2016-04-27 | ブログ
先回、「社会構成主義」と「対話」の関係についての気づきを掲載しました(http://social-acty.com/blog/date/2016/01/)。
今回は、その応用編『ダイアローグ・マネジメント』に書かれていました、対話による組織変革のリーダーシップについての気づきを共有できればと思います。
はじめに
社会構成主義では、「言葉」や「感情」も所属しているコミュニティの文化であって、こういうことは楽しいことである、とか、こういうことは悲しいことだなどという「言葉」と「感情」は文化とリンクしている、ということでした。
したがって、異なる組織や文化のもとでは、「言葉」の意味する内容、感情、反応までも異なるということでした。
ということは、「私」と「あなた」は背負ってきた文化や経験が異なるので、同じ「言葉」を使っていても、それが意味する内容や感情、反応も異なる、ということになります。
社会構成主義では、コミュニケーションとは「お互いに意味を作るプロセスであり、継続的な調整のプロセス」である、としています。進行中のお互いのやりとりの中で「意味」を創っていくのであるから、「意味」とは、話し手と聞き手の相互作用の結果としてある、となります。仲間内だけで通用する言葉は、その典型かもしれません。
「対話」や「コミュニケーション」には固定した概念があるのではなく、常に変化するものと捉えることがその後の理解が深まることになりそうです。
社会構成主義では、この流れが「意味」であるということになります。「意味」は固定しておらず、絶えず変化していますよね。
例えば、「やばい」という言葉があります。語源由来辞典によりますと、「あぶない。不都合な状況が予想されるさま。」となっています。ところが、昨今は、若者を中心にして「やばい」は美味しいとか楽しいなど肯定的な状況を強調する言葉として使われるようになっています。従来の意味と適用する状況が逆転していますが、意味が変化していることなのかもしれません。
このように同じ言葉でも意味が異なる用法をしている世代が集まって社会をつくっていくには、お互いの意味を共有することが大切になってきます。「対話」の場を創ることは、意味を共有することであり、その流れを集めて合流させることとなってきそうです。多様な意味の流れが集まり、さらに大きな流れを創っていく場であるということになります。
組織改革は
この考え方からすると、組織改革は、流れを合流させることで変化を促すということになります。今まで組織は、機械や機械の一部として喩えられてきたように固定したものと考えらえてきました。ところが、社会構成主義では、組織を常に変化している水に喩えます。そして、水の流れを合流させることが組織改革を進めることとなります。
ホールシステム・アプローチといわれる「対話」を中心にした組織改革の考え方は、ここからきていたのです。ある課題についての利害関係者を一堂に集めて「対話」する。その「対話」によって、意味の流れを合流させ複数の声が流れるようにし、その流れを見えるようにすることで、組織改革やその先の変革(イノベーション)へと自然に向かっていくことにつながるのです。
上記のことから、組織には対話が必要なのだということがわかってきました。「対話」の場には、複数の声となる多様な文化や背景を持ったたくさんの人が集まり、多角的な視点からの熟考を促すような場のデザインをすることが必要となります。
対話をデザインするには、より開かれた場であること、即興性がある場であることが条件となり、そこからクリエイティブが生まれて来、その場を継続することでイノベーションがおこると書かれています。
そして、『ダイアローグ・マネジメント』では、組織改革のための「対話」の場をマネジメントするリーダーについて、望ましい姿や具体的な方法を提起しています。
新しいリーダーシップ
『ダイアローグ・マネジメント』は、新しいリーダーシップ像を描いています。水の流れを扱うのですから、「俺についてこい」「言うとおりにしろ」ということは求められません。ファシリテーター型リーダーが求められます。
リーダーの心構えとしては、
①言葉はさまざまに解釈されるものであることを忘れない
解釈の違いをすり合わせる手段として「対話」がある。
