2017-01-25 | ブログ
少子高齢化なので、人口を増やさなくては!と言われています。
これは、日本だけでなく、先進国の問題。だけでもなく世界の中で課題となりつつあるようです。
2014年度に国内の自治体がつくった『まちひとしごと地方創生総合戦略」の目的は人口増でした。
統計局のピラミッド図を見てみると、日本やイタリア、ドイツはまるでソフトクリームのようです。
国力として人口が増えるというのは望ましいといわれていますので、ソフトクリームのコーンの部分がもっと太くなっていないと、よろしくないようです。
先進国の中でフランスは釣り鐘型とまではいかなくても、タワー型(?若い年代の層が減っていない)ようです。
もちろん、フランスの結婚の形態PACS(同棲していても法的な優遇措置が受けられるhttp://www.madameriri.com/2012/01/11/今流行のフランス/)があるからという理由もあると思います。
ところが、この本『フランスはどう少子化を克服したか』を読んでみて、意外なところで子どもを産み、育てることを支援していたことが分かりました。
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職場での産休、育休の取り方、取る環境、保育園事情などはもちろんですが、一番納得した事項をご紹介します。
教えてもらわないとわからない
「子育て」は人間だから、自然に、本能でわかるよね!というものではないですよね。幼い時から小さな子どもに接したり、あやしたり、大人が子どもを扱うのを見ていると、自然に接することができるのだと思います。
核家族になると、なかなかそのような機会に恵まれる機会が少ないですよね。
そして、今はお掃除のしかたもノウハウ本があったり、お掃除の達人のセミナーがあったり…学んで実践する、という方が少なくないような気がします。
だったら、子育ても!
と思うのですが、すでに子育ての雑誌やノウハウ本はありますが、子育ての基礎の基礎をマンツーマンで体系的に教えてくれるところは、なかなか見つけにくい気がします。
フランスでは、出産後3泊4日で退院します。(もちろん、パパは産休)
入院中の3日間は自宅で家事をこなし、産婦人科に通って、ママと一緒に赤ちゃんの世話のしかた(沐浴、おむつ交換、ミルクの作り方、授乳のコツなど)を教えてもらいます。
これで、ママまたはパパと赤ちゃん、二人の時間を過ごす準備ができます。
そして、帰宅後11日は「赤ちゃんと知り合う時間」と言われているそうで、赤ちゃんのペースに合わせることを体験し、赤ちゃんとはこういうものなのだとか、こんなふうに扱うんだということを体得していくのだそうです。
この時間が男性にパパとしての自覚を養い、子育ての自信も芽生えてくると言います。この本では「男を2週間で父親にする」とありました。
昨年、女性の活躍推進ワークショップでお試しプロジェクトとして、「カミーノフェス」というのをしました。いくつかの分科会(というよりも参加してくださった女性がやってみたいことを小規模でやってみた中の一つに「パパと遊ぶ」というのがありました。
保育士の資格を持った女性がパパに子どもとの遊び方を教えてくれるというものでした。
そこに出席してくださったパパの感想に「赤ちゃんは、ここまで体をうごかしていいんだ、ということが分かりました。こわごわ遊んでいましたが、安心して遊ぶことができます。」とありました。
パパも赤ちゃんを育てたいし、遊んであげたいのに、どうしたらいいのかわからない。どのくらい力をいれていいのか?どのくらいの加減で遊んでいいのか?を知らなかったのです。
やはり、教えてもらうと安心して、赤ちゃんと接することができるのですね。
パパとママ、社会で育てる
パパにも赤ちゃんの扱い方が分かれば、パパに預けてママもお出かけしたり、お仕事したりも可能になってきますよね。
お手伝いではなく、対等の立場で育児ができそうです。この2週間の産休で、父親としての自覚と自信ができるのだそうです。(この本には、体験談も載っていました)
ママ一人で育児を背負うことはないのです。
そうなったらどんなに余裕をもって子どもと接することができ、子どものいる生活の楽しさを共有することができるでしょう!
そして、ほとんどのパパとママは2週間の産休を取るのですが、もちろん、有給で、3日間は雇用主が、11日間は国が賄っているそうです。
そして、職場でも事前に産休の日程を申請するのですが、実際の出産の日程に変更可能ですし、職場も後押ししてくれているそうです。
産休をとるほうも、職場に迷惑をかけないように仕事を段取りしておくそうです。
この制度が始まったのは2000年代のはじめだそうですので、50~60代の世代は産休などとったことがないので、違和感があるのはもちろんのことです。しかし、「仕事優先でしょう」と声にだしていうのは、大人として恥ずかしいことなのだそうです。
子どもは社会に必要な存在だということを理解しているからとのことでした。このような理解が広く浸透していることも子育てをママだけに押し付けるのではない、社会で見守っていくという環境になっていることがわかります。
フランスや合計特殊出生率が1.8ほどの北欧でも、社会が、国が育てるという政策がとられているようです。
「昔はこうだった」ではなく、社会の変化に即した安心して子供を産んで育てることができる環境を整えていくことが大切なのかもしれません。
その基盤には、子どもは両親だけの子どもではなく、社会全体の子どもという考え方が求められるのではないかと思いました。
地域社会の中でも、そんな優しい気持ちで子どもやパパママを見守り、声をかけたり手を出してあげたりすることも、安心して子育てできる環境の一つになっていくのでは?
