ソーシャル・アクティ まちづくり&組織の活性化・ファシリテーション

社会が、一人ひとりが、生き生きと生活できる社会の実現をめざしています。

『始まっている未来』とファシリテーション

2022-04-13 | ブログ

『人新世の資本論』斉藤幸平を読んでから、ここに出てくる”コモンズ”と宇沢弘文のいう”社会的共通資本”との差異について知りたい!と思っていました。

社会的共通資本 (岩波新書)(アマゾンより)
大学院生のときに読んだ『社会的共通資本』をひっぱり出してきて、眺めてはいましたが、まだ、言語化できていません。

ふとしたきっかけがあり、『始まっている未来 新しい経済学は可能か』宇沢弘文、内橋克人、岩波書店、2009年を読みました。

(アマゾンより)

この中に書かれていることは、衝撃的な経済上歴史上の事実(というか裏側)もありましたが、私がファシリテーションを仕事にしようと思ったことを勇気づけてくれることも書かれていました。

それは、大学院で学んだ「地方自治(特に住民自治)」「コミュニティ」についてです。経済の本ですので、表現は異なりました。
ご本では社会的共通資本に共通する部分の多い、内橋さんの「共生セクター」と「自給圏」が該当すると考えられます。

社会的共通資本は、市場に任せるのではなく、コミュニティで管理運営していった方が人間が暮らしていくにあたってふさわしいものがあり、それらを社会的共通資本と呼ぶとされています。

そして、内橋さんも「共生セクター」と呼び、「競争セクター」と対比して、人間らしく暮らしていくことを謳っていたのです。

競争セクターと共生セクター

競争セクターは、市場原理主義とも呼び、「分断・対立・競争を原理とし、その隙間に利益チャンスをはめ込む。まさに今日の破綻は、競争セクター至上、市場競争一辺倒に立つイデオロギーの帰結でしょう(p100)」と言い、人々の分断を前提にして成り立っているようです。この本は2009年に出版されたものですので、ここに書かれている「帰結」とは、リーマンショックのことを指しています。

これに対して、共生セクターは「連帯・参加・協同であり、共生セクターの足腰をいかに強くしていくか、それが21世紀最大の課題ではないか、と。(p100)」競争セクターに浸食されている今の生活から、失われつつある共生セクターをいかにして取り戻すのか?ということなのですね。考え方や気持ちは、育ってきた文化やコミュニティで培われるとのことなので、長い間、競争の考え方が広まっているので、なかなか、難しそうです。不況や災害などがきっかけになることもあるようなので、期待されていたようです。
少しずつ、共生セクターを実現していこうという挑戦が始まっています。(後述)

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共生セクターは「競争セクターとはちょうど逆に、人々がまず連帯し、共生、協同し、政策決定過程にまで参加していく。このような共生セクターの構築へむけて努力を積み重ねることが私たちの選ぶべき道なのではないだろうか、と。(p111)」
まさに、住民自治の考え方!だと思いました。そして、分断されてしまった関係性を紡ぎなおしていくには「対話」が必要なのだと考えています。この「対話」による効果については、何度もこのブログに登場するデビッド・ボウムが言っています。

対話の場をつくる!という意味で、ファシリテーションが実現にむけて大きく踏み込んでいけそうです。

このご本で、経済面からも住民自治の実現がこれからの未来に必要なことだ!ということを言っていると、改めて心強く思いました。

「共生セクターを経済的に抱える核は何かを考えてみると、それは人間の基本的な生存権」「憲法25条もそうですが、より広い意味での人間の基本的生存権、それを本当の意味で現実化し、具体化し、維持していくために、社会の中に構築すべきもの、それが自給圏だと私は思います。(p111)」
「共生経済は、F(食料)E(エネルギー)C(ケア)の自給圏を人間の生存権として追求していく経済のあり方(p100)」とあり、これらが自給可能な範囲がコミュニティなのではないかと思いました。

エネルギーの自給圏の大きさ(事例から)

エネルギーは、小さな単位で自給する動きが少しずつ広がってきています。
岡山県西粟倉村の事例が有名です。

(http://throughme.jp/meguru_nishiawakura_hyakumori10/ の記事では、バイオマスを始めた方の想いも語られています)