②メンバーは「他の関係」も背負っていることを忘れない
組織にいるメンバーすべては、家族や友人、今までの人間関係を持っている。
すべての社員はその集団と組織にとって「自分は価値がある」と認められたいと思っている。
組織を率いるということは
①上の方針を実行すること
②チームをまとめること
チーム(組織)内のさまざまな声をどのように指揮するか(オーケストラの指揮者のように)。
どのように会話の句読点を活用するか。
どのようなカオスを減らし、調整を促進するか。
他にリーダーができることは何があるかを考える。
③後天的に修得するスキルが必要
ダイアローグ・マネジメントをはじめとしたリーダーのスキルはトレーニングで修得できる。
大まかに、このような5つの要素があり、詳細なスキルが掲載されていました。
ファシリテーターと共通する新しいリーダーのスキル
このなかで、ファシリテーターと同じことを求められていると特に思った部分があります。
それは、一つには、効果的な対話には「インプロ(即興劇)」の技術にかかっているというところです。
対話の場は、あらかじめ想定した通りに流れていくというよりも、ある程度の幅をもって、時に狭く、時に広い幅をもって流れていくというイメージです。
ファシリテーターは、ある程度の川幅を想定して、その中で流れていくように準備します。実際にどの程度の幅になるのか?他の力が介入してきた時の対応などを予め準備しておき、対話の場をファシリテートします。対話の場の運営に必要となるのが、いまここで起こっていることに柔軟に対応するインプロの要素ではないかと思うのです。
また、対話には準備が大切であるとしていることです。それは、以下の4つの項目についての調査や対応策などです。
①ハード・アジェンダとソフト・アジェンダ
ハード・アジェンダ 会議の目的、目標などの成果とされる具体的な課題
ソフト・アジェンダ 自由度が高い議題(メンバーの自由な考えを述べることを保障、問題のあらゆる側面からの意見を聴く、すべての可能性の議論を聴く)
ファシリテーターは、会議の目的、目標を明確にして、達成するための場をデザインします(ハード・アジェンダ)。その際のメンバー間で自由に意見がいえる環境を整えます。
②組織の力学を意識する
ファシリテーターも、メンバー間の感情にも配慮し、メンバーの参加意欲を向上させます。
③「外の関係」と「波及効果」
メンバーの背負っている「他の関係」から意見、スキル、レパートリーなどを組織に持ち込むように促す。
チームの決断がチーム内だけでなく、「他の関係」への影響も考慮する。
ファシリテーターは、発言の背景を探り、その発言の裏にある本音を引き出そうとします。
④物理的な環境
照明、机の配置など
これは、ファシリテーターにも必須の配慮です。さわやかな外の空気を吸いながらの対話と、キャンドルを囲んでする対話では、話す内容まで変わってきます。
ファシリテーターをしている者として特に共感をもった、リーダーとの共通点でした。
おわりに
フラン・リースのいうファシリテーター型リーダーにも共通する部分があります。『ファシリテーター型リーダーの時代』、この本が日本で紹介されたのは、2002年でした。日本で「ファシリテーター」という文字がタイトルになった初めての本です。この頃は、「対話」の有用性、必要性についての認識が今のように広まっていなかったこともあり、対話によるリーダーシップということには触れていませんでした。しかし、組織の活性化には、従来のぐいぐいと引っ張っていくリーダーではなく、メンバーの意見を聴き、モチベーションを上げていくリーダーが求められていると言われ始めた起点となるものであったと思われます。
パラダイムシフトの時代と言われ、『ネクスト・ソサエティ』の日本語版が顕れた時期と『ファシリテーター型リーダーの時代』が重なっていることは、必然なことだったのかもしれません。
そして、2016年の今では、ファシリテーションや対話(ワールドカフェをはじめとする対話の手法)に関する書籍も珍しくなくなっています。
すでにパラダイムはシフト完了に近づき、ネクスト・ソサエティに入っているのだと改めて気づきました。
2016-04-13 | ブログ
先日、金沢に行ってきました。
兼六園では、ソメイヨシノは終わりつつありましたが、違う品種の桜が次々と咲き、にぎわっていました。