となると、自分はどのようなことができるのか?実際に行動することができるのか?が問われてきます。大人の心がけも大切ですね。
勇気をちょっとだして、私にできることをやってみよう!と思いました。
2017-01-13 | ブログ
以前から気になっていた「マーケティング」。よく耳にするのですが、一度、読んでみたいと思っていました。
入門編を読みました。わかりやすい理論の解説と事例があり、大まかな考え方が良く分かりました。
『マーケティングのすゝめ ~21世紀のマーケティングとインベーション』フィリップ・コトラー、高岡浩三著、中公新書ラクレ、2016年。
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ここから、マーケティングとファシリテーションの関係を考えてみました。
マーケティングとは?
ざっとまとめると…
・自分(自社)が提供できる価値(事業)は何か
・自分(自社)にとっての顧客は誰なのか
・自分(自社)の顧客が好み、あるいは欲しているモノやサービスは何なのか
をつかんで、競合相手(他社)に勝つには、どうしたらいいかを自問し続けること。
そして、顧客にとって、価値のあるモノやサービスを通して、顧客の問題解決のお手伝いをすること。
さらには、より多くの人のために、より良い世界の構築を目指すもの。
というようなことでした。
最終の目的は、企業が儲かるために、どのようなモノやサービスを売れば良いのか?ではなく、
より良い社会、世界を作っていくことだったのです。
大きなところに目的があったのですね。
マーケティングの4段階
マーケティングは現在、4.0の段階に入っているのだそうです。発達の段階を整理してみると…
マーケティング1.0=製品中心(Mind)、製品の販売を目的とする、製品管理
1950年代~(高度成長期) 製品に対する需要を生み出すことがマーケティングの役割。
マーケティング2.0=消費者志向(Heart)、消費者を満足させることに知恵を絞る、顧客管理
1970年代~(オイルショック以降) 効果的に需要を創出するには、マーケティング活動は「製品中心」から「消費者中心」に。
1980,1990年代~(パソコンの普及、インタネットの発達) 人間の感情に焦点を当て、消費者のハートをつかむ。
マーケティング3.0=価値主導(Spirit)、より良い社会を実現するという崇高な目標を掲げて消費者の価値観に訴える、ブランド管理
21世紀~ 社会的価値や顧客にとっての価値を顧客とともに共創し、クラウドソーシングを活用しながら価値を生みだす。
消費者は、グローバル化した世界をより良い場所にしたいという思いから、自分たちの不安に対するソリューションを求めるようになった。
マーケティング4.0=(これからのマーケティング)自己実現、個々の自己実現欲求を満たす製品やサービスへのニーズが台頭してきた。企業はそこにフォーカスして、カスタマイズした製品やサービスを提供する。マーケティングは、この動きを後押し。
「顧客」は?
ここで、マーケティングに大切な「顧客」とは誰か?という問いが出てきます。
21世紀の顧客は、従来のいわゆるお客さまではなく…
・対外的な顧客=すべてのステークホルダー
・社内的な顧客=その業務にとっての価値提供先
ということで、すべてのヒトが顧客になるのが、マーケティング4.0の考え方です。(チャンスは無限に広がっている!)
