2014-04-14 | ブログ
購買心理を考えるワークショップ
営業職の新入社員研修を初めてさせていただきました。このような機会を与えてくださった方に感謝しています。その研修での気付きをシェアします。
営業は日興證券と朝日生命保険で経験していましたが、営業に特化した研修は初めてのことでしたので、どうしたものかと悩みました。が、やはり、私の得意なワークショップで営業に大切なことに気づいてもらうのが一番!とワークショッで行うことにしました。
購買心理について話し合い、その後、寸劇のようなロールプレイングをします。そして他の参加者からのフィードバックや感想を受け取るというプロセスにしました。
まずは、自分たちの生活の中での購買シーンを思い浮かべ、一般化しました。そこには、営業のテキストにあるようなエッセンスが詰まっていました。
そして、ロールプレイングでは、寸劇をつくり、実際に演じたり客観的に見たりすることで、寸劇の中にある実体験との乖離や不足しているところ、アイディアなどに気がついたり、確信したりできました。
教えられるのはなく、自分たちでつかみ取ったのです。きっと詳細は忘れてしまっても、強く印象に残ったことはずっと忘れずに心に残っていることと思います。
教育は引き出すことを実感
教育は詰め込むことではなく、education=引き出すこと とよく言われています。
クルト・レヴィンという社会心理学者が1945年に行った実験結果があります。クルト・レヴィンは、グループダイナミクスを提唱し、「場の理論」を発表した、ファシリテーターにとってはルーツの一人です。
このレヴィンが、産後のママたちに赤ちゃんにはビタミンが必要で、オレンジジュースを飲ませるとよいことを①講義形式で教える②自ら飲ませる事を決定するワークショップ形式でおしえることとしました。そして2つのグループを比較しました。講義もワークショップもともにかける時間は25分です。
その結果は?
2週間後にオレンジジュースを飲ませているのは①35%、②85%でした。4週間後には、①55%、②100%でした。自分たちで決定したグループの方がその後の実行率も高く、参加した全員が赤ちゃんの健やかな成長のためにオレンジジュースを飲ませていたのです。
このように自己決定することがその後の行動にも大きく影響します。ワークショップ参加者の潜在的な能力を引き出し、その能力によって自己決定するのです。すると、忘れることなく、自分の決定には責任をもって対応できるのです。
講義形式で教えてもらうといのは、とっても効率が良いように見えます。今回のように半日かけてつかむことをさらっと数分で手に入れる事ができるのですから。しかし、どのくらい研修の内容が心に残り、実行されるのでしょうか?研修する側の気になるところですよね。
この研修では、自分たちの生活の中から購買心理を導き出し、どのようにすれば「購入しよう」という気持ちになるのかを寸劇を考える事で練り上げました。その場で即興で行うロールプレイングも気付きは多いのですが、もう少し時間をかけてじっくりと作戦を立てて実演してみる、というのが初めて営業をする方には向いているのかもしれません。
そして、実際に参加した方々は見事に自分たちの力でつかみ取ったのです!購買心理の真理を導き出し、それを実行に移し、営業の極意に近づいていったのです。
さらに、「実践ではこんなにすんなりとはいかないだろう」「商品を勉強しておかなくては!」「お客様にメリットだけでなく、デメリットもきちんと伝える事が信用されることになる」などの鋭いふりかえりも出てきました。
さらっと言われただけでは、ここまでのふりかえりは出てこないと思います。自分たちで頭を使って導き出したものだからこそ、深い洞察や、実行の期待度が高まります。
参加者のみなさんの持っている能力が引き出せたのではないかと自負しています。
まとめ
研修はワークショップ形式で行うことが一般的になってきました。しかし、ただワークショップで話し合いをすればよいというのもではないことは、みなさん、お気づきのことと思います。
話し合いを実りのあるものにするためには、ファシリテーションのスキルが欠かせません。
参加者が納得し、次のステップに自分ごととして自ら移すためには、参加者の立場に立っったプロセスデザインが必要となってきます。どのように進めたら目的が達成できるのか、参加者が話しやすいか、無理なく決定できるか、話しやすい場ができるか…などなどファシリテーションの技術が活躍します。(「そんなこと既にやってるよ」という方からすると、ご自分のやっていることのあと付けでファシリテーション・スキルと命名されているのかもしれません)
この研修でも、参加者のみなさんは自ら考えて、より実践的な真理や実践のコツをつかみ取りました。詳細を忘れてしまうことはあるでしょう。しかし、このとき自分でつかんだ事柄は忘れる事はありません。表層的な記憶ではなく、潜在的な記憶の方へ移行しますので、必ず何かのきっかけで、ふと蘇ってきます。そして、その時の自分を思い出し、自分を信頼してあげることもできます。
ファシリテーターの側からすれば、ファシリテーション・スキルの中でも、プロセスデザイン(目的を達成するための話し合いの道筋や時間配分などを考える)が重要なポイントだと改めて考える事ができました。そして、何のためにこれをするのか、達成したい目的は何なのかについて、ワークショップの前に明確にすることが非常に大切であることも再認識しました。
今回参加した方々のご活躍をお祈りしています。
そして、ソーシャル・アクティにとっても、お役に立てる機会や分野が増えたことを喜んでいます。と同時に、精進しなくては!と改めて誓いました。
お問い合わせは、social-acty @m4.catvmics.ne.jp まで