2014-07-11 | ブログ
昨年からアレンジして、多様性への理解とコミュニケーション向上を目指して行っているHUG(避難所運営ゲーム)ですが、広がっていきそうです。
1.HUGについて
HUGは 避難所運営ゲームの略です。と言っても「? なぜ?」と聞き返されてしまいます。
実は・・・
H 避難所
U 運営
G ゲーム
の略です。(これをいうと「な~んだ」と言われることが多いのですが)
静岡県の危機管理課が作ったシミュレーションゲームです。カードゲームと言ったほうが適切なのかもしれません。少人数のグループを作って行います。避難所に避難してくる人々のさまざまな事情を聞き、どこにいてもらうかをグループで決めます。その中には、イベントカードというものが混ざっており、そのイベントをこなしていき、最後に会場全体で課題等を共有するというものです。写真のように、仮想の小学校の見取り図、教室の配置図、体育館の見取り図、避難者&イベントカードで行います。
HUGのセットにはCDが付いており、説明用のパワーポイントが入っています。
至れり尽くせりなのです。ただ、ファシリテーターとして見ると、少々手を入れたくなり、進行の方法にアレンジを加え、というよりもほとんどオリジナルにして行っています。進行方法やふりかえりなどはファシリテーターのこだわるところなのです。
2.アレンジ内容
オリジナルHUGのアレンジについて内容(コンテンツ)面では以下のようにしました。
東日本大震災では避難所で3カ月以上(場合によっては半年、1年にもなってしまいました)生活するという想定外のことがおきました。長い避難所生活では、女性や高齢者、障害をもった人、こども、外国人などががまんや苦痛を強いられていたという報告書が多数あがっていきています。特に女性の立場からの聞き取り調査は数多くあります。この報告書から、女性や障害者への対応を盛り込みました。
また、愛知県には(だけではないのですが)外国籍の方がたくさんいます。その方々への対応はどうしたらいいのだろう?という疑問にも対応できるよう配慮しました。
また、私自身が被災地へ言ったときに感じたことや、一緒にオリジナル化した臨床心理士の成田さん(㈱ユナイト http://www.unite22.co.jp/)の2度(7日~10日×2)にわたっての避難所へNPOの心のケアチームとして活動した経験を盛り込みました。例えば、トイレのトラブルや対応、避難所内の人々の様子など、実際にそこにいたからこそわかる情報をイベントカードにあわせて伝えるようにしました。
さらに、名古屋市の防災意識は高く、避難所運営マニュアルが東日本大震災以降数度、改訂されています。この改訂には女性の視点からの避難所運営についても盛り込まれています。避難所開設時には、女性の区画を作ることだったり、女性のリーダーを4割くらいお願いすることなど、避難所での生活が少しでも快適になるような配慮を参考にしました。
HUGをオリジナル化するにあたり、何度かHUGの参加者を経験しました。そのときに、知りたいと思ったこと、未消化で終わってしまったこと、こんな風にしてほしいなぁと思ったことなどは、もちろん反映させました。
これらの観点から、HUGの避難者のカード、イベントカードをチョイスしました。
そして、せっかくチョイスしたカードの内容が参加者のみなさんの心に残るよう、進め方をアレンジしました。
3.広がる予感
昨年、いろいろなところでオリジナルHUGをさせていただきました。その中で、私の所属するNPO法人日本ファシリテーション協会(FAJ)の中部支部定例会でも披露しました。さすが、ファシリテーションを学ぶ人たちの集まり!で、ふりかえりやフィードバックは今後、HUGを進める上で、またHUGの活用できる範囲など大変参考になりました。
そのとき、小学校の先生は、「教員が学校にいる時間帯だったら、避難所を開設するのは私たちだ。ぜひ、これは、他の教員にも経験してほしい。」
あるIT技術者のは、「これは、自然に話し合うことができる!社内のコミュニケーション活性化のツールとして使える!!」とおっしゃっていました。
その後日談が入ってきました。
予算がなく、HUGキットを購入したり、ソーシャル・アクティに依頼したりできないけれど・・・との前置きの後。小学校の先生は、学校で防災の話があったとき、HUGでの体験を共有したと教えてくださいました。みんなが知らない情報なので、ちょっと自慢げに話しちゃった(本人談)そうです。
IT技術者の方は、facebookに社内で行ったHUGの様子を投稿してくださいました。昨年12月のFAJ定例会後、HUGキットを購入し、「半年後、やっと日の目を見ました~」と。そしてなにより、「いつもはあまり話しをしない人達が、自ら立ちあがってHUGに取り組んでくれた!」そうです。
(ワークショップでは、参加者の方は熱中してくるとなぜか立ちあがるのです。)
地域の中でのコミュニケーション向上に効く!だけではなかったのです。学校、会社・・・組織の中でコミュニケーションを活性化させようと思ったら、HUGは効く!ようです。
災害は、地域の問題だけではなく学校、企業、そして家族、個人の問題でもあるのでした。普段からのコミュニケーションがいざというときに役に立つのです。それは、どんな組織でも同じなのですね。
ということで、アレンジしたHUGは広がっていくような気がします。
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