを考えていくときにも、1回目よりもさらに深く対話することになるからでしょう。
今回はテーマを「ファシリテーション」の話題にしたからだと理解していますが、2度目の見出しをみると、ファシリテーションの目指すところが出てきました。
例えば「違いを受け止める」「引き出す」「人を尊重する」などの言葉がでてきたのです。これを見て、「ファシリテーションとは〇〇だ」、とよく言っていることだと驚きました。
そして、2回目にできた見出しを見ていると、その見出しから発想して付箋紙を足していきたくなりました。その時は時間の都合でしませんでしたが、きっと新たな付箋紙がぐっと増えたはずです。
基本に忠実にやってみると、KJ法は「発想法」というのが分かってきました。
また、『続・発想法』で、川喜田二郎さんはKJ法は民主主義を促進するとおっしゃっています。
以下、川喜田先生の本から引用します。
「実際にやってみた人に対して、直接に働きかける効果をもち、自分の内面に、ある力強い喜びを感ずる。この喜びは創造的体験そのものといってよい。その結果、心の病を治すという役割を担ったり、仕事に対して猛然とやる気を巻き起こす」(『続・発想法』1970、p4)
さらに、この方法が普及すると「大多数の人々にやる気を起こさせ、人材教育に役立つこと、それが組織の変革につながる(『続・発想法』1970、p4)」。組織変革は、社会変革につながり、民主主義を健全に育てることにつながっていく。
「現場の経験を活用できることである。真の権威の源泉は現場の事実の中にある。この点が今日、とくに、徹底的に強調されねばならない。(『続・発想法』1970、p5)」として現場主義を貫くための手法ともなっている。
カードを書いたり、整理したりすることは、参加意識を芽生えさせ、自分事となります。そうなると、物事への関心が高まり参加意欲がわいてきます。参加意欲がわくと積極的にさまざまなことに関わっていこうとします。そのときには自分で考え、行動するようになっています。真の権威は現場であり、民衆一人一人にあるとすれば、自分事として考えることは民主主義には欠かせない要素となります。
というような事かと思います。
KJ法を活用すれば、新しい発想と自分事として考えることが身についてくるようです。
ワークショップをするときには、参加者のみなさんにちゃんとKJ法をご説明して、時間をとりたいと思いました。