(西粟倉村ホームページより)
木質バイオマスで地域のエネルギーを100%自給しています。2013年には環境モデル都市にしてされました。
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/biomass/b_kihonho/local/attach/pdf/keikaku_sakutei-181.pdf)

西粟倉村の統計(2022/3/31現在)2022.04.5
(外国人を含む)人口 1,384人(男 654人 | 女 730人)
世帯数 597世帯
面積 57.97平方km

1000人規模の単位がエネルギー自給の一つの目安なのかもしれません。
コミュニティの自治を考えるとき、中学校区程度と言われています。約10,000人程度。
10,000人が次の目安の単位なのかもしれません。

*ここは、今後、もう少し調べていく必要がありました。φ(..)メモメモ

そして、ファシリテーション

自給圏を形成していくにあたっては、自給圏内に住む人たちのコミュニケーションがとれていることや、その地域へのアイデンティティをもっていることが大切な要素になってくるのではないでしょうか?
コミュニケーションをとれる関係づくり、自給圏内で決めて行動していくための合意形成など、ファシリテーションが活用できる(活用したほうが、余分な苦労をしなくて済む)のではないかと思います。

人と人が一緒に、気持ちよく暮らしていくためには、ファシリテーションのスキルや、スキルを活用できる人がいることも必要なのだと思うことができました。今までの行動を後押ししていただいたような気持になりました。
まだ、コロナ禍の中ですが、こんなときだからこそ、少しずつでも進めていきたい!と思いました。

今後とも、よろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

ニュースレター第127号「対話するシンポジウムを開催しました」

2022-04-03 | ニュースレター

先日、地方自治研究学会の研究部会が主催して「ひとをつないでまちづくり」というシンポジウムを開催しました。
コロナ禍ですので、対面で参加する人は少人数に絞らせていただき、その代わりに内容の濃いものになるよう、企画しました。

コロナ禍でリモートで働く人たちが増え、通勤等に使っていた時間が空きます。その方たちが家の周りを散歩すると地域のことに目が行き、まちづくりに参加する機会が増えた。

子どもは将来の(現在も)まちづくりの担い手。勉強や部活で忙しい中、どうやって地域に目を、向けてもらうか?

起業したい人が増えている、この人たちがまちに興味をもってくれるように…

その人達を支える行政職員もつながろう!

新しい、まちづくりの登場人物が増えていく!ことを期待しつつ…
対話で構成するシンポジウムとしました。

ニュースレター第127号「対話するシンポジウムを開催しました」御覧くださいませ。

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駅の自由通路でマルシェ

2022-03-22 | ブログ

愛知県岡崎市のJR岡崎駅の自由通路で、月に3日間、駅ナカ横丁(テイクアウトまるしぇという名前でスタートしました)が開催されています。

 

コロナ禍になって、飲食店の営業が縮小され、飲食店そのものも町も、活気がなくなっていく…
これは、どこの駅前でも見受けられる現象でしたよね。

こんな状況の中で、立ち上がった協働の事例!をご紹介したいと思います。

JR岡崎駅周辺の経緯

駅西の区画整理が完了し(清算も完了!)駅東も終了が近くなっています。
今回ご紹介したいのは、駅東の賑わいをつくろうという「であいの駅岡崎(http://deainoeki-okazaki.jp/)」と駅前発展会(https://okazakiekimae.jimdofree.com/)、市役所の活動です。

弊社は、駅東の町内会のみなさんとご一緒に「花のまちづくり」の活動を始めたのが、2007年の合同庁舎の花上のボランティアからでした。
町内に皇帝ダリアを植えて「皇帝ダリアの咲くまち」を演出したり
町内を花でいっぱいにする活動をしたり
ポケットパークのデザインをみんなで決めたり…
今では、地元のみなさんがポケットパークの管理をしていらっしゃいます。

集合写真
(ポケットパークの造成中にイベントを行いました。https://www.city.okazaki.lg.jp/300/306/p017458.html より)

いろいろと関わらせていただいてきました。
そのみなさんが、素敵にご活躍していらっしゃって、もう、尊敬!です。

岡崎駅東、住民や商店街のパワーがあるのですね!

