2021-06-21 | ブログ
6月12日(土)13日(日)の2日間でFAJ(日本ファシリテーション協会)のオンライン・イベント「ファシリテーション・サミット」が終了しました。
https://www.faj.or.jp/activity/summit/s2021/01/index.html
6月12日は、参加者として楽しみ、13日の午前は「ワークショップ・セレクション」と名付けられたワークショップの一つを担当しました。
(午後は、FAJのオンライン総会でした)
こんなzoomの使い方があるのか~と楽しませていただいたことが1つ。
こんな素敵なツールがあったのか~が一つ。
こういうのは、必要だなぁと思ったことが一つありました。
1.こんなzoomの使い方があるのか~と楽しませていただいたこと
zoomのブレイクアウトルームの使い方です。
zoomのブレイクアウトは、参加者が自分の行きたいルームへ行けるようになりました。
ルームに部屋名をつけることができるようになりました。
これを活用して、ポスターセッションが行われました。
ポスターセッションの発表者は、タイトル名のお部屋で待機。
参加者は部屋名を見て、興味のある部屋へ行って、話を聞く。途中で、他の部屋にも行ける!
自由に部屋を行ったり来たりできるので、ポスターセッションの雰囲気が醸し出されていました。
とっても、自由な雰囲気で楽しく参加できました。
2.こんな素敵なツールがあったのか~
サミットに参加した人が、次はどこへ行けば(どのzoomのURLをクリックすれば)いいのか?
その案内がとっても分かりやすくて、操作も簡単!でした。
これなら、自分がどのワークショップを申し込んでいたのか?さえ分かっていれば、迷わずに行けます!
使ったツールは「Google サイト」というものだったそうです。
行きたいURLが埋め込んであって、該当のボタンをクリックすれば、そのzoomに入っていけるのです。
このツールは使えるようになりたい!と思いました。
どこかで、使えるといいなぁ。
3.こういうのは、必要だなぁと思ったこと
自分がメイン・ファシリテーターをしたワークショップ「ファシリテーション×AI」
ここで、対面では何度かおお目にかかっていた通称「たまご」ちゃん。
Hylable社さんのシステムです。
座っている位置で人を判別し、声を集めて、それぞれが話している時間をグラフにして見せてくれるというものです。
これがオンラインになったので、さらに使い易くなりました!
音の聞き分けだけでなく、その人の話がどれだけ他の人に影響しているのか?誰と誰が話し合っている状態なのか?も見えてしまいます。
この機能を使って、ワークショップでは、合意したのか?誰がファシリテーターだったのか?を他のグループのデータを見て、当てる!ことにしました。
(楽しみながら、データを分析していただきましょうというコンセプトでした)
やってみて、客観的なデータを見ることは、とっても新鮮でしたし、必要なことだと思いました。
メタ認知(俯瞰してみる)ことは大切だと言われますが、なかなかできません。
それが、客観的に、リアルタイムでデータが見えてしまいます。
「あ。今、しゃべりすぎてるな」と思うことがありますが、すでに話している横にグラフで見えている…
きっと、これを使いながら話し合いをすれば、しゃべりすぎた(💦)と思うことが共有され、話す時間が平等になっていきそうです。
客観的なデータで話し合いを見ることの大切さを再認識しました。
あれやこれやと、楽しみながら気づくこと、考えさせられることがたくさんあった「ファシリテーション・サミット」でした。
企画・運営してくださったみなさま。
ありがとうございました。
オンラインでのイベント、これからもっと楽しくできそうです!
2021-06-11 | ブログ
楽しく学ぶには、人に伝えることが一番!というのを実感しました。
「伝える」ワーク
先日、非常勤講師を務めている大学で、いつもとは少し異なるワークをしてみました。
「伝わる」の授業で、「工夫して伝える」ことに挑戦してみました。
伝える(伝わる)ためには、
・ 何を言いたいのか?を明確にして
・ どのように言えば伝わるのか?
その間には、「思考」が介在しますよね。どういう言い方をすれば、理解してもらえるだろうか?
私の言いたいことは、これでよいのかこれでよいのか?
