2015-01-26 | ブログ
毎年8月最後の土、日に名古屋市内を中心に開催される「日本ど真ん中祭り(略してどまつり)」があります。よさこいソーランといわれる踊りの祭典です。大学生が始めたイベントが、もう16回も開催されています。年々参加チームが増え、今では200を超えるたくさんのチームがエントリーし、名古屋の夏をにぎわしています。
このチームのリーダーを対象に毎年1泊2日の合宿をしているそうです。合宿も今回で13回めとなっています。
素敵なご縁をいただいて、この合宿でファシリテーターを務めさせていただきました。
300人のワールドカフェ
合宿には約300人のリーダーが集いました。合宿の冒頭に「公益財団法人日本ど真ん中祭り文化財団」の専務理事でどまつりを始めた水野氏から「どまつりの『ど』」についての講演がありました。
どまつりには50年構想というビジョンがあり、この構想を5つの軸でわかりやすく参加者に伝え、「ど」に隠された意味を捉えなおすということを行いました。
これは対話で進めるのがよいだろうと、ワールドカフェの手法を使って進めることになりました。
直前まで水野さんの講演とワールドカフェのつながりについて関係者で何度も話し合っていました。
直前の打ち合わせはウォークスルーのつもりでした。あと30分ほどで合宿が始まるというその時、そこにいた全員が納得するような、講演とワールドカフェをぴったりとつなぐ言葉が見つかりました。
これでワールドカフェはうまくいく!と確信をもってファシリテーターとしても臨むことができる打ち合わせとなりました。
そして、水野さんからの熱い講演の後、いよいよワールドカフェが始まりました。
ワールドカフェの進め方の説明の後、問いかけに入ります。事前の度重なる打ち合わせで練ってきた問いかけです。そして、直前の打ち合わせで納得した問いかけ・・・
はじめは進め方に戸惑っていた参加者のみなさんでしたが、さすが、何十人、いえ100人を超えるチームを引っ張るリーダーの集まりです。
1ラウンド経験してみれば、すぐにコツをつかんで対話ができ、移動もスムーズにできるようになりました。
一番うれしく、驚いたことは、進め方の説明のとき「私が手を挙げているのを見たら、対話を止めて手を挙げてください」とお願いしてあったので、時間が来たら手を挙げていました。すると、さぁーっと手を挙げる輪が広がり、数秒で静かになりました。
300人が数秒で一斉に静かになる・・・こんな経験は初めてでした。
さすが、踊り子(どまつりではこう呼んでいました)さんです。音楽に合わせて身体を動かしているからなのでしょうか?話し声が止まる、誰かが手を挙げているという動作に敏感なのかもしれません。
その後は・・・
その後、第3ラウンドまで問いかけを変えながら進めました。
その後、分科会を経て、交流会で一日目が終了。
二日目は各チームに分かれてのグループワークで、チームにとってのどまつりの5軸を具体化し、レーダーチャートを作りました、レーダーチャートを参考にして「未来新聞」をつくりました。
最後に一日目のグループに戻って感想や気づきを共有しました。
毎年の合宿で話し合った結果をその年の参加要項に片影させ発表するらしいのですが、今回は参加者のワールドカフェでの発言や未来新聞、アンケートなどを参考にして作るそうです。
「参加」を貫いている組織なのだと思いました。
そしてもう一つ、参加者は、まちづくりにはあまり登場していない、10代、20代、30代が半数以上を占めていました。この方々が年上の人達と対等に対話し、グループワークで語り合う姿はたいへん印象的でした。水野さんのおっしゃる、地域への貢献はできているのではないかと思いました。そして、年齢、性別、国籍、文化を超えてつながっていくにはどまつりはとても有効なツールなのだと体感しました。
また、水野さんはじめ主催者の方々は、私にお声かけくださった方のご努力もあり、ファシリテーションを高く評価してくださって、合宿最後のコメントでチームビルディングや話し合いの促進だけではなく、チームの運営や地域を巻き込んでいく際にも必要なスキルだとおっしゃてくださいました。
この言葉に応えられたのか?アンケートの結果が出るのが少し怖いような気がしますが、楽しみでもあります。
主催者の方々、支援する方々と一緒に進行プランを練っていくと、参加者も含めたみんなが納得して満足できるファシリテートができることも痛感しました。
このような機会を与えてくださった方々に感謝しております。
2015-01-20 | ブログ