始まりは…

今回は、であいの駅岡崎と駅前発展会の役員を兼ねている方がキーパーソン!
市役所の担当に会うたびに、自由通路を使いたいと伝えていたとのことです。
この自由通路は、もともと「道路」なので、道路を使用したいときは、使用許可や占有許可が必要になります。
道路に関する許可をとりたい!と思うと、なかなか「うん」と快く言ってもらえないのかツネですよね。
ところが、市役所の方も駅前の賑わいを創出したいという想いもあり、
コロナ禍で地元の飲食店が苦戦している…

そんなときに、市の商工労政課や観光協会も協力し、市の方も管理部署が変わり管理の形が変わりました。(変えてくださった?)

ついに、自由通路を使えることになりました!

2020年3月から毎月3日間、16:00~20:00の間(緊急事態宣言下でも、飲食店は20:00まででしたので)地元の商店に声をかけて「テイクアウト まるしぇ」を始めたのでした。
今は「駅ナカ横丁」という名前に改名しました。

始めは4店舗くらいが出店していたような記憶ですが、2022年3月では10店舗が出店。
他の団体も別の日に類似の企画を展開することになったのです。
今では、水~金の夕方は自由通路で何かの販売が行われているという状態になったのです。

お客さんもついてきて、乗降客でなくてもお弁当を予約して取りにきてくれたり、まるしぇの場で顔馴染みになって別の日に本店に来てくれたり…
新しいつながりもできてきているそうです。

閑散とした駅の自由通路でした。出かけて、駅まで帰ってきても「し~ん」としていた駅でした。
他の駅では。テイクアウトの店が出店していたり、駅ビルがあって買い物をして帰ることができたり、と、
駅そのものの賑わいがあるのですが、なかなか見られなかった…(寂しかったです)

改札を出て、人がワイワイと賑わっていると、なんとなく温かさを感じ、寒さも緩和されるような気がします。
帰ってきたなぁと感じます。


(改札を出るとこんな風景が。この日は市がアンケートも行い、10店舗が出店。)

「人の気配」「賑わい」は、こんな温かい気持ちにさせてくれるんだということを体感できています。

コトを始めるのはとてもパワーの必要なことだとお察しします。
(もちろん、続けていくにもパワーが必要ですね!)
始めてくださったことに感謝です。

他の駅前にも、この温かさが広がっていくことを祈りつつ。
ついつい買ってしまい、食べすぎるというスパイラルは止めて、食べる量を考えなくては!と思うのでした。

 

エンパシーを体感するワークショップ

2022-03-13 | ブログ

名古屋市に地域の国際化を進めることを目的とした「名古屋国際センター」があります。
(https://www.nic-nagoya.or.jp/japanese/aboutnic/)
こちらのセミナーにオンラインでしたが、参加しました。

タイトルは「エンパシー(共感)が人をつなぐ」です。

エンパシーと言えば…『他者の靴を履く』ブレイディみかこ著でキーワードとなっている「共感」。
これからの時代を生きていくのに、必要なスキルなのでは?と思っていました。
そこに、ぴったりな企画!
参加するしかない!です。

このセミナーは、
ニッポン複雑紀行(
https://www.refugee.or.jp/fukuzatsu/)という雑誌の編集長、望月優大さん

芸術文化観光専門職大学の助教、飛田勘文さん(
https://www.at-hyogo.jp/teacher/staff/000112.html)
の対談とワークショップでした。

対談

お二人の対談は、とっても自然で90分があっと言う間でした。
望月さんは、2月にJICA主催のセミナーにもご登壇。技能実習生の話をしてくださいました。
今回は、エンパシーについて。ウチとソトと言われているが、ウチはきっと自分1人。ウチの人以外は全部ソトの人。
という言葉が印象に残りました。

確かに、自分以外の人のことって分かりません。分かっているつもりでいるんだなぁと思うことってたくさんありますよね。
でも、本当は、自分のことさえ分からないですよね。
「ジョハリの窓」にだって、自分の知らない自分という領域があるくらい。

