2016-02-22 | ブログ
シンポジウムというと、行政やNPO法人、大学などが主催するものとというイメージがありました。
ところが、地域の自治組織でもシンポジウムを主催(企画から運営までも)することがあるのです。地域の底力、市民力の高さを感じました。
今回、新宿区若松地区協議会、まちづくり分科会が主催するシンポジウムにファシリテーターとして呼んでいただく機会がありました。
タイトルは「東北復興支援から学ぶ 若松地区のまちづくり」でした。
東日本大震災の2年目以降、3年(3回)にわたって新宿区の若松地区では「東北支援」ということで、地域の皆さんをお誘いしてバスで復興のお手伝いに行っていたのです。その経験を自分たちの地域で活かしていくために、報告会も兼ねて開催したのです。
そのリーダーが土屋慶子さんでした。(土屋さんとは、新宿区自治基本条例区民検討会議で知り合いました。そのとき土屋さんは副会長、私はファシリテーターでした。)
今回のシンポジウムの基調講演、パネリストも土屋さんがお呼びした方々です。
シンポジウムの流れ
目的:震災後、避難所、仮設住宅とコミュニティが(否応なしで)再編されてしまう中で、どのように私たちの暮らしをとりもどしていくかについて自分事として考える機会にする。
基調講演1:岩渕正之氏
大船渡市で内科医院の院長。震災直後から3日間の先生の動きと患者さんの様子、ご自分の行動への検証を語ってくださいました。
一枚の写真への想い、患者さんへの傾聴の話なども混ぜてくださり、感情と理性を刺激するお話でした。
基調講演2:阿部かおり氏
さわやか福祉財団インストラクター。大船渡市へは震災の年の9月から3か月は住み込み、その後は九州から通い(?)で支援をしていらっしゃいます。
当初は、現地で受け入れられてもらえなかった。その原因や、受け入れてもらった経緯と、その中で強化された(?)阿部さんの信念もお聞かせいただきました。このゆるぎない信念があったからこそ、現地の方も信用してくださったのだなぁと思いました。
「ボランティアは他人のためじゃない。自分のためなんだ。」ということでした。「ありがとうは、私たちに活動の場を与えてくれたことに対する感謝なのだ」と。
パネルディスカッション:岩渕先生、阿部さん、支援ツアーに参加した女性2人と土屋さん+会場のみなさん
震災後、半年、1年、2年経って、自分たちのまち、日常の暮らしを取り戻していくのに必要なことは何か?について語り合いました。
もちろん、会場の方にも参加していただきたかったので、「参加する+時間がない」ことから、会場にいらした方々に感想や質問を用紙に記入していただき、それに答えたり、それを基に話し合ったりしたのです。
とても、暖かい、お互いの存在を確かめ、一つになっていくような雰囲気でした。
まとめ:コミュニティのつながりをつくっていく
ありきたりになってしまうのかもしれませんが、コミュニティの中のつながりを作っていく、結びなおしていくことが被災後、一日も早く日常の生活に戻っていくことにつながるということが浮かび上がりました。
顔を知っている、あいさつする程度のゆるやかなつながりでよいようです。そのためには、時間や場所を共有すること、おしゃべりしながら作業を一緒にすることなどでつくられていくのでは?ということになりました。
今回のシンポジウムの参加者、登壇者、企画者が成功だった、良かったと感じた要因は、基調講演やパネルディスカッションに登壇した方々のお人柄が大きいと思います。そして、そのシンポジウムに参加する地域の方々がいらっしゃること、これも大きいと思いました。みなさんの暖かさにその場が支えられていたような気がしました。
ファシリテーターとして
登壇してくださった方々、会場までお越しくださった方々、企画内容のお陰で、うまくいったことがたくさんありました。
コンテンツの面では、特に登壇してくださった方々が目的を忘れずに話してくださったので、シンポジウムの軸がぶれることなく進行できました。(事前の目的確認の大切さを再認識しました)
プロセスの面では、会場のみなさんと登壇した方々が分断することなく、どのようにしたら「つながり」を感じながら時間を共有できる場にするのか?に注力した進行を心がけました。
みなさまのご協力のお陰で、ファシリテーターの目的も達成できたようです。(ほっとしました)
ファシリテーターとしても、一参加者としてもその場にいることが楽しい(と言うのは大変失礼ですが)、学びと気づきの多いシンポジウムになりました。
お話の内容を忘れないうちに整理しておかなくては!
