2018-04-24 | ブログ
以前、ファシリテーションのプロセスデザインについて「それはある意味、アートだね」と言われたことがあります。
そう言われてみれば…。
ということで、「ファシリテーション≒アート?」について考えてみようと思います。
プロセスデザインとは?
ファシリテーションで話し合いやプロジェクトを目指す所、成果を明確にして、そこへ進めていくプロセス(=過程)を考えて(というよりもイメージして)形にする、デザインする。ということだと考えています。
ファシリテーションは、プロセスとコンテンツを分けるという考え方があります。(こんな感じです。津村先生、貴重な視点をありがとうございます。 https://www.ic.nanzan-u.ac.jp/NINKAN/kanko/pdf/bulletin14/02_07.pdf)
簡単に言ってみると、プロセスは、人間関係や感情を扱う部分と時間やタスクを扱う部分の2種類があります。コンテンツは、話し合いの内容、成果そのものです。くらいで押さえておいていただいて…。
成果にたどり着くためのプロセスは何通りもあります。
そのプロセスを考える、イメージする、デザインするというときに、以下のようなステップが基礎にあります。
①知識 さまざまな手法をどのくらい知っているのか
②適切な選択 ①の手法のうち、どの手法が適切なのか、どのように組み合わせると成果にたどり着くのか、について選択する
③実現可能性 ファシリテーターとして実行できるのか
とても素晴らしい手法であっても、プロセスデザインができても、それを実行して求める成果をだせなければ、画餅に終わってしまいますよね。逆に、人間関係が悪くなったり、不信感が生まれたりというネガティブなことが起こる場合もありそうです。
ファシリテーターとして、プロセスデザインをするとき、自分の力量を把握しておくことも大前提なのでしょう。
アートな部分?
上記の①知識は、本を読むこと、体験することで得ることができますよね。体験した後で、ふりかえりをしておくと記憶の引き出しに整理されます。「この手法は、こんな場合に向くのではないか」「こんなウィークポイントがある」「ウィークポイントを克服するためにはどうしたらいいのか」などなど、体験したときに感じた気持ちや疑問などを整理しておくと記憶に残るようです。
ただ、あまりにもスッキリ!してしまうと、忘れてしまうので、少し心にひっかかりを残しておくことが、より記憶に残っています。
心に引っかかっていると、ふと思い出して「こんなときにも使えるのでは?」「あの手法と組み合わせると、どんな感じになるだろう」などと思考が進むことがありますよね。それを期待して!
それらを忘れずに蓄積していくと、いろいろな手法の組み合わせができていき、どんな話し合いの流れになるのかのイメージができていきます。もちろん、実践してより思考が深まり、広がっていきます。これが②の部分。
思考の中でイメージを膨らませて、イメージ通りに描く、デザインしてみる…
だんだん、アートに近づいてきたような。。。
いよいよ③の実現のステップに進みます。ここは、イメージを形にする場面です。描いたデザイン(=プロセスデザイン)が形になって成果を出すことができるのか?
ここでは、いろいろなスキルが必要になってきます。
・どのような場にしたいのか、そのためのしつらえは?飾りつけとかもしちゃう?
・参加者へのインストラクションは、どこまでのことを、どんな言葉で伝える?
・話し合いが始まったけど、イメージ通りに進んでいない…。さて、どう対処する?
などなど、瞬間瞬間で成果にむけて、臨機応変に対応していきます。
その対応の仕方もファシリテーターによってさまざま。たぶん、対応策を考えるときの変数は、①の知識、体験とふりかえりの量や深さ、そもそもこの場はどういう場なのかというファシリテーターの自覚、ファシリテーターのマインドなどではないかと思います。
「な~んだ、人に依っている部分が大きいんだね。」「ファシリテーターによって異なるんだね」という結論が出てきました。
人に依る、ファシリテーターと参加者、コンテンツなどとの関係性にも依る。一期一会。
ここが「アート」なのではないかと思います。
その場にいた人たちで創り上げていくのが成果(作品?)。
まとめると
プロセスデザインだけがアートなのではなく、プロセスデザインをカタチにしていくこと、そこから導き出した成果もアート作品なのだ。
という結論になってしまいました。
ありきたりの結論かもしれません。(いえ、ありきたりの結論でした)
ありきたりのことを一度理屈で考えてみるのは、意外に楽しく、頭の整理になりました。
理屈としてはまだまだ穴だらけですが、考える土台ができたような気がします。
この土台の上にどのように建物を築いていくのか?そもそもこの土台でよいのか?など暗中模索ではありますが…。
何のためにファシリテーターをしているのか、自分に何ができるのか、どこまでできるのかなどを考えるための一つの視点になるなぁと思いました。
このようなことを考えてみて、自分の行っていることを再認識し、理論づけすることができました。そして、今後も、より精進していこう!というきっかけになり、今までと異なる課題もうっすらと見えてきました。
こんなことを考えることも、大切な事だと思いました。
おつきあい、ありがとうございました。