ジョハリの窓で自己分析 ~概要、やり方、項目例、シート、アプリ、研修活用~ | 適性検査「ポテクト」(https://potect-a.com/utilization/johari_window/ より)

飛田さんは、多文化共生の中で芸術によってコミュニティをつくっていくことをご研究されていらして、演劇についてのご研究が深いのだとか。
芸術文化観光専門職大学は、演出家の平田オリザさんが学長を務めていらっしゃる大学。
飛田さんのお話を伺っていると、その関係性に納得でした。

*余談で失礼しますが、
 平田オリザさん、コロナ禍の2020年6月にFAJにお招きして、定例会をしていただいたなぁ…
 ご著書は何冊か拝読していましたので、あの時、勇気を出してお願いして良かったと思っています。

さて、話を戻して…(戻ったのかしら?)
飛田さんの「演劇によってルールを変える予行演習をするんだ」「社会のルールチェンジは可能だ」という考え方は、
アウグスト・ボアールという人物を思い出しました。

(https://globaldrama.org/worlddrama/ より)
『被抑圧者の演劇』という著書があり、演劇で社会問題を当事者に自覚させ、解決方法を演劇で探っていくという手法を生み出した人です。
社会開発の分野では、有効な手法として活用されているとか…
ちなみに、『被抑圧者の教育学』で識字教育で社会を変えていこうとしたパウロ・フレイレと友人だったのです。
同じ考えを異なる手法で達成していこうという同士がいたというのは、心強いことだっただろうなぁと思います。

(wikiペディアより)

エンパシーを体感するワークショップ

このワークショップの前に、外国籍の女性が登壇し、日本でのご経験を語ってくださいました。
ワークショップでは、この方のお話の一場面を切り取って、寸劇にします。

単身で日本に来て、辛いことがたくさんあったのだろうなぁと想像するのですが、前向きに生きて来られた方でした。
今では、ボランティア活動から発展してNPO登録するまでに!
「みんなが幸せでほしいから」という言葉と実行する力が素敵でした。

急遽開催!】演劇WS・おしばいのはじめの一歩!(6/29) | しながわ学院エンタ部

オンラインでは、演劇ワークショップを見ているだけでしたが、時間の許す限り参加しました。
ファシリテーションでいう「観察」に徹していると、本当にいろいろなことが見えてきます。

アイスブレイクからだんだんチームができていく過程
ファシリテーター(飛田さん)のファシリテートとプログラム構成
参加者のみなさんのコミュニケーション力

ファシリテーターとしても、とっても学びになりました。

そして、演劇の力を感じたのでした。

以前、NGOのたまごセミナーを受講したことがあります。
そのときに、「寸劇をつくって演じる。他のチームが演じるのを見る。」というワークをしました。
新聞から一つテーマを取り上げて、ストーリーをつくり、演じるというものでした。
自分たちが演じるよりも、演じているのを目の前で見る!(至近距離で観る!)というのは、たいへんな迫力がありました。
(鳥肌がたってしまったことを覚えています。何十年経っても覚えています。)

演劇(インプロと呼んでもいいかと…)を活用してみたいなぁと思いました。

インプロ。
社会開発のファシリテーターが活用するように、まちづくりのファシリテーターにも必要なスキル(?)なのかもしれません。

 

ニュースレター第126号「ステークホルダーが集まるWS」

2022-03-05 | ニュースレター

先日、子どもの送迎サービスの事業化を目指して、さまざまなステークホルダーの方々に集まっていただき、ワークそっぷを開催しました。

ワークショップはリアルの対面とオンラインのハイブリッドで行いました。

集まってくださったみなさまは、ご自分の知見を惜しみなく出してくださいました。
お陰で、いろいろな視点から考えることができました。

現在、報告書を作成中です。この報告書を見ながら、次のステップに進んでいきたいと考えています。

ご参加してくださったみなさまのアツイお話。感謝しかありません。
みなさまの子どもたち、子育て世代の方たちのために!というお気持ちが伝わってきました。

ステークホルダーが集まるというのは、優しい気持ちが集まるということなのだと感じました。

ニュースレター第126号「ステークホルダーが集まるWS」御覧くださいませ。

 

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