2015-01-20 | ブログ
大学生の就職活動開始の時期が10月から3月へ繰り延べになっています。
それは単純に半年間、大学生活を謳歌できる期間が増えた、というのではなさそうです。
時期が延びた分、実際に試験や面接という就職活動の期間が減るので、事前準備を計画的に、優先順位を決めて進めていくことが求められます。
そこにまだ気づいていなかったり、気づいても何をすればいいのかわからない学生さんもいるようです。
就職活動へのマインドをアップさせる
そんなことから、ファシリテーションを活用した「マインドアップ講座」をしました。
4回のシリーズものでしたが、毎回楽しんで気づきを得る、そして行動に移すということを目標にして進めました。
・自分の強みを考える
・自分をアピールする
・こんなときどうする?就職活動のあるある
・実際に働いている自分を想像する
もちろん、グループワークで行いました。(写真を撮ることを控えていましたので、その場をご覧いただけないのが残念です)
感想は
参加した学生さん達からは、
・グループワークが楽しかった。
・グループワークの体験は就職活動に役立ちそう。
・やりたい仕事をじっくりと考えてみようと思った。
・計画的に就職活動をしなくてはいけないのだなぁと思った。
などなどの感想をいただきました。
まだまだ遠いと思っていた就職活動ですが、実は前準備をしなくてはいけないのだ、と気づいてくれたようです。
そして、グループワークの楽しさ、グループで協力することの喜びを少しでも体験していただけたようで、ファシリテーターとしてはとても嬉しい講座になりました。
まちづくりだけでなく、マインドアップ、心をセットするということにもファシリテーションは使える!ということを実感しました。
人と人がそこにいれば、ファシリテーションのスキルを使って何かを実現させることができる、ということに改めて気づきました。
このような機会をくださった方に感謝しています。
2015-01-09 | ブログ
「ごみの減量」というテーマのもと、大人と中高生が同じテーブルを囲んで話し合う場をファシリテートしました。
大人、中高生の反応を中心に簡単にふりかえってみようと思います。
1.はじめに
「ごみの減量」と言えば、家庭の中では、ごみ置き場に持って行く人、ごみ袋に入れる人、ごみ箱に捨てる人・・・と役割分担があるような気がします。
家庭内の全員が分別を意識してごみ箱に捨てているという家庭の数はどのくらいあるのでしょう?
そして、そこに子どもである中高生がごみを分別して出すという役割があるという家庭の割合は大きくはないと想像しています。
「そもそも何のためにごみを減量するのか?」と考えてみると、焼却場の負荷の問題や大気汚染の問題、費用の問題などがあります。
もう少し視点を遠くへもっていくと、次世代にごみの処分場の余地を残しておくとか、よりよい環境をつないでいくというようなことが最終目標ではないかと思われます。
となりますと、そのような場に、引き継ぐ当事者である中高生が、意見を述べることは、当然のことのように考えられます。
そこで、中高生と大人が一緒になってごみ減量のアイディアを考える場を設けるというのは、今までなかったほうが不自然だったのかもしれません。
今までは、子どもの意見を聞くという機会があっても、子どもだけを集めて意見を言ってもらうという場が多かったのではないでしょうか。今回は、大人と子どもが同じテーブルについてアイディアを出し合うというワークショップを行いました。
2.今回の進め方は
大人は「そもそも何を目指して、ごみ減量の会議をするのか」について確認した後、フューチャーサーチの順序に従って、過去~現在~未来を考え、その未来を実現させるための方法を考えました。
中高生は、現地視察、大人が作成した年表、大人も参考にした現在のデータをなぞり、未来を描き、そのためには何をすれば良いかを考えました。
最後に、大人も中高生も一緒になって、アクションプランを考える、というプロセスで進めました。
3.経緯
大人は丁寧に進めることができましたが、中高生は時間の制約が大きくかけ足で進みました。
大人にはできるだけ利害関係のある方々に出席していただきたいと思い、町内の衛生委員の方や町内会長さん、無作為抽出で呼びかけた市民の方、市内にある企業さん、そして、ごみを収集している事業者さん、ごみ処理を実際にしている事業者さんにもお集まりいただきました。参加してくださった事業者さんは環境に対する意識が高く、大人の方、子どもたちも興味深く話を聞き、違った視点から見ることや学び、気づきがあったようです。第一線で携わっている方の話しを聞くというのはたいへん刺激的なことなのですね。
大人には、グループや進め方、テーブルの配置や場所の移動などできるだけいろいろな方々と話し合っていただき、様々な視点からの話し合いをしました。会が進むにつれて話し合いそのものや進行に慣れてきてくださったようで、だんだんとフットワークも軽くなり、ポスターセッションの時もそこで質問が出るなど、アイスブレイクも必要ないくらい場が醸成され、話し合いのテンポも早くなり、活発に意見が出る、言えるようになってきました。
中高生には、残念なことに大人と合同で行う前のワークショップの機会は1回しかありませんでした。しかし、午前中の現地視察で大きな刺激を受けたらしく、午後からの話し合いはたいへん盛り上がりました。未来を考えることは、大人にはハードルが高いと思われても、中高生は軽々と飛び越えていってしまいました。