岩渕先生の同級生、大志田さんが、震災後岩手ではじめた「りんごの森」の製品です。
支援の一つになればとお考えになり、「向こう見ず」「絶対に赤字だよ」と言われつつ始めたそうです。今ではリピーターも増え、毎年心待ちにしてくださっているとか。。。
りんごジュースとりんごジャム(通販で購入できるそうです)をみなさんに差し入れしてくださいました。
ちょっと酸っぱくて美味しい、初めての味のりんごジュースでした。
2016-02-21 | ブログ
先日、お世話になっている愛知県東浦町で、子育て中のママとパパに集まっていただき、「自治を考えるワークショップ ~子どもの将来が幸せであるために~」のファシリテーターを務めさせていただきました。
先日の中高生に続く、「自治を考えるワークショップ」の第2弾です。
まちづくり活動に参加しづらい子育て世代の方々ですが、本当は熱い想いをもっていらして、関わるきっかけが少ないだけなのだなぁと感じました。
もちろん、町長さまもご参加くださり、ママとパパに混ざって、東浦町の将来についてご一緒に語り合ってくださいました。
そんな一コマのご報告をします。
進行は
中高生とほとんど同じプログラムで進めました。(第3弾もあるので、あまり変えない方がよいかという判断です)
http://social-acty.com/blog/1455
少しだけ変えたのは、町長との意見交換のところを対談にしました。
ママ2人と町長で「住んでみてわかる東浦町の良いところ」「東浦町で子どもを幸せに育てる」などについて対談と参加者のみなさんと掛け合いで進めました。
中には、現在、東浦町で家を建てるか、名古屋市のマンションにしようか検討していて、視察に来たという方もいらっしゃいました。
ちゃんとご自分の足を運んで調査される、こんな素敵な方はいろいろな地域から引っ張りだこでは?
参加者の方々と掛け合いで進めると、予想していなかった方を発掘できるという、うれしいことが起こるのですね。
テーマは
今回は、子育て中のみなさまなので、中高生から少し立場を変えまして
・子どもにとって幸せなまちってどんなまち?
・今、東浦町で幸せだと感じるのはどんなこと?
・その幸せを将来、子どもたちにも感じてもらうために、どんなことができる?
という問いかけにしました。
自分たちの幸せと子どもの幸せは違うかもしれないという意見や
のびのびと暮らせるようにしてあげたいという意見、
やっぱり親が幸せに暮らしていかないと子どもには伝わらないね、という意見などが出ました。
子どもの幸せを考えてはいても、それを他の人と共有する機会はほとんどないのではと思います。
時間が経つにつれて、みなさんのお顔が優しくなっていくのが見えました。
子どもの幸せについて改めて言葉にして、共有するのは素晴らしいことだなぁと思いました。
やはり、「場づくり」は重要でした
場所は子育て支援センターとして、子どもさんがいても話し合える工夫を職員の方がしてくださいました。
センター長さんと保育士の資格を持った方が子どもたちを見守ってくださったり、自由に会場を走り回っても安心なようにテーブルだけを置いておいたりと、現在子育て中のママさんからのアドバイスをいただきながらセッティングしました。
中高生ではお菓子をテーブルに置いたのですが、小さい子どもがいるときは、子どもがテーブルに近よってきてしまうので、帰りがけに渡したほうが嬉しいというアドバイスもいただきました。
ワークショップが終わり、帰りがけに町長さんから一人ずつ手渡ししていただくことに。たいへん喜んでいただけました。
現役のアドバイスは的確です。
そのお陰で、ママとパパ、なにより子どもたちがリラックスしてくれていましたので、対話に集中できました。
ファシリテーションのスキルの中に、「場づくりのスキル」というのがあります。物理的な場所とその他の環境、参加者の立場に立った配慮などが、話し合いの質まで左右するということを改めて感じました。
参加者の方にアンケートもお願いしました。どんな感想をお持ちになったのか、結果がとても楽しみです。
2016-02-05 | ブログ
1月30日(土)に愛知県東浦町で「自治を考えるワークショップ ~君達の意見を募集します~」でファシリテーターを務めさせていただきました。
自治は、「自分で決めて自分で行うこと」として、そのためには自分のまちを好きになることが重要なことですよね。
自分のまちを好きで、みんなに教えてあげたい!そんな思いをもってくれれば、そのために行動することも楽しくなると考えてワークショップを組み立てました。
参加したのは
東浦町にある3つの中学校、1つの高校からそれぞれ5人、全員で20人(当日、一人体調不良のため欠席となりました)が参加してくれました。
それぞれの学校で参加する生徒さんを募集してもらおうと企画しました。しかし、初めての試みであったため、先生方も大切に考えてくださり、生徒会の役員をしている子どもたちが参加してくれることになりました。
今回の参加でハードルが下がり、もっとたくさんの子どもたちが参加してくれるようになってくれることを祈っております。
*参加した子どもたちで、会の名前を考えてもらいました。
「Next 東浦」となりました。若々しい雰囲気が出ている気がします。
実は、大人だけで前もっていくつか案を出していたのですが、このようなアイディアは全く出ませんでした。
進め方は
1.大人に直してほしいところ、子どもも直すところをそれぞれに書いてもらいました。
2.パネルに貼って、町長と意見交換
3.ワールドカフェ方式で対話。
お題は、
(1)東浦町で思い出のある場所はどこ?どんな思い出?
