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『全体主義の克服』を読みました

2021-05-11 | ブログ

このところ、哲学者のご本が気になっております。
http://social-acty.com/news/page/2/
http://social-acty.com/news/page/6/でもご紹介しています、斉藤幸平氏。

そして、斉藤幸平氏に初めて出会ったのが『未来への大分岐』でした。

(アマゾンより)

このご本は斉藤氏が3人の哲学者と対談しているのですが、その中のお一人が今回ご紹介する『全体主義の克服』のマルクス・ガブリエル氏です。

(アマゾンより)

こちらも中島隆博氏との対談本です。
哲学を深めていくには、「対話」が必要なのでしょう。
ソクラテスも弟子たちと対話で思考を深めていったとか。
素人には哲学論文は理解できなさそうですし、対談(対話の記録)と考えれば、理解しやすさが向上します。

全体主義とは

ご本の中には、「全体主義はすべてを「一(いち)」へと取り込もうとし、他者や他性をめぐる繊細な議論は根こそぎ削られてしまう」P111とあります。
多様性が大切!と言われている今なので、政策や人々の考えや施策は、一人ひとりに寄り添ってほしいと思うのですが、このコロナ禍で窮屈になってきているような気がします。
なので、このタイトルなのでしょうね。

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全体主義を克服するためには、「「一」もまた変容し、同時に「全体」なるものが根底的に変容することを構想すること」p111と言っています。
ちょっと難しいですが、たぶん…
これ!と一つのことを決めて、すべてのこと、すべての人をその考え方に取り込むのが全体主義。
この場合、「これ!」に取り込まれないヒトやモノは排除されてしまいます。
でも、この場合の「これ!」だって大きく変化する可能性ってありますよね。
あるある。
あって当然、と認めることから克服できるっていうことなのでは?と思いました。

やはり、言葉にすると難しいです。
対話して深めたくなりました。

意見の相違が社会の接着剤

このタイトルの節がありました。
このタイトルをみただけで、わくわくします。
デビッド・ボウム『ダイアローグ』にも、​対話は社会の接着剤だとあったのです。
「違いを認め、対話していくことが人々をくっつける」と。

(アマゾンより)

そして、このご本でも、意見が衝突しても、「対話を続けることができれば、わたしたちは対立を首尾よく収めることができる」p222と言っています。
そして、それは、「わたしたちは、それぞれの心の歴史から衝突地帯をダウンロードし、重なり合う部分をつくろうとしている」ことである、とも言っています。

人と人の意見が違うのは、当然。まったく同じという人は少ない(ほとんどない)ですよね。

対話によって、その違いや背景を知り、重なっている部分を見つけたり、あるいは、つくったりしていこう。
その行為は「普遍性であり、中立性のプラットフォームをつくることです」ということなのでは?

そのプロセスには、やはり、対話がとても重要な行為であるようです。

そして、「未来のための望ましい市民宗教は、強力な哲学的思考と科学的思考を融合させたものであるべきだと思います。」p237
この場合の「市民宗教」は人々がよってたつものではありますが、それは神さまが一人いるというものではなく、市民の生活の中心にある考え方(哲学)ようなもの、と考えてもよさそうです。

哲学と科学が結びついたものが、今後の市民社会・資本主義を大きく変えていくものになるだろうと言っています。

 

なんだか壮大なことのようですが、何をするにも「哲学」は必要なので、今まで近しい関係ではないような哲学と科学こそ結びつくべきということなのですね。

『ダイアローグ』の著者、デビッド・ボウムも物理学者でした。『祈りの法則』を書いたグレッグ・ブレーデンも物理学者でした。
物理学を極めていくと、対話の底に流れている哲学のようなものに行くつくのかなと思っていました。

(アマゾンより)

さまざまな本の中で「対話」がキーワードになっています。
ファシリテーターとしては、「対話」の意味を深く考えてみることが重要なのではないか?と思いました。
「対話」に対する哲学を学び取っていくことも必要かも。
そのうえで、ファシリテーターができることは、少しでも良い「対話」の場をつくっていけるようにすることだと改めて思いました。

「対話」の場づくりの大切さ、どんな対話が必要なのか?についても考えるきっかけをくれたご本でした。

 

 


 
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