2019-12-11 | ブログ
「実践を一般化して理論にする、理論に基づいて実践する」ってどういうことなのでしょうか?
ファシリテーターには理論はいらない、という方もいらっいますが…
理論(仮説であっても)がないと、その行為は説得力が弱いものになってしまいます。
(ハウツー本を読んでも、この理論に基づくとこんなやり方がいいのです、と書いてあります)
また、行動を起こすにしても、理論があるとその後を見通しながら進めていくことができます。
理論が裏付けいてくれると、気持ちも楽です。その理論を提唱している、援用している方々が応援してくださっているような気もします。(ちょっと大げさですね)
哲学する?
今、『資本主義の終わりか、人間の終焉か?未来への大分岐』を読んでいます。
3人の哲学者(マルクス・ガブリエル、マイケル・ハート、ポール・メイソン)に一人の哲学者(斎藤幸平)がインタビューするというものです。
(https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51VDUJ%2BO5yL._SX304_BO1,204,203,200_.jpg)
哲学というと、若い頃は、なんだか分かりづらい専門用語をちりばめて抽象的な理論を説いている…ような気がしていました。(遠い存在でした)
ところが、まちづくりを研究しはじめると、考え方の基礎となる哲学(哲学に分類されていなくても)が必要だと感じるようになりました。
先達の研究者、実践者はどのような理論(哲学)のもとにこのような考え方、行動をしているのだろう?という視点で見ると読書がより楽しくなります。そして、その方の理論の組み立て方にどのように反映されているのかを考えるのも楽しさが増します。
この本の中、マイケル・ハート氏の言葉の中に「理論」に関するものがあります。
第4章 情報テクノロジーは敵か、味方か
の締めくくりに「理論の果たすべき役割とは、今あるシステムを批判することだけではなく、抵抗とオルタナティヴの可能性を発見し、明確な言葉にしていくことです。(p107)」と。
今のままでよいのか?いや、何かもっと良いシステムや方法があるはず!という問いから、「こんなことが予想される」「こんな方法も可能かも」となると、もっと幸せになれる人が増えるよね!というのを言葉にしてくれるのが理論なのかもしれません。(進む道を照らしてくれる?言いすぎですね)
研究会でも話題に!
先日、地方自治研究学会の中部部会(仮)のキックオフ会をしました。
地方自治研究学会は、東日本部会と西日本部会があり、各部会での活動と年に1度の全体会が開催されます。愛知県あたりに住んでいると、地理的には西日本、気持ち的には東日本でどっちつかず(笑)
中部とか東海とか呼ばれるとしっくりします。名古屋での開催の方がラクですし…。
ということで、学会の中部地方に席がある方、ご興味がありそうな方々をお誘いして、キックオフ会を開きました。
そこでの話し合いで、理論・理屈がどんな役割を果たすのか?何ができるのか?についても話題になりました。
それは、何を研究していこうかという議題に入ったとき。。。
参加したメンバーは、市議さんやNPOの方、市職員の方とさまざまな背景。(これはとっても素敵なメンバーです!)
・現場を知っている、現場で活動している方
・制度を創っていく方
・制度を執行していく方
・そして、みなさんが研究をする!
現場の状況を共有し、政策・制度を考え、執行していくということが可能なのです!!社会課題の解決や将来を見据えた制度を創っていくことができそうです。
それを、理論が後押しをする!
ということができる研究会になったのです。
マイケル・ハートの言う「理論は、オルタナティヴの可能性を言葉にする」ことができるのです。
言葉にできたことを基に次のステップへと進めていくことができます。
「哲学カフェ」が流行る理由?
「哲学カフェ」が流行っている理由の一つは、ここにあるのかもしれません。
自分のやっていることを理由づけしたい、裏付けがほしい。
(自分がやっていることが、理屈にあっていた!とわかると、自分だけじゃなかった~と安心します。)
すると、胸を張って進んでいける…。
明日への糧というよりも、杖になるのでは?もちろん、この理由だけではないでしょうが。
研究会での理論の位置づけをマイケル・ハート氏が応援してくれた!と勝手に理解、安心して、次の会を開こうと勇気づけられたのでした。
*この研究会では、まずは地域の特性も考慮に入れて「多文化」「子ども」をテーマに研究していこう、となりました。
ご興味がある方は、お問合せくださいませ~