午前の視察が終わり、昼食は中高生だけで会議室内で持参したお弁当をとりました。意図したわけではなかったのですが、大人は全員席をはずしていました。これが功を奏したらしく、午後からの話し合いがとても和やかで誰の意見でも受け容れる準備ができていました。この理由には高校生のリードがあったようです。年長者という自覚が、場をつくっていたのかもしれません。リーダーシップも発揮できる場となったようです。
4.最終回では
大人と中高生の双方からのアイディアを報告し、アイディアを混ぜ、壁一面を使って整理しました。そこから、大人と中高生は年齢は関係なく、各自が話し合いたいテーマに分かれてアイディアのブラッシュアップをしました。
大人の中で、はじめは少し緊張していた中高生でしたが、時間が経つにつれて大人が受け入れてくれることがわかったようで安心して話しだしました。
一部、緊張が続いていた中高生もいました。せっかく参加してくれた若者が「言いたいことが言えなかった」と思うのは好ましくありませんので、そこは、クリアするべき今後の課題としておきます。
最後のグループ発表は、すべて中高生が行い、それを大人が笑顔で支えていました。とても良い話し合いだったようです。
アンケートには、
【大人から】
・ 中高生はごみのことをよく知っているので、驚いた。
・ 大人にない柔軟な発想がとても参考になった。
・ 若い方は大人の行動をしっかりと見ている。よって、社会全体でごみをださない工夫をする知恵が求められる。
・ 年代を超えた話し合いの場があれば、とても良いと思う。
など、若者を見なおしたり、改めて大人としての責任を自覚したり、楽しかったりと大人にとって刺激的なできごとだったといえます。
【中高生から】
・ 子どもにはない視点での意見も知ることができ、良かった。
・ 子どもだけの視点じゃなくて、大人の方の視点での意見も聞けて、前回よりも内容も具体的になったと思う。
・ 前回とは違う緊張感があって、上手く伝えることができなかった。元々、自分の意見を伝えることが苦手だったので、とても良い経験になった。
・ 大人の方々の意見を聞いて、自分の意見が深まったり、新しい発想を得ることができた。これからもこういう機会を増やしてほしい。
など、中高生だけでの話し合いの盛り上がりとの違いに戸惑った人がいたり、自分なりに深めたり刺激を受けたりした人もいたようです。
客観的に場を見ていたファシリテーターとしての私からは、大人の笑顔や、30代の大人が(ファシリテーター型の)中高生のリーダーのように意見を引き出してた姿が印象的でした。
そして、中高生だけで話し合ったときの盛り上がりをどのように維持して、大人との話し合いにつなげていくのかが今後の課題です。
上記のような課題もありましたが、このような機会をもっと設けてほしいという回答もたくさんありました。話し合いの場があること、その場を参加者の気持ちに沿って成果をだしていくようなファシリテーターが必要なのだと思いました。
今後とも、このような機会を提案していきたいと考えています。
2014-12-18 | ブログ
このところ、ユニセフが活用している「フューチャーサーチ」でワークショップを行うことが増えています。
それも、中学生、高校生、大学生が参加するワークショップです。
今回は、フューチャーサーチを行う中で感じたことをお伝えします。
フューチャーサーチとは?
以前もご紹介しましたが、過去をふりかえり、現在を見つめ、その上で未来を描く、そして、描いた未来に向けてアクションプランをつくり、行動を起こしていく、というものです。
一番の特徴は、参加者はテーマに関するステークホルダーから選ばれることです。そして話し合いの組み合わせが、あるときはステークホルダーが集まって話し合い、あるときは混合のグループになって話し合っていきます。
本来のフューチャーサーチは2泊3日で行われます。夜には、次の日への課題を残して一日を終えます。そして、夢の中でその課題を考えます。じっくりと考え、寝かせて、アイディアにしていくのです。
その日のうちにある程度の区切りをつけて終えてしまうという従来のワークショップとは異なる進行です。
2泊3日の間、寝ている時間もずっと考え続けることになるのです。出来上がった未来には、必然的に思い入れ(コミット)のようなものが生まれます。
なかなか3日という時間を連続してとっていただくことは難しいので、短期間で集約して行えるようにしています。
若者が自分たちの未来を考える
次の世代を担っていく若者が自分たちで未来を決める、というのは自己決定に近いのではないかと思います。自分たちのこと(担っていく未来)を自らの責任(どんな未来が来るとしても引き受けなければならない)で決めるのです。
選挙で投票するように促すことももちろん大切ですが、政治や行政と自分の生活は全くの別物ではなく密接な関係があることを知識として知ったり、体験したり、自分たちが話し合ってきめたことが実現することを実感したりすることは婉曲ではありますが、影響の大きいことだと思います。まだ調べているところなので断定はできないのですが、イギリスでは子どもに関わることは子どもが話し合って決めるそうです。たぶん、シチズンシップ教育の一環なのでは?と想像しています。(調査しましたら、ご紹介します。)
自分たちのことは自分たちで決める、このことが当たり前になっていけば、市民としての自覚が深まっていくと思われます。参加した若者も「普段、接することのない行政の人や事柄に触れて、興味が湧いた」「テーマについて韓gな得るようになった。」「親にも教えてあげようと思う。」などの感想をくれました。
小さなことかもしれませんが、市民であることを意識する機会になったようです。
参加した感想は?
