2023-06-13 | ブログ
FAJ(日本ファシリテーション協会)の第72号のニューズレターが届きました。
(これは、会員しか読めないのですが…)
今、FAJの中の広報委員会におり、ニューズレターの記事を書いています。
インタビューの記事は、論文とは異なる書き方なので、始めは戸惑いましたが、少しずつ慣れてきました。
今号では、NPOであるFAJは今年、20周年を迎えます。そして、FAJのミッションの一つが「ファシリテーションを普及すること」です。
どのくらい普及したのか?についての調査とともに、
FAJの会員ではないけれど、ファシリテーションの必要性を感じてくださっているお二人にインタビューしました。
その中のお一人。大学の先生へのインタビューで、腑に落ちたことがありました。
それは、ファシリテーションの基礎には「共感」があることでした。
その先生は、野生哺乳類の生態についてご研究されています。
インタビューの中で、印象に残ったのは、
・野生哺乳類の生態を研究するには、野生哺乳類の気持ちによる添うことが大切!
・野生哺乳類は、町を跨ぎ、市町村を跨ぎ、県も跨いで行動する。そのために野生動物の管理計画には、さまざまな調整が必要!
とのことでした。
野生動物と人間の関係性にもファシリテーションが求められることを知りました。
動物の気持ちに寄り添う…共感がないとできませんよね。
もちろん、ここでの共感は、「エンパシー」
そして、学生へのメッセージをお願いしたところ
「人間は社会的な動物で人と関わらないと生きていけない」
「対人間だけでなく、対動物にも想像することが基本です」
「自分を知って、自分だったらどうする?から出発して考えます」
「これには、ファシリテ-ションのスキルがに役立ちます」
といういくつかのフレーズです。
共感の方法と、共感することはファシリテーションの基礎なのだ!ということを生態学の先生からも教えていただきました。
そういえば…
ワークショップや会議などの話し合いの中で、
この方は、このグループは今、
どんなことを考えているんだろう?
何を感じているんだろう?
と想像しながら話し合いを進めてきます。
共感して、進め方を考えていくのです。
ファシリテーターが関わるプロセスには タスクプロセスとメインテナンスプロセスがあるという説があります。
タスクプロセスは、文字通り話し合いの目的に向かって進むプロセスです。
メインテナンスプロセスは、感情面のプロセスです。
表面上はうまくいっているようでも、いざという段階でひっくり返るということがあるとすると
そのときは、感情面がうまくいっていなかった…
ということ、なくはないですよね。
そこに、共感が必要なのかもしれません。
共感・エンパシーここを鍛えることができる方法を模索してみようと思いました。
2023-05-24 | ブログ
先日、監事をしている子育て支援の一般社団法人で「そろばん」を教えてみました。
その時の感想など…
この団体は、乳幼児の預かりと学童も手掛けています。
学童の事業で、いくつかコンテンツを提供しています。
その施設の近くには、複数の私設の学童施設ができ、それぞれ工夫を凝らしてお子さんを預かっています。
常に、何か新しいコンテンツがあると子どもたちも楽しんでくれるなぁと思っております。
そこで、今回は「そろばん」を思いつきました。
イマドキ、そろばん?
ですよね。
でも、そろばんを見ると触ってみたくなる。←経験者のサガですね(笑)
ところが、小学生に聞いてみると、意外にも、今でも授業で扱っているのだそうです。
(もう、授業で扱うなんてないだろう想像していたのですが)
ということは、そろばんの授業で、パチパチとそろばんを弾くことができる!(これ、気持ちいいですよね)ためには、
弾き方の基本が分かっているのが必要ですよね。授業で個別に教えてもらうというのは難しそうです。
基本が分かっている!というのはちょっとしたアドバンテージ!
夏の体育ではプールで泳ぐために、泳ぎ方をスイミングスクールで習っておく。というのと同じかもと思いました。
募集をしてみると
1年生から4年生までの6人が集まりました。
4年生は、「もう、授業でやった」とのこと。
初めてそろばんを触るこどもたちには、そろばんの各部位の名称、珠の弾き方を教えました。
自分では、身体(というよりも、指)が覚えていることを言葉にしながら伝えるのって、本当に驚くことが多いです。
お。そんな持ち方があったのか
なるほど、そんな考えもあるのね
など、子どもたちの発想を楽しむことができ、気づきも多い時間です。
そして、後は、習うより慣れろ!で問題をパチパチと自分のペースで進めていきました。
お約束の時間は60分。
経験者はサクサク、黙々と進めていました。
初めての子は、経験者の4年生にも教えてもらったりもして、進めました。
(学年が違う子どもが教えるっていいですよね。教える方も教えらもらう方も!)