(2)その思い出の場所を町内、町外の人に伝えるにはどうしたらいいと思う?
(3)(2)と同じ
なんと!町長も入ってくださり、子どもたちと対話しました。
4.それぞれ感じたこと、伝える方法などを書いて、パネルに貼り、意見交換。
5.町長との意見交換
このように進めました。
高校生のがんばり
中学生と一緒に参加するということは、高校生にリーダーシップをとってもらうという期待があります。
高校生もそのあたりを考えてくれましたので、事前に進め方のウォークスルーを行いました。
簡単に流れと話し合う内容を共有しました。
当日、アイスブレイクの共通点探しでは、中学生が一人になってしまわないように、高校生はちょっと後ろに控えて、一人になった中学生とペアを組むようにしていました。この点については、なぜこのような行動をしているのか、ちょっと気にかかっていました。
対話のときも、高校生が話し合いをリードしてくれました。
後で聞いたところ、ウォークスルーの後、みんなで集まって中学生が戸惑わないようにするにはどうしたらいいのかを話し合ったのだそうです。高校生のとっても優しい気持ちが行動ににじみ出ていました。本当に優しい子どもたちだなぁと思いました。
こんな気持ちをもっている子たちが住んでいるのが東浦町なのですね。
今後の展開
中高生のアイディアを一つでも実現させたいなぁというのが町長はじめ、担当者の想いでした。
自分が、みんなが考えたことを実現させる。この手ごたえは素晴らしいですよね。
話し合うだけではなく、実現にむけて行動する。これを自治としているのですから、是非、機会を設けて実現する喜びを味わってほしいと思います。
発信の方法として、SNSの活用などがありました。これなら、資金もかからず実現できそうです。
次のステップは実現への行動ですね!
おわりに
他の自治体でも、できるだけ子ども(特に中高生)の参加も企画しています。
まちの将来は子どもたちのものですし、まちの夢、宝物は子どもたちですから、当事者として参加してほしいと考えています。
まちの話し合いには、女性と子どもの参加は欠かせないと、東京工業大学の桑子先生がおっしゃっています。
私も、女性と子どもがワークショップに参加すると雰囲気だけでなく、話し合う内容も違うことを実感しています。
老若男女、いろいろな人が参加して、まちの未来を考えていけるような場にしていけたらと思いました。
最後に、わがままを聞いてご尽力くださる職員の方々、本当にフランクにその場にいてくださる町長さまに感謝します。
町長のブログにも掲載されました。
http://www.town.aichi-higashiura.lg.jp/02hishokoho/tyoutyou/message20160203.htm
2016-01-27 | ブログ
東京中央卸売市場(通称 築地市場、場内)の場外市場へ行き、朝の賑わいを体感してきました。
この秋、中央卸売市場が現在の築地から豊洲へ移転すると言います。場外市場は、現在の場所に残るとのことです。
(http://www.tsukiji.or.jp/related/future/)
移転先と築地では、少し距離があるので場外市場の仕入れはどうなるのでしょうか?