「とても楽しかった」「こんな会議なら、また参加したい」と言って帰ってくれます。
また、「はじめは難しいのかなと思ったけれど、テーマに興味が湧きました」というアンケートに記入してくれる人も少なからずいます。
グループワークが始まった当初は知らない同士ですが、話し合っていくうちに仲間になっていく実感、グループで対等なメンバーとして話し合いのル―ルに則って話し合うこと、そこで受け入れられrているという実感など、グループワークの良さを知ってもらえたと思います。
また、話し合いの内容についても、自分たちの未来について話し合っているのだということも感じてもらえたのではないでしょうか。
まだまだ、若者のグループワークは取り組み始めたばかりですが、フューチャーサーチという手法にこだわらず、若者が参加して良かった、改めて地域に誇りが持てたと言って、一旦自治体の外へ出て行っても戻ってきてくれる、そんな思い出や思い入れを作っていきたいと考えています。
2014-11-28 | ブログ
奈良県立大学でゲストとして講義をしてきました。毎年、友人が呼んでくれます。他の大学でお話するのは新しい発見があり、楽しいものです。友人に感謝しています。
その後、毎年、友人と宿泊します。お互いに日帰りで済むところですが、友人は時間を作り一緒に宿泊してくれます。これもといいますか、これが一番の楽しみになっています。
今回は、大阪の福島区にあるゲストハウスに宿泊しました。福島駅の周辺一帯には、飲食のお店がたくさん集積しており、それもほとんどがカウンターがメインで、テーブル席は2~3というサイズですので、メジャーな資本はほとんどありません。ですから、まちづくりの観点からも散策する観光客としてもたいへん興味深いまちでした。友人は商学博士で、まちづくりの研究仲間なので、ツボをよく心得ていらっしゃいます。
そんな楽しいまちの中で宿泊したのが、古民家を移築したという、ゲストハウス由苑(http://u-en.hostelosaka.com)でした。ゲストハウスに泊るという経験も初めてでしたので、たいへん興味深い、参考になる場所でした。
由苑は、細部にまで「かわいい」を意識した日本的な内装となっていました。それも、(たぶん)外国人にはうけるだろうなという「Japanese」な感じなのです。これも、「日本」をどのように演出するかを考えるにあたり、参考になります。
チェックアウトは11時なのですが、なんと、リビングには23時までいてもよいとのこと。チェックアウトの時間に追われることのない、海外から来た方ともゆっくりとお話しできるゆったりとした空間となっていました。
宿泊した夜はチェックインが遅かったため、友人と二人で福島界隈を食事を兼ねて散策しました。(面白いお店がたくさんあったのですが、このご紹介は別の機会に。)このため、知らない方々とのおしゃべりはほとんどなく、日本人の(私と同年代?)女性としばらくの間、立ち話をした程度でした。
翌朝、朝ごはんを外で済ませて、一旦ゲストハウスにもどると、日本人の若い女性がリビングにいました。一緒に珈琲をいただきながら、「どこからきたの?」「ここには何泊?」「どこへ行くの?」などからはじまり、結婚のことやお仕事のことなど初めてあったのに、こんなことまで?というようなこともお話しました。お互いにイヤな気分は全くなく、自然にお話が弾んだのです。
これもこのゲストハウスの雰囲気のおかげだったのでしょう。
その後、ニュージーランドから来たという女性二人組が「お好み焼きはどこがおいしいの?」という話から、大阪の見どころなどもお話しました。慣れない英語で聞き取れないところもたくさんありましたが、友人の助けを借りて、なんとか会話についていけました。(友人の通訳がありがたかった)
ゲストハウスのマネージャーは、もちろん、英語は堪能。ニュージーランド、カナダへワーキングホリデーで行き、ゲストハウスで働いていたそうです。ゲストハウスが大好きなのだとか。マネージャーもまだお若い女性でした。
今回の経験は、若者の生き方について改めて考える機会にもなりました。今までの勝ち組といわれる「一流の大学を出て、大手企業で働く」というコースにいなくても、自分のしたいこと、したい仕事、暮らしたい場所をみつけて働くというのも、自己実現という視点からみれば、たいへん有意義なのだと思いました。とても生き生きとして働いている、語っている彼女たちをみていると、生きるということ、働くということの定義が変化しているのだと感じました。