もちろん「焦らなくてもいいよ~」「まずは、指遣いを覚えようね~」と自分のペース!を心がけました。
みんな60分、集中してパチパチしてくれました。
感想は?
終わった時には、
「疲れた~」←200問もやってました。
「楽しかった」1年生が4年生に教えてもらっていました。年齢の近いちょっとセンパイにおしえてもらったからかも。
「まだ、よく分からない」 1年生で、じっくりと一人で取り組んでいました。
などなど、感想はさまざまでしたが、興味はもってもらえたようです。
こちらの感想は…
・このデジタルな時代なのに、意外に参加者が多かったなぁ。
・自分のペースでやっていくのは、公文に似てるかも?
・もしかして、指を動かすというのは、脳の刺激になる?
・そろばんをしていると、数字を5+〇で考えるようになるので、計算をイメージしやすくなる(これが暗算のコツ)
・楽しかったであれば、よかった。もっと楽しくそろばんに親しんでくれるようにしたい!
でした。
デジタルな時代でも、アナログは必要だな、と実感したのでした。
もちろん、もっとたかったら専門の「そろばん教室」へ行ってくれるとうれしいです。
(級がもらえますもんね。なんと、ご近所に教室があるそうなのです)
追伸:イマドキは、そろばんの問題もネット上にあるのですね。
家で習うそろばん。親の教え方。の情報もありました。
さすがだ!とデジタルの力に感謝しました。
そして、メルカリとブックオフでそろばんを調達しまして、我が家には、5台もあります(笑)
2023-05-14 | ブログ
こども基本法が施行されました。
あまり聞こえてきませんが、ゴールデンウィーク中の中日新聞は「こども」の特集でした。
こども基本法、こどもの権利条約、こどもの参加…
いろいろな視点からの特集でした。
では、なぜ「子どもの参加」が必要なのでしょうか?
条約に記載されているから?
こども基本法に定められたから?
・・・
(https://kodomokihonhou.jp/about/ より)
子どもの参加の理由
なぜ?という問いについての答えは、なかなか明記されていません。
社会の一員、基本的人権、次世代の担い手、社会の宝。
などなど、それなりの理由になっていました。
もちろん!自分なりに考え、一応の結論は出ていました。
ところが、
5月14日のTVの番組で次世代を担うことについて具体的にコメントしているコメンテーターがいました。
「地球温暖化などの環境問題、財政赤字などのたいへんな課題を引き継いでいくのは、今の、そしてこれからの若者なんだ」という趣旨のものでした。
このコメントを聞いて、こどもの参加の理由はこれだ!と思いました。
今まで、他人と「子どもの参加の理由」について議論したことがなかった(💦)とふりかえりつつ…
(きっと、みんな興味ないよね。と勝手に割り切ってしまっていたなぁと反省もして)
自分たちが背負うことになる将来の日本、世界、そして、地球について、
自分たちも意見を表明し、参加し、その意見を反映させて初めて、責任を背負うことができる!
ということなんですね!!
(アマゾンより)
そうなってくると、グレタ・トゥーンベリさんが言う「変化をもたらすために未熟すぎることはない」。
自分たち(子ども、若者)の決定には自分たちで責任をとる!取らなくてはならない。という覚悟なのかもしれません。
好むと好まざるに関わらず、今の社会は次世代が担っていくしかないのですもんね。
大人は、どんな社会を次世代に引き継いでいくかを考え、行動しなくては!となってきます。
私が企画するワークショップでも、第1回は、「どんな社会を子どもや孫に引き継いでいきたいですか?」を話し合います。
そこには、大人の責任が問われています。
(もちろん、明るく希望が持てるような社会を残していきたい!と合意されます)
大人一人ひとりの想いは同じ方向なのに、集団になると異なってしまうのでしょうか?
大人個々人の想いとは別に、子どもが将来に希望がもてない社会になってしまっているのですね。
(内閣府の調査https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h26gaiyou/tokushu.html より)
若者も立ち上がり始めた!
