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『ポスト資本主義』を読みました

2020-04-23 | ブログ

 

新型コロナウィルスが流行しております。

世界中でロックアウトを決行する国が増えて、世界が閉じていくようです。

そのような状況の中、ポスト・コロナ、ウィズ・コロナという言葉を耳にするようになってきました。

それはどんな社会になるのか?何か書籍はあるのか?とこちらの本を読んでみました。

『ポスト資本主義~科学・人間・社会の未来~』広井良則、岩波新書、2015年

[広井 良典]のポスト資本主義 科学・人間・社会の未来 (岩波新書)

(https://www.amazon.co.jp/ポスト資本主義-科学・人間・社会の未来-岩波新書-広井-良典-ebook/dp/B014R3S72I/ref=sr_1_3?__mk_ja_JP=カタカナ&dchild=1&keywords=ポスト資本主義&qid=1587650602&sr=8-3)

 

内容は

5年前に書かれたものですが、今日のことを予見したような内容でした。

定常化する経済(成長が止まる、または低い)の中にあって次のステップにはどのようなことが待っているのか?どのような社会になるのか?について書かれています。

著者は科学哲学も修めたとのことで、哲学を背景とした分析と公共政策学をもってポスト資本主義を考えていくという構成になっています。

 

大まかな流れは、以下のようになっています。

・資本主義がどのように進化してきたのか

・資本主義とパラレルに進化してきた近代科学

・現代の資本主義の向こうにある、持続可能な社会とは

 

資本主義の歴史の中で、特に印象的だったのがそもそも資本主義とは何か?です。

・資本主義の起源は、1215年第4回ラテラノ公会議でローマ教会が金利(利子)をつけることを認めたことをもって実質的な資本主義の成立としている(併せて所有権が認められ、合資会社、銀行ができた)p23

・資本主義経済=市場経済+拡大・成長(資本主義経済の前提として、人間が自然を克服、コントロール(消費)して発展してきた。

・その自然の資源としての限界が訪れるときに拡大・成長が止まり、定常化する。

・その後、イノベーションが起こり、次のステップへ。

 

【寄り道ですが】

貨幣・利子について考えるときに、いつも頭に浮かぶのが、シルビオ・ゲゼル(https://ja.wikipedia.org/wiki/シルビオ・ゲゼル)という経済学者の考えた貨幣についての思想です。(ケインズもこの思想を評価しています)

Silvio Gesell (1895).jpg

(https://ja.wikipedia.org/wiki/シルビオ・ゲゼル)

『自然的経済秩序』という論文の中で、貨幣について書いています。

自然界の中で時が経つとすべての物が劣化していくのに、貨幣だけが利子がついて増えていく。なので、人間は自然に反した貨幣が欲しくなる。

逆に「時が経つと劣化(減価)する貨幣であれば、減価する前に手放してできるだけ高値で使おうとする」

という仮説を立てて、ある村で実験し、その村の経済は活性化した。

というものです。

 

この考え方は、ミヒャエル・エンデ『モモ』にも影響を与えています。

[ミヒャエル・エンデ, 大島 かおり]のモモ (岩波少年文庫)

(https://www.amazon.co.jp/モモ-岩波少年文庫-ミヒャエル・エンデ-ebook/dp/B073PPWX7L/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&dchild=1&keywords=モモ&qid=1587650787&sr=8-1)

また、日銀の金融研究所をはじめとした研究所などで研究を重ねてきたリチャード・A・ヴェルナー『円の支配者 誰が日本経済を崩壊させたのか』草思社、2001年にも「お金」について近い考え方が書かれています。(こちらは、お金には陰と陽があり、円、ドルなどの基軸通貨が陽、地域通貨が陰として、陰と陽があることでバランスがとれるのだと)

円の支配者 - 誰が日本経済を崩壊させたのか

(https://www.amazon.co.jp/円の支配者-誰が日本経済を崩壊させたのか-リチャード-ヴェルナー/dp/4794210574/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&dchild=1&keywords=円の支配者&qid=1587650948&sr=8-1)

ポスト資本主義の社会では

話を戻して…

下記の図(p223)をお借りすると、

p223、ポスト資本主義

個人は市場経済に対応しており、短期的な時間軸の中で成り立っています。ここでは、個人は分断され孤立しています。

しかし、個人は一人では生きていけず、個人が意識しているか否かではなく、人とのつながり(共同体、コミュニティ)を土台として成り立っています。

そして、共同体は人だけでは生きていくことはできず(食べるという人間の基本的な欲求も満たされません)、自然を土台にして成り立っています。

現代資本主義がこのことを忘れてしまっているのではないかと言っています。

 

いまこそ、個人が立っていた場所、共同体(コミュニティ)と自然(環境)と共生することになるだろう、とおっしゃっています。

 

他の方も…

『分かち合いの経済学』神野直彦、岩波新書、2010年

財政学の視点から工業資本主義、金融資本主義が終わり、知識資本になる。個人は人間の欲求である「存在欲求」を犠牲にして「所有欲求」に変えてきた。が、それは代替できるものではなかった。知識資本主義では、「所有欲求」よりも「存在欲求」が満たされる。そのためには存在を認める共同体が必要になる。

分かち合いをしていくこと=個人ではなく共同体(コミュニティ)、自然を土台にするということが必須になる。

ここでは、自然は人間がコンロトールする対象ではなく、共生する対象だとおしゃっています。

(https://www.amazon.co.jp/「分かち合い」の経済学-岩波新書-神野-直彦/dp/4004312396/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&dchild=1&keywords=分かち合いの経済学&qid=1587651031&sr=8-1)

 

『未来への大分岐 資本主義の終わりか、人間の終焉か?』マルクス・ガブリエル他、集英社新書、2019年

この中でポール・メイソンと斎藤幸平の対談の中に、現在でもポスト資本主義の萌芽がみられると言っています。ウィキペディアのように人々の協働によって成立していることです。この編集には無償で多数の人が携わっています。(資本主義の中ではありえない。同じことを企業が行っても成立しない。)

これは、人々が強制的・義務的な仕事から解放され、無償の機械を使って再生可能エネルギーと天然資源の高いリサイクル率の原料を使って必要なものを生産する。情報技術の発展に支えられて、持続可能な協働経済の完成形がポストキャピタリズムである、と言っています。p255

(https://www.amazon.co.jp/資本主義の終わりか、人間の終焉か-未来への大分岐-集英社新書-マルクス・ガブリエル/dp/408721088X/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&crid=HQS9HYJM8UVW&dchild=1&keywords=未来への大分岐&qid=1587651096&sprefix=未来への%2Caps%2C329&sr=8-1)

 

3冊だけではありましたが、3者を読んで言えることは、

・工業資本、金融資本の社会から、知識を資本とする社会に移行していく

・そこでは、共同体(コミュニティ)と自然(環境)が人間の生活の土台になっている

ということでした。

コミュニティは従来の町内会のようなイメージではなく、新たな共同体をつくっていく、共同体ができていくということなのだと考えられます。

フリーイラスト 集会で話し合いをする人々 | フリーイラスト, イラスト ...

 

人と人が対話していくことで共同体の結びつきができていくと思いました。

そして、その対話の場にはファシリテーションの技術が活用されているだろうと。

ということを考えていくと、ポスト資本主義の社会にもファシリテーションは必要だと心を強くしました。

これで、新型コロナによる影響も、新しい社会の到来を促進すると前向きにとらえることができました。

 

これからも、よろしくお願いします。


 
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