など、さまざまなことを「考え」て、発信します。
ここまでは、今までの授業で行ってきました。
今回は、「言う」だけではなく手段を変えて(工夫して)みよう!という試みでした。
伝える工夫「ゲーミフィケーション」
伝える方法として、ゲーミフィケーションがあります。
ゲーミフィケーションとは?(https://coeteco.jp/articles/10523 より)
「楽しさ」「興味」「目的意識」などを与えることによって熱中度を高め、成果を大きく上げる!
ゲームの仕組みを利用して勉強の効率を上げるのがゲーミフィケーションです。
そうそう!ゲームをしていると瞬きを忘れるほど、集中してしまいますよね。いつの間にか、こんな時間に(💦)と思うこともしばしば…(やめるタイミングが難しく、それが怖くてなかなか手が出せなくなってしまいます。私って集中力があるのね!ということではなさそうです…)
今回は、ゲームを提供される、消費する側ではなく、ゲームのように楽しんでもらって伝える!ことを「考えて」みました。
条件を明確に
条件は具体的に提示しました。
・対象は 小学校6年生
・伝えるものは 子どもの権利条例(あなたたちには権利があるよを分かってもらう)
・時間は10分程度
としました。
グループで考える時間は30分
全グループ、ちゃんと時間内にできたようです。
〇×クイズやすごろく、カードゲームなどのアイデアがでました。(具体的にクイズやすごろくのマスの内容も2~3考えてもらいました)
悩みつつも楽しそうに、小学生の立場になって考えてくれていました。
いつもは、拙著『多様な市民とつくる合意 ~コミュニケーションとファシリテーションのレシピ~』にあるような、
レクチャー、ワーク(体験型)、ふりかえりの一連の流れで行っている授業です。
今回は、ワークのところを体験するためのワークではなく、「考え」て「創造」するというものにしました。
終わった後は、学生さんも達成感があり、楽しそうな表情でした。
林)できた?
学生)はい!
林)小学生に伝わりそう?
学生)バッチリ!
という答えがたくさん返ってきました。
グループワークの醍醐味を味わい、伝えるときに「考える」ポイントを体得してもらえたのだなと思いました。
創造的なワークも大切だと改めて、気づきました。
学生さんたちに感謝です。
2021-05-22 | ブログ
昨夜、NHK「美の壺」でモダン建築の特集をしていました。
(https://www4.nhk.or.jp/P5180/x/2021-05-21/44/31359/2084065/)
普段は30分の番組が90分!
モダン建築好きとしては、見逃せません。
この中には、愛知県にある「明治村」も取り上げられていました。
正確には、明治村の中にある「旧帝国ホテル」が取り上げられました。
(明治村ホームページより)
このホテルは、フランク・ロイド・ライト(近代建築の3大巨匠のひとり)が設計したもので有名です。
とっても複雑なテラコッタの壁面。
このテラコッタは、これまた愛知県の常滑市で複製しているとか…
この常滑市には、INAX LIVEミュージアムというのがあり、旧伊奈製陶の博物館にある「ものづくりミュージアム」で職人さんが複製していました。
(https://livingculture.lixil.com/ilm/)
愛知県の住民としては、「ここ、行った!」とテンションが上がり、あっという間の90分でした。
そして、コロナ禍が
INAXライブ ミュージアム
このところブームのレトロ・モダン建築
レトロ・モダン建築は、このところ、ブームだそうです。
レトロ・モダンといえば、明治大正時代。(大目に見て、昭和初期まで?)
愛知県には、前出の「明治村」があります。
明治村には、明治時代の建物が数多く移築されており、中に入って建築を堪能できます。
モダン建築好きには、至福の時間をくれる場所です。
コロナ禍になる前は、年に2回は行っていたのですが…
旧帝国ホテル(正面だけなのですが)では、中でお茶をいただくことができます。
明治時代にタイムスリップして、複雑なテラコッタ(光の見え方が絶妙)を見ながら、ゆっくりと過ごすことができます。
愛知県内の小中学校は社会見学といえば、明治村は必須です。
(私は、小学校は2回、中学校の遠足で1回、高校でも1回!社会人になっても…)
高校のころまでは、ただ建物があり、中を見ることはできるのですが、展示されているだけ…でした。
建物好きでなければ、あまり楽しくない(ただただ歩き疲れる)場所でした。
聖ザビエル天主堂はステンドグラスの美しさが魅力でした。
(明治村ホームページより)
ところが、大人になってから、楽しさが分かってきました。
まちづくりに関心を持てば、なおのこと!