兼六園では、若い女性の着物姿が多く見られました。少し年配の女性の着物姿もあり、落ち着きを感じました。
インターネットで検索してみると、金沢駅や兼六園の近くにはレンタル着物のお店が数件ありました。古都には着物が似合いますね。
若い方が着物を着ているのを見ると、着物文化は再興するかも?という気持ちにもなってきます。
今回は、着物の話題はおいて置きまして。
今回の金沢、外国人観光客が増えたような気がしました。
最近は、「外国人観光客(マスコミに取り上げられるのは中国人観光客がおおいのですが)は、買い物よりも体験や花見を好むようになった」という報道を目にするようになりました。お花見は国を問わず人気があるのでしょうか。
タクシーの運転手さんに聞いてみると、「金沢は外国人観光客は多い。しかもヨーロッパの人が多いなぁ」とのことでした。
私の感覚でも、兼六園やひがし茶屋街でも、たくさんの外国人観光客がいましたが、ヨーロッパ系の方は他の観光地よりも多い気がしました。
1.観光庁の速報から
2016年2月の観光庁の速報値では、平成26年1月から平成28年1月の外国人延べ宿泊者数は、
三大都市圏で毎年30%を超える増加を見せています。地方部では、平成26年から27年の1年では38.9%ですが、平成28年には70.0%の増加となっています。【図 1】(http://www.mlit.go.jp/common/001125865.pdf)
絶対数では、もちろん、三大都市圏が多いのですが、北海道をはじめ沖縄も地方部で検討しています。もちろん、京都も。【図 2】(http://www.mlit.go.jp/common/001125865.pdf)
また、国別では、やはり中国からの観光客が最多となっています。【図 3】
【図 3 出身地別外国人延べ宿泊者数】
(http://www.mlit.go.jp/common/001125865.pdf)
このグラフでは、ヨーロッパからの観光客はたいへん少ないこともわかります。
となると、タクシーの運転手さんのコメント、実際に見た感想と差異がでてきます。
金沢の観光客の内訳はないものかと探してみました。
2.金沢の状況
金沢市の「観光調査結果報告書(http://www.kanazawa-kankoukyoukai.or.jp/com/img/useful/exchangecity/kankouchousa-2014.pdf)」がありました。残念ながら、平成26年に調査した内容ですので、観光庁の資料と一概に比べるのは乱暴な部分もありますが、おおよその方向性はつかめるかと思います。(以下、キャプションでの説明がないものは、すべてこの報告書から抜粋しています。)
まず、金沢を訪れる外国人観光客の推移は、【図 4】のように、平成23年を底として平成26年まで順調に伸びています。
これを全体の中の外国人観光客の割合をみると【図 5】のようになります。
このグラフからみても、観光客の増加には、外国人観光客が寄与していました。
次に外国人観光客の発地を見てみると【図 6】のようになります。
この図からは、【図 3】の全国の割合と比べると、北米、ヨーロッパからの外国人観光客の割合がたいへん高いと言えます。
残念なことに、この原因は報告書に記載されていませんでした。
原因の一つに円安の影響があるのではないかと考え、為替の動向と外国人観光客数を比較してみました【図 7】。この図の為替レートは、4月第1旬をとっています。この報告書内で、観光客数が年間を通じて4月が一番多いことから、4月を取りました。
【図 7】では、平成23年からの外国人観光客の増加の場面では、円安が効果があるように見えますが、観光庁の速報では、この図にない平成27年、28年も増加しているとのことでしたので、大きな影響ではなくなっているようです。
今回は、兼六園、ひがし茶屋街を回りました。名古屋駅(特急しらさぎ)、宿泊したホテルでも、外国人観光客の団体ツアーに出会いました。
また、4~5人の団体が通訳と観光しているような場面も散見されました。
自治体、ツアー会社の努力だけでなく、通訳を依頼できる体制が整っていることも原因の一つかもしれません。
