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2018年 12月

『ワークショップをとらえなおす』ことは、言葉をみなおすこと?

2018-12-28 | ブログ

拙著『多様な市民とつくる合意』と同じ日に出版された『ワークショップをとらえなおす』。

同日にワークショップ、ファシリテーションの書籍が発売になるというのは、偶然なのか?何かの意図でもあったのか?と大変興味を持って読みました。

内容は

「ワークショップ」という言葉が認知され、ファシリテーターだけでなくワークショップデザイナーまで認定されるようになった今、ワークショップへの著者の関心と今まで開発してきたワークショップについてのふりかえりを中心として、ワークショップというものは一体どのような効果が期待され、応えることができるのか?が書かれています。

参考文献には、FAJ(日本ファシリテーション協会)の創設者の堀公俊さん(ファシリテーションに関する著書多数)や、FAJの元理事でフェローの中野民雄さん(初めて『ワークショップ』という名のついた書籍を出版)が挙げられています。所属している団体の方が参考文献に上がっていること自体がうれしく誇らしいです。

中でも一番共感したのが参考文献にパウロ・フレイレ『被抑圧者の教育学』があったことです。20年近く前、NGOの職員を目指す人のファシリテーション講座というのを受講しました。そのときに教えていただいたのがパウロ・フレイレです。この話題、私にとってはたいへん共感し、考え方のベースになっていることなのですが、逸れてしまうので今回はここでストップですね。。。

この参考文献を見ただけで期待が高まりまり、読み進めました。

 

参考文献には挙がっていないのですが、先日読んだケネス・J・ガーゲン、メアリー・ガーゲンによる『現実はいつも対話から生まれる』の社会構成主義の考え方が、入っていました。そこにも、共感を覚えました。

実は…この『現実はいつも対話から生まれる』は、以前このブログでもご紹介した(http://social-acty.com/blog/1404/)「社会構成主義」の考え方を書いた『あなたへの社会構成主義』をもっとわかりやすく書いたものです。

 

名前がつくと新しい未来ができる

『ワークショップをとらえなおす』には、p3に「私たちは、ことばによってあたらしい『世界』を獲得する。つまり、名付けることは、『世界(世界観)』をつくることであり、ことばによって、人びとのふるまいや環境について、秩序立てて語れるようになる。」とあります。

そして、p4に「ひとつのことばを獲得することで、さまざまな〈モノ・コト〉のつながりが明快になり、過去や現在のみならず、将来の活動までもが語りやすく整理される」とも。

社会構成主義では、このことばの意味はそのコミュニティによって定義づけられているので、言葉を再定義することは常識(と思われていること)を再構築し、未来をつくることにつながる、としています。

わたしたちは「ことば」に縛られているのです。その縛りをとくためにも「対話」が必要だということになります。

ワークショップということばが定義され、発展している現状をみて、今一度ワークショップという言葉をとらえなおす必要があるのでは?という問いかけが作者の意図のひとつではないか?と思われます。

 

形式化してしまっている場合も

中野民夫さんの『ワークショップ』が出版されたのが2001年。この18年間でワークショップ、ファシリテーションに関する書籍も数多く出版されるようになり、ワークショップそのものも広がってきています。

広がれば広がるほど、形式だけを取り入れ本質のところが薄くなっていってしまう…というのは、散見されることです。

あえて、ここで一旦ワークショップとは何だったのか?について考えてみる時期なのかもしれません。

となると、中野民夫さんの『ワークショップ』を異なる視点で読み返してみるというのも一つのアイデアだなぁと思いつきました。

「イラスト無料 ワークショップ」の画像検索結果

今一度、「ワークショップをとらえなおす」ことが必要なのかもしれません。

・そもそも何のために行うのか?

・本当に必要なステップなのか?

・主催者・参加者の思いは形になるのか?

・その形には、参加者はコミットできるのか?

・そんなプロセスデザインができているのか?

など、ワークショップのデザインを考えるときには、自分に問いかけて対話しよう!と思いました。

 

2018年も終わろうとしています。1年、お付き合いいただき、ありがとうございました。

今年最後にふりかえって、新しい年を迎えられそうです。

今後ともよろしくお願いいたします。

 

「AI×ファシリテーションのアイデアを考える会」開催しました

2018-12-19 | ブログ

先日、ファシリテーションとAI(Artificial Intelligence)を掛け合わせると、どんなことができるだろう?ということでアイデア出しの会を行いました。

日本ファシリテーション協会のメンバーが(プライベートな会にもかかわらず)20人も集まってくださいました。

始まりは

名古屋で行われた「人工知能学会 市民共創知研究会:みらいらぼ」でした。

(http://www.mirailabcci.com)

この、みらいらぼは3日間行われますが、3日目は研究者、技術者、話題提供者が開発可能なアイデアを考え、実装していく(ここが課題ですが)というものです。

(昨年のブログにも!ベストプラクティス賞を頂きました http://social-acty.com/blog/2651/)