船で輸送というはいかがでしょう?「釣りバカ日誌」のはまちゃんが船に乗って通勤していたように、車で輸送するよりも時間が短縮されるのでは?天候に左右されてしまうかしら?といろいろと想像しました。きっと当事者の方々も模索の日々ではないかと思いました。
移転後も賑わいを維持しようと、場外の取り組みは活発なようです。
「築地こどもクラブ」で子どもたちが自分でつくる料理に挑戦できたり、
「趣味のカメラ箱」で場外市場の写真を募ったり
「TSUKIJI 食まちスタジオ」で調理機能付きのスタジオをつくったり
と参加型の取り組みは、食に関することもあり、たいへん魅力的です。ホームページも思わず見入ってしまいます。
秋の移転以降、どうなるのか?移転前に一度朝の賑わいを見ておこうと思い、出かけました。
(本当は5時からマグロの競りを見学できたそうなのですが、気が付いた時間が5時でしたので、あきらめました。こんなチャンスはなかなかありませんので無理してでも行くべきだったと反省。)
WEBで検索すると、業者の方は4:00~9:00まで仕入れをしていらっしゃるので、一般の人は9:00以降に行くのがベストとか。
9時少し前に到着しました。狭い歩道、路地に歩くのがやっとな程、たくさんの人がいました。業者の方は竹の籠を下げて歩いていらっしゃいました。竹の籠はこの頃では見かけることはありませんでしたが、ここでは、ちゃんと使われいることに、懐かしさや粋と感じました。
業者の方だけではなく、若者や外国の観光客もたくさん見受けられ、活気があふれていました。
そして、路地沿いにある食堂や、路にあるスタンドのようなテーブルで朝食をいただいている方もたくさん。
朝食を築地場外市場で!という、これも粋な築地の過ごし方ですね。
私は、2016年マグロの初競りで、1匹1400万円で落札したという「すしざんまい」で朝食をいただきました。
(http://ringosya.jp/tsukiji-maguro-sushizanmai-17616)
もちろん、該当のマグロではありませんでしたが、本場(?)築地のマグロ、美味しくいただきました。
秋の移転に合わせて、場外市場は「築地魚河岸」となり、整備されるそうです。
場外市場のような古くからある街並みがなくなってしまうのは寂しい限りです。アジア、日本らしい狭い路地の文化もなくなってしまいます。
もっとも、これは一時的に訪れる観光客としての想いなのかもしれません。文化を継承するという意味では素直に歓迎できませんが、普段、利用していらっしゃる方々はお天気も関係なく仕入れができるようになるので歓迎していらっしゃる方もいるのかもしれません。
移転後も見学して、比較してみたいと思いました。
*この写真は、歩いているときに見つけた「マグロ焼き」です。「たい焼き」ではありませんでした。
外はパリっとして、厚い皮とあんこで甘すぎず、おなかもいっぱいになりました。
中トロには、あんこと杏が入っており、杏が柔らかく自然な甘さで、この組み合わせも美味しくいただいてしまいました。
2016-01-15 | ブログ
以前から気になっていた「社会構成主義」
一度、ちゃんと学びたいと思っていました。やっと本格的な書籍を見つけ、読むことができました。
『あなたへの社会構成主義』ケネス・J/ガーゲン(著)東村知子(訳)、ナカニシヤ出版、2004年
です。この中で、社会構成主義と対話の関係について備忘録も兼ねてご紹介します。この書籍の内容はとても深く、何度も読み込み対話を重ねていくと新たな気づきがたくさんありそうですが、今回は「対話との関係」に絞ることにします。
社会構成主義とは
私たちが使っている言葉は、文化や周囲の環境などの共同体の影響を受けています。文化や環境が変われば、言葉も変わります。また、性的な役割であったり、宗教や知性、感情も同様に文化や環境の影響を受けています。
例えば、気温が0度であるとして、この0度は沖縄と北海道ではとらえ方が違います。冬の北海道では、今日は気温が高いとなりますし、沖縄では寒い日であるといえます。
このように、同じ日本国内でいう「0度」であっても意味する内容が異なってきます。
これは、自然科学にも言えることで、自然科学は客観性のある数字など絶対的な根拠を背景として理論が打ち立てられているようにとらえられています。しかし、何が科学的な根拠であるのかを決定するのは科学者のコミュニティであるというのです。
事実(≒誰にでも平等に起こる、客観性がある)に基づいているという科学は、社会的平等と結びつき、中世では教会や王の特権が奪われることになっていきました。しかし、科学技術が発達してきた現在では、「科学以外のあらゆる声を沈黙させる」ということで平等を脅かす存在になっているといいます。