このブログでもご紹介した若者がIターンするワケ( http://social-acty.com/blog/754/)」とも関連して、働き方の新しい基準(自分のしたいことを職業にする)が浸透しつつあるのではないかと思いだしました。
自分のしたいこと(といっても自己中心的というのではなく)を職業にできる、そんな時代がすぐそこにきているのかもしれません。
2014-11-18 | ブログ
11月15日にFAJ(日本ファシリテーション協会)中部支部のイベントがありました。中部支部のイベントは毎年11月に開催しています。
今回は初めて実行委員にはならずに参加者として楽しみました。
毎回、何か新しい手法にチャレンジしてきたのですが、今回は従来のイベントでも扱い、FAJの中ではスタンダードになっているワールドカフェ、OSTの対話を中心に進められました。ここでの感想をご報告します。
*ワールドカフェは、このごろは○○カフェという語り合いの場でよく使われています。4~5人で一つのテーブルを囲み、ある程度の時間が経ったら一人を残してメンバーチェンジ。これを数回繰り返してハーベスト(まとめ)を行うという対話の方法です。
**OSTはOpen Space Technology の略で、あるテーマの元で話し合う話題について、話し合いたい話題を参加者が提起し、時間、場所も参加者が決めるという自律的な対話の手法です。
参加者は子どもを含めて110人余り
今回は、参加者のうち、若者が1/3ほどを占めまていました。前半のワールドカフェでは若者も入った対話を経験しました。私は、たいていメインファシリテーターをしているので、歩きまわってどんな話し合いがされているのかを聞きながらタームキープや進行を気にしていますので、じっくりと参加者として対話に入ることがほとんどありませんでした。
ですから、とても新鮮でうれしい機会となりました。
イベントに参加した若者は「名古屋ど真ん中まつり」の学生実行委員の方々、ボランティアをしている学生、南山大学のファシリテーション研究ゼミ(略してファシゼミ)の方、など学生さんが多くいらっしゃいました。また、就職して研修を担当する部署にいる方にもお会いしました。もっとたくさんの多様な立場の若者が参加してくださっていたはずです。
対話をしての感想
若者と対話をしてみて感じたのは、「会議での成果は納得したものにしたい」「いろいろな人々と話し合うことが楽しいことを伝えたい」ということが伝わってきました。
もうひとつ、私達がFAJ(日本ファシリテーション協会)で10年の間に学んできたことを、今度は次の世代にバトンを渡していくことを考える時なのかもしれないと思いました。
若者は真面目に考え、求めていました。それにある程度の解(というとおこがましいのですが、こんな方法で進めてみては?という経験)を伝えることができるように成長した私達。もちろん、対等な関係の中で学び合うという姿勢には変わりはありません。FAJにいる私たちだけで共有している段階ではないということなのかもしれません。
FAJも設立以来10年、私も会社を興して10年経ちます。この積み重ねを持って、次のステージに移ることを考えるときなのだなぁと思いました。私ができることはまだまだ小さいのですが、小さいなりに変化を生みだしていけるよう、次の世代に伝えることがあれば伝えていけるように精進しなくては、そんなことを感じたイベントでした。
先日、名古屋で国際会議のあったESD(Education Sustainable Development)でも、そもそも何のために?と問われれば、「子どもたちに残していくために」「私達の世代で地球の資源を枯渇させてしまわないために」ということになってきます。
この思いをつなぎ、実現させていくためには、ファシリテーションの技術を活用することも必要な場面があると考えています。多様な立場の人々みんなが集まって、対話し、その中で納得できる結論を導き出していくことが、次の世代にバトンをリレーしていくことにつながっていくのかもしれません。
そして、イベントの最後には・・・
上記のことを象徴しているのかもしれません。写真のように、参加者全員でつくった「未来」。一人ひとりの明日からできること、することを記してつないでつくる一つの未来。このアイディアは南山大学のファシゼミの方々のアイディアです。自然、木漏れ日、温かさ・・・。次の世代に残していきたいものなのかもしれません。
いろいろなことを考えさせられたイベントでした。
対話には、しみじみと考える、じわじわと心に湧いてくる、こんな効果もあるのですね。