そのときに、音環境認識…というものを活用すると、ファシリテーターの養成に役立つのでは?と提案しました。

その後、大学院生がプログラミングしてくださり、形になってきましたので、(ファシリテーションといえば!)日本ファシリテーション協会の8月定例会でどのように活用できるかについてアイデア出しを試みました。今年の8月でした。

8月の定例会では、本当の「KJ法」でアイデア創出をしよう!というテーマで、扱う内容を「音環境認識…」にしたのですが、扱う内容が面白すぎること、KJ法で進める方法もヘビーだったことで、うまくアイデア出しまで行きませんでした。

ということで、再度のチャレンジとなったのです。

「イラスト無料 AI」の画像検索結果

情報工学の先生とコラボして

白松先生がこのAIに関わって研究を進めていらっしゃいます。

今回は、名工大の「ラーニングコモンズ」というワークショップができる仕様になっている場所をお借りして行いました。

とっても素敵なワークショップしやすい設備の会場です。3か所にあるスクリーン、変形させやすいテーブル、たくさんあるミニホワイトボード…。いろいろな使い方ができそうで、わくわく度が高まります。

こんなところでワークショップができるなんて、うれしい限りです。

白松先生と大学院生さんが参加というか話題提供をしてくださったので、活発な質疑応答もありました。

プログラミングもずいぶんと進んで、お試しでできるまでになっていました(!)ので、お試しもしてほしい(自分も試してみたい)ですし、アイデアも考えたいということを叶える進め方はないか?とプロセスデザインも考えてみました。

 

進め方(プロセスデザイン)は

OST(open Space technology)という方法をアレンジして進めました。

OSTはホールシステム・アプローチという対話を基礎にした進め方の一つで、本来は2~3日かけて行うものです。

普段、日本ファシリテーション協会(FAJ)では、OSTというとそのエッセンスの問いを参加者が立てて、その話題について話したい人が集まって話し合う(マグネットテーブルとこのごろは呼ばれています)ことを指すようになりました。

今回は、もう少しOSTに近づけまして…

マーケットプレイスというのを入れました。マーケットプレイスは、話し合いたいテーマを立て(本来は自分で宣言します)その人がそのテーマを話す時間と場所を決めます。そして話したい人が集まって話し合うというものです。

【プログラム】

 アイスブレイク

 レクチャー

 話したいこと(テーマ出し)

 マーケットプレイス

 第1~第3セッションまで(1グループはAI体験)

 全体でシェア、ふりかえり

としました。

【やってみて】

・AIを体験して、ふりかえりをしているうちに、活用のアイデアが溢れてきました。こんなに簡単にアイデアが出てくる!きっと、体験そのものと持っている背景が異なる人たちが集まったからこその賜物。多様性がイノベーションを生む!ということを実感しました。

・1時間のセッションの内訳は40分を話し合いにし、20分でポスターセッションと休憩としました。この時間割が心地よく、テンポよく、飽きずにいろいろなアイデアを出し、触れることができました。

・ホワイトボード、模造紙もたっぷりあったので落ち着いて、適切なツールで話し合いをすすめることができました。

・もちろん、ファシリテーションを身につけている人々でしたので、説明も簡単で理解してもらえ、短時間で期待以上の成果も出ました。それがまた、うれしい!

・話し合ったことが実現する!という手ごたえのような、お役に立った気持ち(有用感?)があり、自分達はまた、このことに関わっていきたいというコミットもしっかりと心に根付ききました。話し合いの成果の行方がとても気になります。

などなど、言い出せばきりがないほど、充実したアイデア出し会でした。

 

アイデアソンという方法もスピーディで楽しいのですが、やはりじっくりと対話でき、ほどよい(と感じました)テンポで進むのは、違和感が少ないように思いました。そして絞り込むときも、納得の合意で絞り込めました。対話による話し合いの成果ですね。

やっぱり、話し合いにはファシリテーションは必須!!

このようなたのしい会を開催させてくださった白松先生、プログラムを開発してくださった院生さん、そして、集まってくださったFAJの仲間に感謝します。

 

 

 

 

 

ニュースレター第87号「女性のための『ファシリテーター入門講座』」

2018-12-04 | ニュースレター

名古屋市の男女平等参画推進センターさんの講座を一つ、担当させていただいています。

その名もズバリ!「ファシリテーター入門講座」です。

参加してくださっている女性の方々はコミュニケーション能力が高く、こちらも勉強になります。

そして、この企画をしてくださった担当の方の「在り方」がとても勉強になっています。参加される方の事情に合わせた対応がステキなのです。

とても冷静に柔らかく対応されていらして、いざというときはこの方に言えばなんとかなる!と思わせる安定感があります。

お聞きしたら、小学校の先生をしていらして、「小学生ではよくあることなんですよ」とこともなげにおっしゃいます。

「いえいえ、その対応は素晴らしすぎです!」

参加していらっしゃる方々からも、フィードバックをいただき大変貴重な機会をいただいています。

ニュースレター第87号「女性のための『ファシリテーター入門講座』」

ご覧ください。

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