2020-04-12 | ブログ
タイトルに惹かれて購入し、積んであった『不道徳お母さん講座』堀越英美、河出書房新社
サブタイトルは 私たちはなぜ母性と自己犠牲に感動するのか でした。
サブタイトルまで読めば、なんとなく深い内容なのか?と想像はできますが、
アマゾンさんのオススメで、メインタイトルを見て、面白そうなのでかる~く読めるでしょうとクリックしてしまいました。
(https://www.amazon.co.jp/不道徳お母さん講座-私たちはなぜ母性と自己犠牲に感動するのか-堀越英美/dp/4309027156/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&crid=H3U74QC4WFUR&dchild=1&keywords=不道徳お母さん講座&qid=1586698630&sprefix=不道徳お母さん%2Caps%2C282&sr=8-1)
内容は
明治維新以降、母親、女性に求められる像の変遷が文学とその作者の背景を根拠として詳細にレポートされています。
まず、第1章は国語教育に埋め込まれた道徳のレポート。
みんなが読んでいた「ごんぎつね」
教科書には必ず掲載されていましたよね。
どうやら、新美南吉の原作とは少々異なっているのだそうで。
(ごんはもっとドライな気持ちだったようです)
テストでは、このときのごんの気持ちは?と心情を察して書きます。
文学での解釈は受け取り手の自由なはずなのに、正解があります。
著者はここに道徳が埋め込まれていると分析しています。
そして、第2章では、その後に展開される「良書」についての検討。
明治のころ、小説は有害メディアと批判されていたこと、
当時は少年と言えば、男の子だけでなく女の子も含まれており、内容は男女共通。
少年雑誌には少女の投稿ももちろんOKという開かれた雰囲気があったようです。
ある意味、男女平等ですね。
ところが、時代が進んでいくと
男女それぞれの役割が割り当てられ、戦争に都合のよい母親像が誘導されていったのです。
(もちろん、裏付けとなるレポートあります)
社会の重圧(今でいう同調圧力?)に抗った文学者たちも紹介されています。
その中でも大きな紙面を割いたのが恋と子育て、文筆活動に生涯をささげた伊藤野枝。
逆に愛国をしたためた北原白秋も何度も登場しています。
(小学校のときに口ずさんだ童謡の本当の意味を知って、おどろきました)
(北原白秋の「からたちの花」こんな花ですね。)
最後に、時代は現代になり、第3章では
1/2の成人式、組体操のルーツや作文の意図などにも言及しています。
現代は、過去の負の遺産を正のように装って引き継がれていることが書かれています。
クリティカルシンキングが必要な理由
目の前にあり、常識でしょうと思うと無批判に受け入れてしまいます。
ところが、受け入れている事には、何かによる大きな意図が埋め込まれていることがあるのだと思いました。
思考方法に「クリティカルシンキング」というのがあります。
健全に批判的に(客観的に)物事の本質を探る
というような意味です。
クリティカルシンキングの研修もあるくらいにビジネスの分野でよく使われているようです。
ふと感じた違和感を「なぜ、このように感じるのだろう?」「この違和感の原因は何だろう?」と
立ち止まって考えてみることなのではないかと思います。
自分と対話してみたり、ノウハウ本ではない本を読んでみたりすることで
違和感の霧が少しずつ晴れていきます。
そして、アハ体験も待っていそうです。
(「あっ!」という不思議なひらめきを感じる事https://dic.nicovideo.jp/a/アハ体験)
家にいることが増えているこの時期なので
じっくりといろいろな角度から考えてみる良い機会になりそうです。
さて、どうしようかな?とお思いになっていらしたら、思索の楽しみを味わってみてはいかがでしょう?