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『団地と移民 課題最先端「空間」の闘い』の中から

2019-05-23 | ブログ

昨年12月に入国管理法が改正され、外国人労働者の受け入れが拡大することになりました。

受け入れ先は地方自治体で、地方自治体は受け入れの準備が追いつくのか?と話題になっています。

自治体だけの問題ではなく、地域社会でも受け入れの準備が必要なのでは?と思っていた矢先に、この本を知りました。

(画像:アマゾンより)

この本は、著者が、日本の団地だけでなくフランスの団地にも取材に赴き、団地の抱えている問題と解決にむけて取り組んでいる方々を取材したものです。日本でもフランスでも、「団地」には共通のイメージがあるようです。

問題は、団地の国際化。

公営の団地は年収だけで入居の可否が決まるので(国籍は関係ないので)外国籍の方々は入りやすいとのことです。

そして、排外主義の人々のターゲットになっている、とのこと。

もう一つは団地の居住者の高齢化。

買い物難民や孤独死…。

 

団地ができた頃のイメージは

団地は、戦後の住宅環境の悪化(ベビーブームや都市部への人口流入による)から、住環境を改善することを公が行うことになりました。そして、1955年に日本住宅公団ができ、その翌年に日本の団地第一号が堺市にできた金岡団地でした。

団地ができた頃は、団地族と呼ばれて、最先端の文化的な生活を享受する人々というイメージだったとか。

初めての水洗トイレ、各戸にある浴槽。ダイニングキッチン…。そこに住むのは、都会で働くサラリーマンの核家族。

「あこがれの団地生活」だったようです。

「金岡団地」の画像検索結果(http://vidanchi.jp/kansai/design/sainvarierkanaoka01/ より)

日本人の心の中には紙一枚の壁がある

これは、この本の中にある一節のタイトルです。

そうだ、これだったんだ!と思うことがありました。

昨日(5月21日)、未来茶輪(毎月1回、ゲストを招いてお話を聞き、その中の課題について話し合う会です)で話し合った内容の根幹はこれだったんだ!!

 

昨日のゲストは、自転車で世界1周している大学生でした。資金は講演したり、訪れた先の写真集を作って売ったり、企業さんに寄付してもらったりして集めているそうです。

とてもさっぱりした性格の好青年でした。

この方がアフリカを半年かけて縦断したときのお話を聞くと、基本はテントを張って野宿。1/3は泊めていただいたのだそうです。

そこが、とても印象に残り、下記のような話題で話し合いました。

「外国人が私たちの住むまちに自転車でやってきました。そして、今日泊まるところがないと言っています。あなたは自宅に泊めてあげますか?」

みなさんのお話の中では…

・う~ん。自分の家に泊めてあげるのは、ちょっとね。

・近くの公園を紹介するかな?

・近くのホテルを紹介する。

結局、泊めてあげるという方は一人もいませんでした。(そういう、私も泊めてあげられないなぁと思った一人です。)

「紙一枚の心の壁」があるのでは?と思ったのです。

 

なぜ、アフリカの人は泊めてくださったのに、日本では泊めてあげる人がいないのか?

私は直接記憶がないのですが、母は、祖母が「泊めて」と来た人を泊めてあげたことが何回かあったと言っていたことを思い出しました。

日本でも昔は、旅の人を泊めてあげるという習慣があったのかもしれません。

そういえば…

日本昔話には、「旅のお坊さんを泊めてあげた」「道で苦しんでいる人を家まで連れて帰って介抱してあげた」という話がでてきます。以前、このブログでもご紹介した「蘇民将来」のお話も旅人を泊めてあげたら、それが実は神様で、お返しに家を守ってくれる!ということでした。(http://social-acty.com/blog/date/2014/07/ 祇園祭りに行ってきました)

 

「紙一枚の心の壁」と住まい方?

昔の住まいと今の住まいを比べてみると…

家と外の関係がオープンだと、心の壁がなかった(とても低かった)のかもしれません。

家と外がしっかりと区切られていくと、心の壁ができてくるのかもしれないなぁと思いました。

住まい方と心の壁には、何か関係があるのかも。

とすれば、住まい方を少し変えると、心の壁の高さも変化するのかもしれません。

 

どんな住まい方が、心の壁を低くしていくのでしょう?

新しいコミュニティへのアプローチのヒントに巡り合った気がしました。


 
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