なぜ、金沢の外国人観光客の割合が多いのか、他の都市の割合と比較して何が言えるのかについては、今後の課題としたいと思います。
また、同じ古都である京都の動向について、比較したら興味深いものが出てくるかもしれませんね。
後日、TRYしてみようかと思います。
2016-03-31 | ブログ
「お知らせ」でご案内しました、JYM39(自治体連携による、夢のある、まちづくりを、39の自治体で)のプロジェクトの一つ、「しられざるみりょく発信」の第一段階は、まちあるきをして「しられざるみりょく」を発見することでした。
愛知県の知多半島を4つのグループに分かれて行いました。
私は、「知」のコースに参加。東海市の太田川の駅に集合して、モーニング兼作戦会議。
(モーニングは、プロジェクトの中にあったモーニング・ジャーニーの下見も兼ねています)
コースは(1)~(3)でした。
(1)太田川駅周辺
愛知県では手土産に最適の品の一つ、高級エビせんべい「ゆかり」を作っている「坂角総本店」の本店が徒歩圏にある!との情報を得て、見学。
(2)名鉄常滑線で「朝倉」駅下車、バスで「岡田」地区へ
ここで、昼食とまちあるき
(3)最後に半田市にある赤レンガ建物に集合
昨年の夏に「浴衣美人プロジェクト」を行った場所です。
(本当は、その後、常滑経由で赤レンガ建物に集合でしたが、常滑経由する時間がなくなってしまい、太田川に戻って半田の住吉駅へ)
岡田地区は、知多木綿の産地として有名で、織布で栄えた地区とのことです。江戸時代には知多晒(ちたさらし)として一番の生産高だったようです。
http://okadamachinami.com/chitamomen/
知多市岡田地区
「登り」という名の交差点を入っていくとすぐに、なまこ壁(http://namakokabe.com/namakowall)の蔵があり、その横に、今回の一番のオススメ「木綿蔵ちた」があります。
http://okadamachinami.com/midokoro/machinami/momengura/
その中では機織り体験ができます。
この体験がオススメなのです。
体験というと、インストラクターの方がいらして優しく教えてくださるというイメージですよね?
ところが!ここでは、厳しくもていねいなご指導をしてくださるインストラクターのおあばあさま(という言い方は良くありませんね。職人さん)がいらっしゃいました。
15分くらいでコースターができると言われたにもかかわらず…
丁寧なご指導が20分ほどあり、長さの半分近くを説明を加えながら織ってくださるのです。
ただ、その説明は、指導というのが近く、体験というよりも「一日弟子入り」というイメージでした。
ご指導に従って織っていくと、「あら、その手つき、いいわね」「あれ?そこは、そんなやり方で良かったの?」とチェックが入ります。
お陰さまでいっぱしの職人になれた気分になれました。
体験を楽しむ、というよりも、その方のご指導、やり取りを楽しむ時間となりました。
旅の思い出は、景色だけでなく、そこでの人との会話であったり体験であったりのほうが印象が強く残り、また行ってあの人に会いたい!と思うのだなぁと実感しました。
次回は、ランチョンマットに挑戦!
②岡田神明社へ
そして、明治に建てられた郵便局を見ながら、坂を上がっていきますと・・・
丘の上に社がみえます。
あの社に行ってみよう!
ところが、目標物は見えているものの、道が行き止まりだったり、違うところに出たり…というプチ迷路を楽しみながら、なんとかたどり着きました。
なんと、海抜3mから45mまでの急な勾配の道を上がっていったのでした。
途中から見る景色も一見の価値あり!です。
そしてたどり着いたのが「岡田神明社」。http://okadamachinami.com/midokoro/machinami/shinmeisya/
こんな丘の頂上にこんなに立派な神社があるというのが不思議でした。昔の人のパワーを感じました。
不思議なことに、本殿の横にあるお社の参道の真ん中ににユーカリの巨木がありました。
神社にユーカリというのは初めてでした。また、参道の真ん中にどーんと立っていることにも驚きました。
ホームページにはその謎の答えはなく…より一層なミステリーです。
③ダッシュ坂
帰る時間が迫ってきたので、急いでバス停へ。
その坂の急なこと!
