2020-12-22 | ブログ
『残念な「オス」という生き物』
たタイトルを見て、面白そうと思って読み始めました。
藤田絋一郎著、フォレスト出版
(https://www.amazon.co.jp/残念な「オス」という生き物-Forest2545新書-藤田紘一郎-ebook/dp/B07HG62XC2/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&dchild=1&keywords=残念なオス&qid=1608642364&sr=8-1)
「オス」の何が残念なのか?
NHKの「ダーウィンが来た」を楽しみに見ているので、いろいろな妄想が駆け巡りました。
「メス」に気に入られようとして美しく飾ったりダンスをしたりと涙ぐましい努力をしている「オス」を「ダーウィンが来た」ではよく紹介されます。
そんな「オス」の生態の紹介なのかな?と思っていました。
(クジャクのオスの羽が美しいのはメスに恋のアピールをするため!は有名ですね)
著者の藤田絋一郎氏はお医者さまで、寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学を専門に研究されていらっしゃる方でしたが、ダーウィンっぽい話題も少しありました。
著者はサナダムシの研究をしていらした方らしく、おなかの中で飼育して(名前までつけていたとか!)いらしたそうです。
ところが!読み進めていくと…
鳥のつがいの話から(オシドリのつがいは本当は一生添い遂げないとか)、人間の家族制度の話へ、そして、少子化の話題へとつながっていたり
ジェンダー、男女共同参画につながっていたり。
環境ホルモンが野生生物に及ぼしている影響から人体への影響につながり、少子化へつながっていき…
人類の未来を想像させる動物の先行事例(?)が紹介されていたりと
予想に反して、自分の生活や考え方をふりかえるような内容になっていきました。
最後には、「オス」は多様性の確保のために必要なのだ!ということになっています。
メス化するのは、必然らしい
動物の中には、メスだけで繁殖している種もあるらしく…
(オスだけで存続している種はないみたい)
ところが、外的環境が変化すると、メスがオスに性転換するらしいのです。サナダムシも雌雄同体なのですが、おなかの中でずっと繁殖していくわけではなく、6代目で潰えてしまったそうです。
自分たちの種の存続が危ぶまれるとき、危険回避のためにオスが発生してくるのだそうです。
多様性が保たれることで環境変化に対応して種が存続していく…
オスは多様性確保のためにあるのですね。。。
先生のおなかのサナダムシもオスができていれば…
多様性は大切
この本では、オスとメスの確保が多様性でしたが、人間という単種の中でも、多様性はあります。
男女共同参画も多文化共生も、障がい者福祉も…さまざまな考え方や生き方が担保されていることが多様性なのではないかと思い至ったのです。
単一の種のみでは滅びてしまう…
人間が生き残っていくためには、もちろん、さまざまな生物と共生していかなくては、種の保存は難しいようです。
(なので、地球温暖化もホッキョクグマだけのことではなく、人間の生命そのものも危険なのだということになると書かれています)
人間という単一の種の中でも、さらに単一化が進んでしまうと、これも種が滅亡していくのだということに気が付きました。
多様性を確保する、ということは、人類が幸せに暮らすこと。と同時に、人間が生き延びることにもつながるのですね。
タイトルに惹かれて手に取った本ですが、とっても深い内容でした。