逆に科学者、科学的であることがある種の特権を持ってしまっているといえるのかもしれません。(科学的でない、根拠がないものに対して「非科学的」と排除することは散見されますよね)
対話による言葉の再構成
社会構成主義は、言葉を見つめなおすことから社会そのもののあり方を変えることができるというものです。
「ある言葉」を掘り下げていく、その言葉の持つ意味はどのような文化的な背景、環境、共同体の中で培われてきたのかを考察します。すると、言葉の裏にある考え方、感じ方に支配されていた自分たちが見えてきます。
言葉がもっている背景を把握し、もう一度言葉を構成しなおしていくのです。新しい言葉の意味を生み出していきます。そうすることで新しい関係性ができ、言葉を作っている共同体が新しいものになり、社会そのものが変わっていくのです。
上記のように、言葉をとらえなおしていくには「対話」が必要になってきます。言葉の意味を問い直すには、自分の中での対話、他者との対話を進めて、探求していくことが必要になってきます。
対話することで、「私たちの行動が、いかに言語形式(言葉)によって定義され、構成されているのか」に気づくことができます。そして、その言葉を対話の中で再構成することで関係性を変化させることができるといいます。
対話を構成する要素
双方向の話し合いの場を前提として、この書籍では「メタファー」(ファシリテーター的には「リフレーミング」)によって関係性をとらえなおすことが可能だとも提案されています。
例えば、議論を戦わせるという表現にすると、戦いですから勝・負が背景に存在することになります。論戦に勝てば勝利ですが、負けた側は敗北感と嫉妬などが感情として生まれます。そのような状況ではお互いに協力して目的を達成するということは難しくなります。
では、「議論を戦わせる」ではなく、「話し合いをする」「アイディアを出し合う」と言い換えると、勝負という感覚はずいぶんと減っていきます。
もう一つの方法として、ナラティブ(物語を語る)によって共感を生み、自分が何者であるかというアイデンティティを形成していくといっています。
社会構成主義では、「言葉」をとらえなおすことで、関係性が変化していきます。すると、共同体(≒組織、社会)の中の関係性も変化していくのです。対話には「明日を創る」力があると言っています。
ホールシステム・アプローチと組織変革、社会変革がつながった
このブログでもお伝えしてきました「ホールシステム・アプローチ」という対話による話し合いの方法があります。ワールドカフェやAI、OST,フューチャーサーチなどです。
『あなたへの社会構成主義』の中では、フューチャーサーチとパブリック・カンヴァセーションという試みが紹介されていました。
ワールドカフェのイベントの際、ビデオ出演してくださった考案者のアニータ・ブラウン氏も、一昨年ODNJ(組織開発ネットワーク、ジャパン)のイベントにご出席くださったダイアナ・ホイットニー氏も「社会構成主義」を言っていました。その理由がようやく納得できました。
これらの方法は、対話をすることで、言葉の意味をとらえなおし、組織・社会を再構成していくというパワーをもっていたのです。
『ダイアローグ』を書いたデビット・ボウムは、(社会構成主義の前身と位置付けられるのですが)「具体的思考(科学的な思考)は人々を分断してきた」と言います。そして、今、人々をくっつける(関係性を創造していく)ために対話が必要なのだと言っています。
対話を活用したホールシステム・アプローチで人々をくっつけていけば、組織や社会が変化していくといえます。ただし、対話には問いかけが欠かせませんが、その問いかけの方向性は、排除しない、価値を認めることを前提とした言葉にしなくてはなりません。
問いかけを考えるときには、自らの言葉に注意が必要となります。問いかけの中に使われる単語、文脈を推敲して使うことが求められています。
ファシリテーターは問いかけの言葉を、その場になるまでずっと推敲しています。その問いかけで本当に適切なのか?参加者がじっくりと対話できるのか?その問いかけで対話が成立するのか?などずっと考えています。そこに、改めて「価値を認める問いかけになっているか」を入れておくことが必要だということが認識できました。
ずっと気になっていた「社会構成主義」と「対話」「ホールシステム・アプローチ」の理論的な関係がわかりました。そして、今後の問いかけについては、さらに対話の力を出せるように取り組んでいかなくては!と思いました。