つま先立ちで降りるようなの坂です。
この坂を「きゃ~」と言いながら、(たぶん地元の)小学生5~6人が駆け下りていきました。
こんな急な坂を走ったら止まりません。大人は怖くてできないのですが、小学生の運動神経にまたまた驚いたのでした。
この小学生を見て「ダッシュ坂」と勝手に名付けました。
いろいろな見どころはまだまだあったのですが、時間が無くなり…
やむなく集合場所、半田へ向かいましたが、一日かけてじっくりと歩いてみたいまちでした。
江戸時代から明治にかけて栄えたという知多木綿。自動化の波に飲まれて衰退してしまいましたが、繊細で素朴な知多木綿の誇りを感じるエリアでした。
知多木綿の着物を着てみたい!(ザバッと洗ってもよさそうな丈夫で、繊細な織物でした。)
最後に、赤レンガ建物でグループワークを行い、知られざる魅力をまとめました。
「知」コースは、人とのふれあいを中心にしたコースとしました。知多木綿体験の師匠、おかき屋 辰心の名物おじいさん、神明社あたりで気軽に声をかけてくれた地元のおじいさん、そして、ダッシュ坂を駆け下りた小学生。
たくさんの驚きとともに楽しみ方を教えていただきました。
ありがとうございました。
2016-03-26 | ブログ
3月19日に今年度3回目となります、東浦町での「自治を考えるワークショップ」でファシリテーターを務めさせていただきました。
第1回は中高生、第2回は子育て世代のママ&パパ、第3回目は中高生+ママ&パパ、そして一般(と言う表現も少し疑問ですが)の方々といろいろな世代の方にお集まりいただいて、話し合いました。
テーマは交流
話し合うタイトルは、第1回、第2回と続けた中で、「交流」という言葉が共通の言葉として浮かび上がってきました。
「自治」と「交流」…
一見、関係がないような気もします。
「自治」は自分で決めて行動するという一面を持っています。自分で決めて自分で行動する。それは、まずは自立した個人として必要なことですよね。
ただ、その先に何かを変えたいとか、社会を変えていくムーブメントにまでしていこうと考えると、一人ではできません。複数のそれも多くの賛同者が必要になってきます。
社会を変えるためには、他の人を巻き込むことが必要なのです。
となると、巻き込んだり、仲間・賛同者を増やしたりするためにも「交流」が必要になってきます。
それだけではなく、もちろん人として他人と交流することはよりよく生きるためにも重要なことですよね。
dancing manという動画があります。一人が踊っているとそれに共感して隣で一緒に踊り出す人、それをみて周囲の人々が巻き込まれていくという様子が写っています。コアな部分の人のたゆまぬ努力が重要なのかなと思います。
進行は
さて、シンポジウムの進行にもどりますね。
進め方は、前2回とほぼ同じとしました。慣れない場でのアドリブにまだ強くない中高生(緊張していますので)がたくさん参加してくださるので大きく変えない方が安心して参加できるかなと考えました。
1.アイスブレイク 共通点探し
2.話題提供 町長、参加してくださった高校生代表、ママ&パパの代表のみなさんから、ご参加くださったワークショップのことやご自分の感想などをお話しいただきました。
3.対話 ワールドカフェ方式で進めました。
4.ハーベスト まとめは、交流するためにしたいこと、交流するとこんな東浦になるのでは?ということを書いて壁に貼り、
町長と会場で、貼ってあるものを見ながら対話をしました。
交流することの大切さを感じました
中高生の中には、「ちょっと難しかった」というコメントもありました。
たぶん、世代が違う人との交流経験があまりない中で、いきなり「交流するとどんな素敵なことがあるでしょう?」というような問いかけでしたので、難しかったのだなと思いました。
話しづらそうにしている中学生に聞いてみたところ、隣の家の大人に声をかけられた経験がない、近所の人の顔を知らない、というような答えが返ってきました。さらには、親と先生以外の大人と話したことがないという中高生少なからずいました。
そんな状況で、よく頑張って大人と話してくれました。
きっと大切な経験になったのではないかなと思います。(会場には90歳を過ぎた方も!)