大学生の就職活動開始の時期が10月から3月へ繰り延べになっています。
それは単純に半年間、大学生活を謳歌できる期間が増えた、というのではなさそうです。
時期が延びた分、実際に試験や面接という就職活動の期間が減るので、事前準備を計画的に、優先順位を決めて進めていくことが求められます。
そこにまだ気づいていなかったり、気づいても何をすればいいのかわからない学生さんもいるようです。
就職活動へのマインドをアップさせる
そんなことから、ファシリテーションを活用した「マインドアップ講座」をしました。
4回のシリーズものでしたが、毎回楽しんで気づきを得る、そして行動に移すということを目標にして進めました。
・自分の強みを考える
・自分をアピールする
・こんなときどうする?就職活動のあるある
・実際に働いている自分を想像する
もちろん、グループワークで行いました。(写真を撮ることを控えていましたので、その場をご覧いただけないのが残念です)
感想は
参加した学生さん達からは、
・グループワークが楽しかった。
・グループワークの体験は就職活動に役立ちそう。
・やりたい仕事をじっくりと考えてみようと思った。
・計画的に就職活動をしなくてはいけないのだなぁと思った。
などなどの感想をいただきました。
まだまだ遠いと思っていた就職活動ですが、実は前準備をしなくてはいけないのだ、と気づいてくれたようです。
そして、グループワークの楽しさ、グループで協力することの喜びを少しでも体験していただけたようで、ファシリテーターとしてはとても嬉しい講座になりました。
まちづくりだけでなく、マインドアップ、心をセットするということにもファシリテーションは使える!ということを実感しました。
人と人がそこにいれば、ファシリテーションのスキルを使って何かを実現させることができる、ということに改めて気づきました。
このような機会をくださった方に感謝しています。
2015-01-09 | ブログ
「ごみの減量」というテーマのもと、大人と中高生が同じテーブルを囲んで話し合う場をファシリテートしました。
大人、中高生の反応を中心に簡単にふりかえってみようと思います。
1.はじめに
「ごみの減量」と言えば、家庭の中では、ごみ置き場に持って行く人、ごみ袋に入れる人、ごみ箱に捨てる人・・・と役割分担があるような気がします。
家庭内の全員が分別を意識してごみ箱に捨てているという家庭の数はどのくらいあるのでしょう?
そして、そこに子どもである中高生がごみを分別して出すという役割があるという家庭の割合は大きくはないと想像しています。
「そもそも何のためにごみを減量するのか?」と考えてみると、焼却場の負荷の問題や大気汚染の問題、費用の問題などがあります。
もう少し視点を遠くへもっていくと、次世代にごみの処分場の余地を残しておくとか、よりよい環境をつないでいくというようなことが最終目標ではないかと思われます。
となりますと、そのような場に、引き継ぐ当事者である中高生が、意見を述べることは、当然のことのように考えられます。
そこで、中高生と大人が一緒になってごみ減量のアイディアを考える場を設けるというのは、今までなかったほうが不自然だったのかもしれません。
今までは、子どもの意見を聞くという機会があっても、子どもだけを集めて意見を言ってもらうという場が多かったのではないでしょうか。今回は、大人と子どもが同じテーブルについてアイディアを出し合うというワークショップを行いました。
2.今回の進め方は
大人は「そもそも何を目指して、ごみ減量の会議をするのか」について確認した後、フューチャーサーチの順序に従って、過去~現在~未来を考え、その未来を実現させるための方法を考えました。
中高生は、現地視察、大人が作成した年表、大人も参考にした現在のデータをなぞり、未来を描き、そのためには何をすれば良いかを考えました。
最後に、大人も中高生も一緒になって、アクションプランを考える、というプロセスで進めました。
3.経緯
大人は丁寧に進めることができましたが、中高生は時間の制約が大きくかけ足で進みました。
大人にはできるだけ利害関係のある方々に出席していただきたいと思い、町内の衛生委員の方や町内会長さん、無作為抽出で呼びかけた市民の方、市内にある企業さん、そして、ごみを収集している事業者さん、ごみ処理を実際にしている事業者さんにもお集まりいただきました。参加してくださった事業者さんは環境に対する意識が高く、大人の方、子どもたちも興味深く話を聞き、違った視点から見ることや学び、気づきがあったようです。第一線で携わっている方の話しを聞くというのはたいへん刺激的なことなのですね。