ここ最近聞こえてくるニュースがあります。
「若者の被選挙年齢の引き下げについて」です。
日本での選挙権は18歳に引き下げられました。
が、被選挙権は従来のまま。
衆議院議員、県会議員、市町村長、市町村議会議員は25歳
参議院、は30歳
です。
そこへ、被選挙年齢に満たない若者が立候補を表明し届け出をしたところ「不受理」となったことに対して、10人で国を相手に集団訴訟を起こそうという動きがでています。(https://www.nhk.or.jp/shutoken/chiba/article/012/06/より)
若者の声を反映するには、やっぱり若者自身で伝えることが一番確実ですもんね。
以前、調べたところでは、スウェーデンでは18歳の国会議員、デンマークでは18歳の市会議員がいたりしました。(2019年にはフィンランドの首相サンナ・マリーンさんは世界で最年少の34歳で就任しました。)
若者の声が通りやすく、同世代の共感も得られそうです。そして、投票行動にも影響が出そうですよね。
杉並区では、若い女性の区長が市民の力で当選し、区長自ら「投票率を上げる!」と活動したことから、投票率が4.0ポイントも上がり、女性の区議会議員が半数以上になったことが注目されています。共感があれば、政治に関心を持ち、投票行動に出る。ということが明らかになりました。(https://www.asahi.com/articles/ASR5144GHR51OXIE00L.html より)
今までパワーを抑えられてきた女性・若者が活躍すると…という成功事例なのでは?と思いました。(もちろん、本番はこれから!ですが、今後がとても楽しみです)
フィンランドやスウェーデン、イギリス…これらは、私が興味の赴くままに乱読した書籍検索ではありますが、(なので、もっとたくさんの国で行われていると思います)いずれも子どもの時から「参加するとは」「自分たちの意見で社会を変える」という教育をしています。
選挙年齢の引き下げとともに、被選挙年齢の引き下げと、自分の行動で社会が変わる!という体験も必要なのだと思いました。
子どもの参加の理由
こうなってくると、「子どもの参加」は、社会のため、将来のため。というよりも、今を生きる人たちのために必要なことだと思えるようになってきました。
子どもの純粋な気もち。パワーが社会を変える核になっていくような気がします。
そして、社会が変わっていくことで、そこに住んでいる大人も住みやすい社会になっていくのでは?と。
子どもが参加するいうことは、結局、大人のためでもあるようです。
話は飛びますが、SDGs(持続可能な社会)の実現も、子どもの参加がカギなのかもしれませんね。
2023-04-24 | ブログ
大学の授業が始まって数週間が経ちました。
教科書は、もちろん『多様な市民とつくる合意』です。
(アマゾンより)
今、傾聴のパートをしています。
今年も、いろいろと新しい試みを入れています。その中の一つ…
先日、積読→読書へ昇格(?)した『他者の靴をはく』にある認知的共感が、傾聴には必要なのでは?と思いまして…
授業の中に入れてみました。
レクチャーしていると、自分に言い聞かせてるようなもので、自分の学びになります。
『他者の靴をはく』では、共感について掘り下げて書かれています。
まず!エンパシーは能力なので、訓練すれば獲得できること
そして
共感には、大きく2つの種類があり
・認知的共感 他者の気持ち・感情を正確に想像すること
・感情的共感 他者の感情に自分もなること
ここから発展したソマティック・エンパシー 他者の痛みを想像すると自分もphysicalに感じる
コンパッショネイト・エンパシー 苦しんでいる人や動物を見ると、助けたい!と思う願望
となっていました。
ここからは、私見なのですが…
認知的共感は、能力・スキルとしては比較的獲得しやすいのでは?と思いました。
他者が今、どんな気持ちなのか?を聞いたり、小説などを読んだりすると培われるのでは?と。
また、ロールプレイによくある、座る場所を変えて話をしてみる。
それを積み上げていけば、何通りも感情が想像できるようになるのでは?