大人にとっても、学生と直接話をする機会はめったにないのではないでしょうか?
参加してくださったみなさんが、世代が異なり普段交流しない世代の人と、ちょっと話しづらい中、ちょっと難しいことを対話してくださいました。
とっても素敵な時間が流れていたと思います。
最後に
今年度、3回にわたって「自治を考えるワークショップ」のファシリテーターを務めさせていただきました。
いろいろな世代の方々とほんわかと、ちょっと難しい、でも話しておきたいことをお話しする機会を設けることができました。
そこから、私自身もたくさんの気づきと学びがありました。
これも、アドリブにもかかわらず名ファシリテーターとなってくださった東浦町長さまはじめ、私の意見を尊重して、さらに演出も上乗せしてくださった職員のみなさま、そして、なによりも参加してくださった町民のみなさまからの賜物と思っています。
とてもすてきな時間をありがとうございました。
2016-03-14 | ブログ
先日、一緒に何かをしながら時間を共有することの大切さとパワーを実感しました。
「一宿一飯」「同じ釜の飯を食う」と言われています。やはり、一緒に食べるという時間は昔から何かを生み出す場であったのですね。
昨年度からお手伝いさせていただいてきた地区で、この1年間の各町内でどのように防災に取り組んできたかの報告会をしました。
もちろん、報告をする、聞くだけではなく来年度の取り組みについて考えるという会です。
そこで、防災つながりで「サバイバルごはん」の試食タイムを設けました。
普段は、お茶とお菓子の用意はあるのですが、手を付けない方もいらっしゃいます。
今回は、みなさん、試食してくださり、その後の話し合いもたいへん盛り上がりました。
その様子をご報告します。
サバイバルごはんとは?
3.11のとき、ライフラインの復活まで時間がかかったり、避難所生活が続いたりして、通常の料理を食べることは難しい状態がありました。
支援の薬・物資が来るまで3日かかったと、先日のシンポジウムの内科医の方がおっしゃっていました。(やはり、3日なのですね)http://social-acty.com/blog/1506/
この間も食べなくてはならない!のですが、ガスや電気が使えないとなると、通常のお料理は作れません。カセットコンロがあっても、いつライフラインが戻るか?を考えると燃料を節約したいですよね。
そこで、「サバイバルごはん」なのです。
火と水をできるだけ使わずに料理します。(キャンプに近いと思ったことは以前のブログでも http://social-acty.com/blog/date/2015/09/)
空き缶を小さな竈(かまど)にしたり、一人分をポリ袋に入れて火を通したり(水を汚さないようにすれば、何度でも同じ水が使えます)、火を使わずに、水も最小限にしてポリ袋でクッキングしたり、と様々な工夫でごはんを作ります。
カロリーだけでなく形態も通常の食事に近いものを食べたい、作りたいと思うのではないでしょうか?