こんな素敵な建物がまちに、身近にあるというのは、どんなに素敵なことでしょう!?
活用もできるし、住民のアイデンティティにもなりそうですよね。
外から訪れると住民が大切に使っている地域の歴史・アイデンティティを感じます。
愛知県の半田市にある旧中埜邸は平成25年まで紅茶専門店として開放されていました。
(ここでのティータイムも中を見学でき、豊な時間を過ごすことができました)
(https://tabelog.com/aichi/A2304/A230402/23002827/dtlphotolst/smp2/)
モダン建築は、まちづくりの核にもなるのですね。
こういう下心がなくても、モダン建築には、心をぐっと惹かれます。
ぜひ、明治村へ!
まちのモダン建築へ!
当時の職人さん、施主さんの意気込み伝わってきます。一種のパワースポットですね!
2021-05-11 | ブログ
このところ、哲学者のご本が気になっております。
http://social-acty.com/news/page/2/
http://social-acty.com/news/page/6/でもご紹介しています、斉藤幸平氏。
そして、斉藤幸平氏に初めて出会ったのが『未来への大分岐』でした。
(アマゾンより)
このご本は斉藤氏が3人の哲学者と対談しているのですが、その中のお一人が今回ご紹介する『全体主義の克服』のマルクス・ガブリエル氏です。
(アマゾンより)
こちらも中島隆博氏との対談本です。
哲学を深めていくには、「対話」が必要なのでしょう。
ソクラテスも弟子たちと対話で思考を深めていったとか。
素人には哲学論文は理解できなさそうですし、対談(対話の記録)と考えれば、理解しやすさが向上します。
全体主義とは
ご本の中には、「全体主義はすべてを「一(いち)」へと取り込もうとし、他者や他性をめぐる繊細な議論は根こそぎ削られてしまう」P111とあります。
多様性が大切!と言われている今なので、政策や人々の考えや施策は、一人ひとりに寄り添ってほしいと思うのですが、このコロナ禍で窮屈になってきているような気がします。
なので、このタイトルなのでしょうね。
全体主義を克服するためには、「「一」もまた変容し、同時に「全体」なるものが根底的に変容することを構想すること」p111と言っています。
ちょっと難しいですが、たぶん…
これ!と一つのことを決めて、すべてのこと、すべての人をその考え方に取り込むのが全体主義。
この場合、「これ!」に取り込まれないヒトやモノは排除されてしまいます。
でも、この場合の「これ!」だって大きく変化する可能性ってありますよね。
あるある。
あって当然、と認めることから克服できるっていうことなのでは?と思いました。
やはり、言葉にすると難しいです。
対話して深めたくなりました。
意見の相違が社会の接着剤
このタイトルの節がありました。
このタイトルをみただけで、わくわくします。
デビッド・ボウム『ダイアローグ』にも、対話は社会の接着剤だとあったのです。
「違いを認め、対話していくことが人々をくっつける」と。
(アマゾンより)
そして、このご本でも、意見が衝突しても、「対話を続けることができれば、わたしたちは対立を首尾よく収めることができる」p222と言っています。
そして、それは、「わたしたちは、それぞれの心の歴史から衝突地帯をダウンロードし、重なり合う部分をつくろうとしている」ことである、とも言っています。
人と人の意見が違うのは、当然。まったく同じという人は少ない(ほとんどない)ですよね。
対話によって、その違いや背景を知り、重なっている部分を見つけたり、あるいは、つくったりしていこう。
その行為は「普遍性であり、中立性のプラットフォームをつくることです」ということなのでは?