まずは、知識として積み上げていくことが大切。
そして、今の状況は、知識の中のどれに近いのか?と判断し、そのとき自分はどう感じるのか?他者はどう感じるケースがあったのか?をロールプレイを思い出しながら考えていくのが学びになりやすいのではと思いました。
そして、以前、ご紹介しました『21世紀の教育』(ピーター・センゲ、ダニエル・ゴールマン)ダイアモンド社
(アマゾンより)
こちらにも、共感が大きく取り扱われています。
21世紀のリーダーに求められるのは、social(社会的能力)とemotional(気持ちに関わる能力)、leaning(学び)と言われています。
社会的能力と気持ちに関わる能力、これらを学ぶこと、とのことです。
この、気持ちに関わる能力は、まず、自分の気持ちにフォーカスすること。次に、他者にフォーカスすることで養われる。
気持ちを理解することと並行してシステム思考すること。そうすると、よりよい意思決定ができる!らしいのです。
まさに、自分の気持ちにフォーカスする、他人の気持ちにフォーカスするというのは、認知的共感ではないか!と思ったのです。
「共感」について、いろいろなつながりが見えてきました。
「共感する」能力を学ぶ、養うことが特に、これからの世代の人たちに求められるのだ!
もちろん、私たち大人にも!
『21世紀の教育』では、これからの未来を生きるために必要なスキルとして
『他者の靴をはく』では、民主主義の実現のために必要な能力として
紹介されていました。
今までも必要であるとは言われてきましたが、特にこれからは、人間として自分を大切にする、同じように他者を大切にすることが求められているのだと思いました。(これ、子どもの権利条例の関係で、子どもたちと対話している内容でした!)
少しでも、みなさんとご一緒に、認知的共感やその獲得方法を学んでいけたら…と思いました。
2023-04-11 | ブログ
先日、子どもたちと「本×なぞとき×物語」のイベントの際に、
とりあえずの見本があったほうが、分かりやすいよね。ということで、
作ってみました。
子どもたちが辿る「自分のシート→本を検索→気に入ったWordをつないで→紙芝居作成
をなぞりました。
突拍子もない組み合わせができ、子どもたちにはウケた!みたいです。
ちょっと、ほっとしました。
では、ご紹介します。
1「りんご リンゴ 林檎」
2 りんごはみんなを幸せに、平和にします。
食べると、シャキシャキ、シャキシャキ…おいしい💛
りんごパフェやタピオカに入った甘いりんご、思い浮かべてね。
りんごだってみんなが幸せだと、うれしいんだよ。
3 ある日、りんごのアーニャちゃんは、
木につかまりながら、ウトウト…
すると、風が吹いてきて、プチっと木から落ちてしまいました。
ゴロゴロ ゴロゴロ…
どこまで行くんでしょう?
4 助けて~
5 たどり着いたのは、猫のサンクチュアリ。
猫がたくさん、りんごを珍しがって寄ってきました。
アーニャはドキドキです。
「助けて~」
ゴロゴロと手で転がして遊んだり、クンクンにおいをかいだり、
食べようとしてみたり…
あれ?猫ってりんご、食べたっけ?
猫の誰かがポーンとりんごを蹴りました。
6 助けて~
7 ポーンと蹴られてゴロゴロ…
たどり着いたのは、ゆうれいのすし屋。
ここの名物は。火の玉であぶったトロ。
とっても、おいしい!?
アーニャは焦った💦
ここで、火の玉であぶったりんごずしになっちゃうの?
火の玉って熱いのかな?
8 火の玉りんごずしが、とっても好評になり、
ゆうれいは、すし屋をやめて、焼きりんご専門のお店にしました。
お寿司もおいしかったけど、火の玉焼きりんごはまた、格別!
りんごのアーニャも、おいしい火の玉焼きりんごプロデューサーとして大活躍しました。
おしまい。
いかがでしたか?
いろいろな本から拾ったコンテンツをあつめて、つなぎ合わせました。
ゆうれいのすし屋、火の玉であぶったトロ
は、ぜひぜひ!入れよう!と思ったコンテンツでした。
普段では、想いもよらない言葉が飛び出てきて、作るのもとっても楽しく、ノリノリでできました。
この中に2枚同じものがあります。「た~す~け~て~」というページです。
これは、新5年生の子が、「これを入れた方がいいよ」と急遽、作ってくれました。
ありがたい。
子どもだけでなく、大人も楽しめる、そして協働できる「本×なぞとき×物語」でした。
想像力、柔軟な発想、などは、こんなところから出てくるのだなぁと思いました。