そして、大切なのは、無限の顧客が抱えている問題を見つけることだそうです。
顧客の問題にも2種類あり、
・顧客が認識している問題
・顧客が認識していない問題(現時点では問題として認識していないが、第三者から指摘されると「それが解決されればたいへんうれしい」と気づくような)
後者の問題を探すことが非常に大切で、それは残念ながら「必死に考えるしかない」と。
イノベーションとリノベーション
もう一つ、大切な事柄は、イノベーション。
イノベーションとリノベーションの違いを認識して、イノベーションを起こしていかなくてはマーケティング4.0にはなりません。
イノベーションは、「顧客が認識していない問題」の解決から生まれる成果であるため、顧客が認識していない問題を「発見」することが何よりも重要になります。
リノベーションは、消費者調査で把握できる、顧客が認識している問題の解決から生まれる成果。イノベーションがおこったあとに発生する顧客の不満や問題を解決するプロセスから生まれた成果。
分かりにくいのですが、家電で言えば…
現実に起こっている事象を記録する手段がなかった⇒【写真:イノベーション】⇒【シネマトグラフ(動画)映画:イノベーション】⇒【テレビ:(家庭で見ることができる)イノベーション】
テレビの発展 白黒→カラー(リノベーション)→液晶画面(リノベーション)→ハイビジョン化(リノベーション)
顧客が認識していなかったけれど、市場に出てくると「たいへんうれしい」解決策を出すことがイノベーションとなります。その後、マイナーチェンジしていくのはリノベーションです。写真がなかったときには記録を残しておくためには、文字や絵で残していました。風景画というのでしょうか?イベントなどを屏風絵にした日本画であったり、肖像画や浮世絵などもそのためにあったのではないかと思われます。大変な時間と手間をかけて記録を残していました。
写真が発明されたことで、「顧客」は思ってもいなかった時間と手間、(もしかしたら金銭的にも)かなり省くことができてうれしいと思ったのだろうと想像できます。そんなことができるなんて思ってもいなかったことができるようになった、これがイノベーション。
後は、その写真をどのように活用するのか?そのために使いやすいものにするとか、品質を上げていくということになってきますので、これがリノベーションの段階です。
ここまで、見てくると「イノベーション」を生み出すことの重要性が分かってきます。その後のリノベーションを生み出していくベースになるのです。
イノベーションを生み出すために
では、その重要なイノベーションをどのように生み出すか?アイディアはどのように生み出すのか?が気になってきます。
本書では、常に考えていること、考え続けることが求められると言っています。
一人で考え続けることは、とても大切ですし、考える基本です。
ファシリテーターの視点からすると、一人で考え続けている人たちが集まって対話をすれば、共創ができると言えます。
フィンランドの教育では、共創する社会を目指しています。知識資本主義の時代に対応するために、人間同士の信頼関係の上の対話によってイノベーションを起こしていこうという国家的な戦略なのです。これは、PISA調査の目的でもあります。(『フィンランドの国家イノベーションシステム』レイヨ・ミエッティネン、新評論、2010年)
共創の場をデザインし、進行していくのがファシリテーターなのではないかと考えています。
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そういえば、フューチャーセンターも北欧の国スウェーデンで生まれ、イノベーションを起こすという目的を持って運営されています。(『フューチャーセンターをつくろう』野村恭彦、プレジデント社、2012年)
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そして、フューチャーセンターには、ファシリテーターが欠かせません。
このフューチャーセンターは、企業だけでなく、というよりも役所が運営しているほうが多いのです。人々がより良い生活をしていくため、知識資本に基礎をおく社会に生き残っていくためには、イノベーションを起こすことが政策としても求められるということではないかと考えられます。
フューチャーセンターもさまざまなステークホルダーが集まって対話することでイノベーションにつながっていくという基本的な方針があります。
共創によるイノベーションを起こすためには、ファシリテーションは必須なのですね。
従来の解決方法では解決できない課題や、従来なかった課題などが山積している「公」としては、その課題の根本は何なのか?を探り、解決していく政策を行っていかなくてはなりません。そのニーズから、フューチャーセンターが必要とされている、されはじめているといえるのではないでしょうか?
フューチャーセンターのような人と人をつなげたり、より良い上質な対話の場を設けることが求められており、そのような場で市民の方々と様々な視点からの対話をしていくことが企業や行政、その他の社会課題を解決しようとしているステークホルダーにとってより良い未来を共創していくために必要なことのようです。
このような場をデザインし、創っていくことが、これからのファシリテーターにとっても重要な使命となってくるのでしょう。
そのような場になるように精進していこうと思いを新たにしました。
2017-01-08 | ニュースレター
2016年の ANNUAL REPORT を作成しました。
ふりかえりますと、2016年は、昨年・一昨年に引き続き、若者・子どもと女性を対象とした会議やワークショップをファシリテートさせていただく機会に恵まれました。
このテーマは、弊社の大きなテーマでもありますので、たいへん興味深い、学びの多い一年でした。
もう一つのテーマは「つながる」だったように思います。
行政が広域でつながる。行政だけでなく観光や地域おこし協力隊とつながる。
などの新しい連携の相手とつながっていく場をファシリテートさせていただきました。新しいことをしようとする前向きなパワーがみなぎる場でしたので、そこに同席するだけで、こちらもパワーをいただけました。
2017年も、ファシリテーションのスキルをブラッシュアップしていくとともに、研究と実践を積み重ねてまいります。
そして、少しでもお役に立ちたいと思っています。
ご笑覧くださいませ。
2017-01-05 | ニュースレター
年末、新潟の糸魚川市で起きた大火災。木造密集市街地でした。
普段は、コミュニティが密で生活していくには、お互いに頼れる地域だったのではないでしょうか?
しかし、火災には大変脆弱といわれています。
一昨年度から取り組んでいる、木造密集市街地の防災では、今年度は女性だけでヒアリングをしています。
普段は表にあまり出てこない女性ですが、家庭のカギは女性が握っていますよね。
どのようなことを考えていらっしゃるのかを伺うことは、イザというときのカギでもあると予想されます。
ヒアリングをしてみると、この地域にはステキでしっかりとした女性がたくさんいらしゃることが分かりました。
男性、女性、役所が協働すると何か、生まれそうな予感がしました。
ニュースレター第65号
こちらから、ご覧くださいませ。