2014-07-21 | ブログ
7月17日は京都祇園祭の山鉾巡行でした。
以前のブログでご紹介しました「社会的合意形成」にも出てきたスサノオ伝説にも深く関係している「祇園祭」です。
(http://www.gionmatsuri.jp/)
以前から一度行ってみたいと思っておりましたが、桑子先生の本を読み、思いきって出かけました。
祇園祭は
京都、八坂神社に祀られているスサノオ、牛頭天王を鎮めるためのお祭りだといわれています。
スサノオは、ヤマタノオロチを退治したといわれるヒーローですが、実は、荒ぶる神としても恐れられていました。
牛頭天王は、疫病を流行らせる神として恐れらていました。
これが、東工大の桑子先生の解釈によりますと、スサノオは河川の氾濫と恵み、牛頭天王は、災害後の感染症等を体現しているというのです。これから迎える厳しい夏を元気に過ごせるよう、心を引き締めて過ごすという願いが込められているとのことです(夏越しの祓いですね)。夏の終わりには台風や大水、災害の後の感染症に気をつけるように、二柱のお心を鎮めておくためのお祭なのです。
(http://www.yasaka-jinja.or.jp/event/gion.html より)
牛頭天王には、エピソードがあります。蘇民将来伝説です。ある日、貧しい蘇民将来の家に武塔神という姿になった牛頭天王が一晩の宿を借りに訪れました。(蘇民将来の前に、お金持ちのお兄さん:巨旦将来の家に行ったのですが、断られました。)蘇民将来は、できる限りのおもてなしをして一晩牛頭天王を泊めたのです。翌朝、出がけに「病が流行ったときには蘇民将来の家だと分かるようにしておけば、子子孫孫まで助けてやろう」と言って旅立ちました。それから流行病のときは「蘇民将来の子孫」ですというお札を家に貼っておけば、その家は助かる。という伝説があります。
この伝説もまた、古来からの災害に対する心構えとなっていると桑子先生はおっしゃっています。
災害等はお金持ち、貧しいということには関係なく、等しく訪れます。そのときには、隣近所助け合わなければ復興できないのだ、という教訓が潜んでいるということです。
そして、牛年生まれの守り神は牛頭天王ですので、八坂神社は牛年生まれはお参りしておきたい神社です。また、数年前に剪定されてしまったのですが、しだれ桜の名所でもあります。夜桜には幽玄な雰囲気が漂っています。
山鉾巡行
山鉾は全部で23鉾。数日前から各町内で見ることができるそうです。それぞれご利益があるそうで、お札やお守りを求めてたくさんの人が訪れていました。
京都市出身の方に伺ったところ、地元の人は宵山がメインで巡行を見物する人は少ないのだとか。巡行を見るのは観光客がほとんどだそうです。鉾は各町内で引くのですが、町内の人に限るということで引く人・お囃子の担い手が減っているという情報もいただきました。今年は150年ぶりに大船鉾が後祭山鉾巡行に復活するそうです。
当日は、たいへん良いお天気で、気温は32度。体感温度はもっと高いように感じました。ほとんど空気が動かない、風が吹かない中、まちかどで配っている団扇をいただき、なんとか涼をとりながら見物してきました。
大変、暑い中でしたが、優雅に進んでいきました。想像ではゆっくりと少しずつ進んでいくイメージをもっていましたが、実際は、進む速度は通常歩くような速さでした。数十歩進んでは、しばらく立ち止まることを繰り返して進みました。
途中の角では、方向を転換します。そこで「回った~」「お~」という歓声があがっていました。優雅な雰囲気の中に荒々しい部分もあり、桑子先生のおっしゃる災害を恐れて(備えて)生きるという教訓があるのだと勝手に納得して帰ってきました。
ゴミ減量の工夫も
7月21日の中日新聞朝刊では、宵山の露店では「ゴミ減量」が行われていたという記事がありました。環境団体、露店組合、京都市などが実行委員会を組織し、約20万食分の食器をリユースできるポリプロピレン製にしたとのこと。実行委員長の談話では「1日当たりの人出は増えたのに、ゴミは減った」ということでした。
そういえば、宿泊したホテルは出るとすぐにこの露店が並んでいるというロケーションでした。散歩がてら覗いてみようとしたのですが、人出が多すぎて、流れのままに歩くという状態でした。
翌朝は、さぞゴミが氾濫しているだろうなぁと想像して朝8時過ぎにホテルを出ると、全くゴミがなく(すでにかたずけられていたのかもしれません)、従ってあの嫌なにおいもほとんどなかったので不思議に思っていたのでした。
このような取り組みがはじまっていたのですね。
次回にむけて
今回は、桑子先生の『生命と風景の哲学』を読んで、ほとんど衝動的に行ってしまいました。八坂神社にまつわる様々な背景は事前に桑子先生の本で学習していたのですが、それ以外はほとんど予習せずに行ってしまったので、後から「あれはこういう意味だったのか」「こんなことも行われていたのか」「あちらにも足を延ばしてみればよかった」と反省しています。
次回は、今回の反省を踏まえて、より充実した祇園祭を楽しむため、事前に情報を仕込んでいかなくては!
ただ、7月末まで祇園祭は続くのです。最終日の茅の輪くぐりにも挑戦してみたい・・・と欲がふつふつと。