非常時だからこそ、普段の食事をすることが大切で、気持ちを落ち着ける大きな要素になるのだと思います。
平時であっても、落ち込んだときに美味しい食事をすると、人心地がつくことってありますよね。
サバイバルごはん(略してサバめし)を作ること、食べることにも普段から慣れていたいものです。
*サバめしを3日続けたらストレスがたまりました。レシピを見ながらチャレンジしていたのですが、だんだんとその行為に疲れてきて、ちゃんと火を使う、いつもの料理をしたくなったのです。いきなり3日続けたのが原因かと思いました。しかし、被災したら強制的にそのような状態になってしまうことを考えると、普段から少しずつ慣れておくことが大切なのだと思いました。
報告会では
5テーブルありましたので、ご飯もの5種類、サバめし5種類としました。
(各テーブルに ご飯もの1種類+サバめし1種類としました。)
・火を使わずにできるポリ袋クッキング(3種)
・お湯だけ使わせていただいて α化米、じゃがりこマッシュポテト、フルーツゼリー
参加してくださったみなさんにも、ポリ袋をもんだり、じゃがりこを混ぜたりというお仕事をしていただきました。
これは、防災を自分事にしていただきたかったから、特に高齢の男性には女性でなくても食事をつくることはできることを体験していただきたかったからなのですが、違う効果もあったようです。
例えば
じゃがりこマッシュポテトの作り方を説明していると、そこにいた女性が「やったことあるわよ」とお名乗り出てくださり、彼女のご指導のもとでそのテーブルの方は、マッシュポテトを作ってくださいました。
ポリ袋で混ぜるテーブルでは、高齢の男性も喜んでやってくださいました。(特に、普段のワークショップでは、一人舞台の方も頑張って参加してくださったことに、驚きました。)
みなさん、真面目に美味しくしようと取り組んでくださいました。
というようなことが各テーブルで起こっていました。
アイスブレイクとして
テーブルごとにメニューを変えましたので、他のテーブルは何を作っているのか?気になったり、こうするといいよというような会話がはずむ、素敵なアイスブレイクになりました。
(いえ、通常のアイスブレイクよりも数段、盛り上がりました。)
普段、あまり話をしない女性も、指導的な立場になり、その姿勢は最後まで続いていました。これは発見です。
試食タイムでは、そのテーブルで作ったメニュー+α化米(1種類)を置き、他のテーブルには何があるのか?はそこに行ってみないとわからないというセッティングにしました。ということで、まずは、自分のテーブルで試食、次に他のテーブルを回って試食をしました。
ここでも、立食パーティ+メニューの評価となり、知らない間に隣にいる人と話すというアイスブレイクになっていました。
(実は、これほどの盛り上がりは想定していませんでした。食べることの大切さ、一緒に食べるという行為の威力を体感しました。)
また、自分たちのいるテーブルの人が食べるだけでなく、会場にいる全員が自分が作ったものを食べているという実感がありますので、自分の行為は社会に貢献しているという喜びもあったようです。
そして、食べた人たちが「美味しいね」「これ普段でもいいね」「どんな風につくったのかな」などと楽しく会話しているのをみると、貢献したことがさらに身に沁みてきたようです。
これらも想定外の効果でした。
そして、その後の話し合いでも試食の盛り上がりは継続しており、とても活発な意見交換となりました。
来年度の取り組みにも反映
サバイバルごはんの試食と男性も結構やってくれるという実感から、素敵なアイディアも出てきました。
とても、うれしいアイディアは…
避難訓練、炊き出しというと準備からお給仕、かたづけまで女性に負担がかかるので、女性の参加が少なかった。
サバイバルごはんなら男性もできるので、女性の負担が少ないから、女性に声をかけやすくなる。
いっそのこと、避難訓練をサバ飯ブッフェにしたらいいのでは?
しかも、防災農園でとれた野菜を使えば、費用も少なくて済む。どんな野菜を栽培すればいいかしら?
防災農園ツアーしてもいいね!
と女性がきらきらとして提案していくださいました。
この他にも、サバイバルごはんを使って、防災に町内の人を巻き込もうというアイディが出ていました。
食べることの力は大きいことを実感しました。
ファシリテーターとしても
試食した方に味のご感想を聞くと、「あれが一番おいしかった」とか「これも美味しい」とか「どうやって作ったのかした?」と言われるととてもうれしかっったのです。喜んでいただけてこちらもうれしく、メニュー選びは間違っていなかったと安心したりと、いつもと違ううれしさがありました。きっと、貢献できたという実感があったからなのでしょうね。ポリ袋クッキングしてくださったみなさまと同じ喜びを経験できたのかもしれません。
ということは、参加者のみなさんとファシリテーターが同じ気持ちを共有できたことがうれしかったのかも。