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合意形成と哲学の関係

2014-06-23 | ブログ

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合意形成ってファシリテーターのスキルの中では一番難しいのではないかと思われます。

その合意形成を哲学的なアプローチで解決する!という先生がいらっしゃいました!

日経ビジネスオンラインで池上彰さんが対談した「東京工業大学 桑子敏雄先生」です。

哲学と合意形成の関係に納得!

 

社会的合意形成とは?

合意形成は白黒をつける裁判ではなく、お互いが折れる妥協ではなくクリエイティブなものだ!」

これ、とても共感します。対立する意見はたぶんいつまで経っても並行線です。どちらかが妥協する、歩み寄ることができるセンまで交わりません。

ファシリテーションの教科書的なモノ、合意形成を創る関係のモノをよむと本当の合意形成は創造的なものだ!と書かれています。

そこで、合意をするのなら、どこまでチャンクをあげていくとみんなの賛成となるのだろう?と思っていました。

肝心なところにはどうやら、哲学の考え方が必要だったようです。

合意形成の哲学的アプローチ、簡単にまとめてみました。

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最初に考える事は 「話し合いの場 と プロセスのデザイン」

どんな場所で、どんな人が集まるのか、その場合の対立の構造は?を考えることだとおしゃっています。

  ①100人くらいのステークホルダーのリストをつくり、意見、意見の理由、理由の来歴で分類する

  ②合意のプロセスをデザインする

   そのときのスタンスは「ゴールを決めないこと」「一緒に考えながら最善の方向を目指しましょう!」

   場は、完全にオープンであること。100人単位で集まること(自由、公正、正義を実現する場)

   そして、その場には女性や子どもがいるとより合意形成しやすくなるのだとか。

 

履歴・来歴を見る(ここに哲学的な思想があります)

①人としての履歴をみること、②空間の履歴をみることが重要だとおっしゃっています。

①人としての履歴

参加する一人ひとりのオピニオンとインタレストを見ること。

オピニオン:意見を把握する

そして、意見の理由を掘り下げていくと 

インタレストどういうことに関心を持っているのか。どういうことを心配しているのかを掘り下げる

②空間の履歴

その空間に潜んでいる時間的な積み重ねをベースにして地域あるいは国土の構造を理解しようとするもの

例えば、この土地に流れる川は大雨が降ると大氾濫する。まるでヤマトタケルが暴れるよう。怒りを修めてもらうために神社をつくって魂を鎮め、穏やかな土地になるよう願うというような。逆に○○神社がある土地は川の氾濫に悩まされて来たことがわかります。

すると、人々の意見の背景にあるインタレストが見えてくる・・・

 

議論は建前で。

建前で話し合って、本当に合意できるのでしょうか?

合意は本音で話していても納得は程遠く、合意なんてきるのか?と疑いたくなります。

ところが!

建前で話をし続けていると、自分にも言い聞かせていることになり、いつの間にかその建前が本音になっていくのだとか。

確かに、言葉にするということは、自分で自分をコントロールすることにつながっています。自己啓発の講座や書籍でも、有言実行が成功への早道だと言われています。言葉にして発することが、自分を暗示にかけ、潜在意識に成功イメージを語りかけていることになるとされています。これが、合意形成にも活用できるのですね!応用範囲は広いのですね。

そして、その場には女性や子どもがいるとより効果的!!

男性は、女性や子どもの前でなかなか自分の小さなところ(カッコ悪いとこ)見せたくないという気持ちが働くそうです。女性や子どもの前ではカッコイイ男性でいたいのですね。それをうまく利用して・・・

その効果だけではなく、多様な人々がその場にいて話し合う方が、合意までの道は短い!

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ファシリテーターに求められること

必要とされるのは

社会的合意形成の場に求められるのは、ファシリテーターであり、かつ意見をまとめたり、クリエイティブな方向へ引っ張っていくリーダーの存在。桑子先生はその役を引き受けていらっしゃるのですね。

妥協点やどちらかに折れていただくというのは、ネゴシエーターなのかもしれません。

ファシリテーターとしては

第3の選択肢を探し合意形成を進めることと、合意形成というプロジェクトをマネジメントすることが必要だとおっしゃっています。

そして、ファシリテーターに向いているのは、哲学を持ち、愛されキャラであること、人と付き合うのが嫌ではないこと、やっていて楽しいと思うこと、経験も大切、そんな人だそうです。(あれ?私はいくつ該当している?)

最後に、「合意形成するのは参加しているみんなである」みんなで合意形成する悦びをステークホルダーのみなさんに共有する、このスタンスに常に立っていることが必要なのでした。

 

まとめ

 従来、高度成長期であれば、どちらかが折れるように話をもっていったり(この場合、方向性は決まっていたのですが)、妥協点を見つけたりするネゴシエーターが必要とされてきたのでは?

ところが、社会が成熟し、工業資本・金融資本社会から知識資本の社会へと転換しつつある(?既に転換点は過ぎている?)、そして、人々の価値観が多様になってきた今では、新しい価値や創造的な合意というものを参加者とつくっていく、ファシリテーターが求められているのではないか?と思いました。

価値観を創っていくためには、しっかりとした哲学が求められているのだと。この哲学は、従来の価値観を押し付けるようなものではなく、「合意は、さまざまな利害関係者が集まって作っていくのだ!」というものなのだなぁと思いました。

こんな素敵な方が日本にいらしたのですね!一歩でも近づいていきたいと思うのでした。

 

 

 

 

 


 
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