そのプロセスには、やはり、対話がとても重要な行為であるようです。
そして、「未来のための望ましい市民宗教は、強力な哲学的思考と科学的思考を融合させたものであるべきだと思います。」p237
この場合の「市民宗教」は人々がよってたつものではありますが、それは神さまが一人いるというものではなく、市民の生活の中心にある考え方(哲学)ようなもの、と考えてもよさそうです。
哲学と科学が結びついたものが、今後の市民社会・資本主義を大きく変えていくものになるだろうと言っています。
なんだか壮大なことのようですが、何をするにも「哲学」は必要なので、今まで近しい関係ではないような哲学と科学こそ結びつくべきということなのですね。
『ダイアローグ』の著者、デビッド・ボウムも物理学者でした。『祈りの法則』を書いたグレッグ・ブレーデンも物理学者でした。
物理学を極めていくと、対話の底に流れている哲学のようなものに行くつくのかなと思っていました。
(アマゾンより)
さまざまな本の中で「対話」がキーワードになっています。
ファシリテーターとしては、「対話」の意味を深く考えてみることが重要なのではないか?と思いました。
「対話」に対する哲学を学び取っていくことも必要かも。
そのうえで、ファシリテーターができることは、少しでも良い「対話」の場をつくっていけるようにすることだと改めて思いました。
「対話」の場づくりの大切さ、どんな対話が必要なのか?についても考えるきっかけをくれたご本でした。
2021-04-21 | ブログ
4月は新学期が始まりますね。昨年の今頃は、学校一斉休校でした。大学の授業もオンライン(オンデマンドも含みます)に切り替わる準備を各大学が始めていた頃でした。
その時に感じたことを備忘録としても書いておこうと思います。
(教科書はこれです)
授業でもグループワークをしたい!
どんな授業にしたのかというと…
基本は、グループワークしたい!です。(授業も「人間関係とコミュニケーション」なので)
①動画を作成し、YouTubeに流しておく
②授業時間にデバイスの前に集まってもらってオンラインでの授業
簡単なレクチャーとグループワーク
③ふりかえりシートは、後で提出
という流れで行っていました。
②のグループワークでは、
大学がGoogle meetを使っていましたので、4~5人程度のグループ表を作成してグループ分の部屋を設定しておきました。
複数回、グループワークを行うときは時間を提示して一旦、はじめの部屋に戻ってきてもらいます。
そして、レクチャーの後、再度グループワーク
その後、グループワークが終わったら自由に解散
としていました。
授業をして分かったのは…
15回の授業の中で、途中で2回だけリアルな対面授業ができました。
(その後、すぐにオンラインに戻ったのですが)
これがとっても影響が大きかったのです。
2度、リアルに対面の授業を行ったことで、グループワークの進め方についての要領を理解してくれたようでした。
次にオンラインの授業に戻っても、今度はサクサクと学生同士で進めてくれました。
きっと、初めてに近いグループワークだったので、手探りというか「これでいいのかな?」と不安を抱えて行っていたのだと思います。
リアルであれば、教室内を回って分からないところは直接指導できるのですが、オンラインだとなかなかそうはいかなかったこともあります。周りのやり方をみてやってみるということもできず…
ちょっと可哀そうでした。
ところがリアルでは、周りには同じグループワークをしている学生がたくさんいて、話し声も聞こえるので雰囲気も明るく、分からないことはさっと手を挙げて聞けるという、とても開放的な場にいることができたのです。
「これでいいんだね」「こうすればいいんだね」を確認することもできたので、今度は自信をもって進めることができたようです。
(グループに入って、聞いていても随分と活発なワークになっていました)
授業は2年生が対象でしたので、1年生のときに顔を合わせていたことも大きかったようです。
これからの時代に身に着けようと思うことは
一度でも、リアルでグループワークを経験していることの大切さを知りました。
そこに甘えずに、オンラインのみでも、グループワークを進めることができるようにレクチャーする力をつけたい!と思います。
オンラインの便利さも分かってきたので、授業に、そして、まちづくりの話し合いに、両方のいいところを活用できるようにしていきたい!とも思っています。
急激に、本格的に訪れたオンラインの時代。
使いこなせるように試行錯誤が続きます。