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異世代でアイディアを出し合う話し合い

2015-01-09 | ブログ

「ごみの減量」というテーマのもと、大人と中高生が同じテーブルを囲んで話し合う場をファシリテートしました。

大人、中高生の反応を中心に簡単にふりかえってみようと思います。

参加した中学生が学校のブログに載せてくれました。

参加した中学生が学校のブログに載せてくれました。

1.はじめに

「ごみの減量」と言えば、家庭の中では、ごみ置き場に持って行く人、ごみ袋に入れる人、ごみ箱に捨てる人・・・と役割分担があるような気がします。

家庭内の全員が分別を意識してごみ箱に捨てているという家庭の数はどのくらいあるのでしょう?

そして、そこに子どもである中高生がごみを分別して出すという役割があるという家庭の割合は大きくはないと想像しています。

 

「そもそも何のためにごみを減量するのか?」と考えてみると、焼却場の負荷の問題や大気汚染の問題、費用の問題などがあります。

もう少し視点を遠くへもっていくと、次世代にごみの処分場の余地を残しておくとか、よりよい環境をつないでいくというようなことが最終目標ではないかと思われます。

となりますと、そのような場に、引き継ぐ当事者である中高生が、意見を述べることは、当然のことのように考えられます。

そこで、中高生と大人が一緒になってごみ減量のアイディアを考える場を設けるというのは、今までなかったほうが不自然だったのかもしれません。

今までは、子どもの意見を聞くという機会があっても、子どもだけを集めて意見を言ってもらうという場が多かったのではないでしょうか。今回は、大人と子どもが同じテーブルについてアイディアを出し合うというワークショップを行いました。

2.今回の進め方は

大人は「そもそも何を目指して、ごみ減量の会議をするのか」について確認した後、フューチャーサーチの順序に従って、過去~現在~未来を考え、その未来を実現させるための方法を考えました。

中高生は、現地視察、大人が作成した年表、大人も参考にした現在のデータをなぞり、未来を描き、そのためには何をすれば良いかを考えました。

最後に、大人も中高生も一緒になって、アクションプランを考える、というプロセスで進めました。

3.経緯

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大人は丁寧に進めることができましたが、中高生は時間の制約が大きくかけ足で進みました。

大人にはできるだけ利害関係のある方々に出席していただきたいと思い、町内の衛生委員の方や町内会長さん、無作為抽出で呼びかけた市民の方、市内にある企業さん、そして、ごみを収集している事業者さん、ごみ処理を実際にしている事業者さんにもお集まりいただきました。参加してくださった事業者さんは環境に対する意識が高く、大人の方、子どもたちも興味深く話を聞き、違った視点から見ることや学び、気づきがあったようです。第一線で携わっている方の話しを聞くというのはたいへん刺激的なことなのですね。

大人には、グループや進め方、テーブルの配置や場所の移動などできるだけいろいろな方々と話し合っていただき、様々な視点からの話し合いをしました。会が進むにつれて話し合いそのものや進行に慣れてきてくださったようで、だんだんとフットワークも軽くなり、ポスターセッションの時もそこで質問が出るなど、アイスブレイクも必要ないくらい場が醸成され、話し合いのテンポも早くなり、活発に意見が出る、言えるようになってきました。

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中高生には、残念なことに大人と合同で行う前のワークショップの機会は1回しかありませんでした。しかし、午前中の現地視察で大きな刺激を受けたらしく、午後からの話し合いはたいへん盛り上がりました。未来を考えることは、大人にはハードルが高いと思われても、中高生は軽々と飛び越えていってしまいました。

午前の視察が終わり、昼食は中高生だけで会議室内で持参したお弁当をとりました。意図したわけではなかったのですが、大人は全員席をはずしていました。これが功を奏したらしく、午後からの話し合いがとても和やかで誰の意見でも受け容れる準備ができていました。この理由には高校生のリードがあったようです。年長者という自覚が、場をつくっていたのかもしれません。リーダーシップも発揮できる場となったようです。

4.最終回では

キャプチャ大人と中高生の双方からのアイディアを報告し、アイディアを混ぜ、壁一面を使って整理しました。そこから、大人と中高生は年齢は関係なく、各自が話し合いたいテーマに分かれてアイディアのブラッシュアップをしました。

大人の中で、はじめは少し緊張していた中高生でしたが、時間が経つにつれて大人が受け入れてくれることがわかったようで安心して話しだしました。

一部、緊張が続いていた中高生もいました。せっかく参加してくれた若者が「言いたいことが言えなかった」と思うのは好ましくありませんので、そこは、クリアするべき今後の課題としておきます。

最後のグループ発表は、すべて中高生が行い、それを大人が笑顔で支えていました。とても良い話し合いだったようです。

アンケートには、

【大人から】

・ 中高生はごみのことをよく知っているので、驚いた。

・ 大人にない柔軟な発想がとても参考になった。

・ 若い方は大人の行動をしっかりと見ている。よって、社会全体でごみをださない工夫をする知恵が求められる。

・ 年代を超えた話し合いの場があれば、とても良いと思う。

など、若者を見なおしたり、改めて大人としての責任を自覚したり、楽しかったりと大人にとって刺激的なできごとだったといえます。

【中高生から】

・ 子どもにはない視点での意見も知ることができ、良かった。

・ 子どもだけの視点じゃなくて、大人の方の視点での意見も聞けて、前回よりも内容も具体的になったと思う。

・ 前回とは違う緊張感があって、上手く伝えることができなかった。元々、自分の意見を伝えることが苦手だったので、とても良い経験になった。

・ 大人の方々の意見を聞いて、自分の意見が深まったり、新しい発想を得ることができた。これからもこういう機会を増やしてほしい。

など、中高生だけでの話し合いの盛り上がりとの違いに戸惑った人がいたり、自分なりに深めたり刺激を受けたりした人もいたようです。

 

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客観的に場を見ていたファシリテーターとしての私からは、大人の笑顔や、30代の大人が(ファシリテーター型の)中高生のリーダーのように意見を引き出してた姿が印象的でした。

そして、中高生だけで話し合ったときの盛り上がりをどのように維持して、大人との話し合いにつなげていくのかが今後の課題です。

上記のような課題もありましたが、このような機会をもっと設けてほしいという回答もたくさんありました。話し合いの場があること、その場を参加者の気持ちに沿って成果をだしていくようなファシリテーターが必要なのだと思いました。

今後とも、このような機会を提案していきたいと考えています。

 


 
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