大人には、グループや進め方、テーブルの配置や場所の移動などできるだけいろいろな方々と話し合っていただき、様々な視点からの話し合いをしました。会が進むにつれて話し合いそのものや進行に慣れてきてくださったようで、だんだんとフットワークも軽くなり、ポスターセッションの時もそこで質問が出るなど、アイスブレイクも必要ないくらい場が醸成され、話し合いのテンポも早くなり、活発に意見が出る、言えるようになってきました。
中高生には、残念なことに大人と合同で行う前のワークショップの機会は1回しかありませんでした。しかし、午前中の現地視察で大きな刺激を受けたらしく、午後からの話し合いはたいへん盛り上がりました。未来を考えることは、大人にはハードルが高いと思われても、中高生は軽々と飛び越えていってしまいました。
午前の視察が終わり、昼食は中高生だけで会議室内で持参したお弁当をとりました。意図したわけではなかったのですが、大人は全員席をはずしていました。これが功を奏したらしく、午後からの話し合いがとても和やかで誰の意見でも受け容れる準備ができていました。この理由には高校生のリードがあったようです。年長者という自覚が、場をつくっていたのかもしれません。リーダーシップも発揮できる場となったようです。
4.最終回では
大人と中高生の双方からのアイディアを報告し、アイディアを混ぜ、壁一面を使って整理しました。そこから、大人と中高生は年齢は関係なく、各自が話し合いたいテーマに分かれてアイディアのブラッシュアップをしました。
大人の中で、はじめは少し緊張していた中高生でしたが、時間が経つにつれて大人が受け入れてくれることがわかったようで安心して話しだしました。
一部、緊張が続いていた中高生もいました。せっかく参加してくれた若者が「言いたいことが言えなかった」と思うのは好ましくありませんので、そこは、クリアするべき今後の課題としておきます。
最後のグループ発表は、すべて中高生が行い、それを大人が笑顔で支えていました。とても良い話し合いだったようです。
アンケートには、
【大人から】
・ 中高生はごみのことをよく知っているので、驚いた。
・ 大人にない柔軟な発想がとても参考になった。
・ 若い方は大人の行動をしっかりと見ている。よって、社会全体でごみをださない工夫をする知恵が求められる。
・ 年代を超えた話し合いの場があれば、とても良いと思う。
など、若者を見なおしたり、改めて大人としての責任を自覚したり、楽しかったりと大人にとって刺激的なできごとだったといえます。
【中高生から】
・ 子どもにはない視点での意見も知ることができ、良かった。
・ 子どもだけの視点じゃなくて、大人の方の視点での意見も聞けて、前回よりも内容も具体的になったと思う。
・ 前回とは違う緊張感があって、上手く伝えることができなかった。元々、自分の意見を伝えることが苦手だったので、とても良い経験になった。
・ 大人の方々の意見を聞いて、自分の意見が深まったり、新しい発想を得ることができた。これからもこういう機会を増やしてほしい。
など、中高生だけでの話し合いの盛り上がりとの違いに戸惑った人がいたり、自分なりに深めたり刺激を受けたりした人もいたようです。
客観的に場を見ていたファシリテーターとしての私からは、大人の笑顔や、30代の大人が(ファシリテーター型の)中高生のリーダーのように意見を引き出してた姿が印象的でした。
そして、中高生だけで話し合ったときの盛り上がりをどのように維持して、大人との話し合いにつなげていくのかが今後の課題です。
上記のような課題もありましたが、このような機会をもっと設けてほしいという回答もたくさんありました。話し合いの場があること、その場を参加者の気持ちに沿って成果をだしていくようなファシリテーターが必要なのだと思いました。
今後とも、このような機会を提案していきたいと考えています。
2015-01-03 | ニュースレター
昨年、2014年はソーシャル・アクティ創業10年でした。
みなさまのお陰で、このような長い時間をファシリテーションの活用の場とともにあることができました。
ありがとうございます。
2014年は学会で報告したり、ファシリテーターの技量を問われる対話の場をホールドしたりと、今までの歩みを一旦まとめることができた年でした。
ANNUAL REPORT 2014
を作成いたしました。ご高覧いただければ、幸いです。
2015年は、新たなステージに挑戦できそうです。
みなさまのご支援を賜りますよう、お願い申しあげます。